ロボット税

老い支度や老いの過ごし方は本当に十人十色だ。
斑尾に集まる人たちと夜の食事をしながら団欒する。
当然、みんな考え方が違って実に面白い。

ただ、こんなときに一番困るのは
「自分の生き方が正しい」と言い張る人たちだ。
だいたい生き方に正しい、正しくないなんてない筈だ。
なのに、他人の考え方を受け入れられない人がいるから
その場の空気が変になり、場がしらけ、気まずい思いをする。

冬の斑尾はスキーのメッカだから
「スキーは老後の最高の楽しみだ」ということに何の異論もない。
でも、だからスキーをしないで冬景色を見にくる人を
「そんなら家に居た方がましだ」なんていうのは可笑しい。

ともかく、日本人ほど他人様の生き方に口を出す人種は少ない。
かなり多くの欧米系外国人の友人がいるが、日本人とは全くは違う。
何故日本人はこれほどまでに干渉癖を持っているのか。

恐らく単一民族時代が長く、多様性に慣れていないからだろう。
「年金で遊びまくるのは頑張ってきた自分へのご褒美」だなんて
どこかで聞いてきたようなことを言うが、それで大いに結構である。
もちろん私の生き方、生きがいとは全く異なるものだが・・・
でも、私はそんな彼の生き方を素晴らしいと心から思っている。

ただ、私が心配しているのは、次の世代の人たちは
もうそんな彼のような恵まれた老後は迎えられない、
だから、老後の支度をきちんとしておけよということ。

70の彼らが手にしている年金額はそう何時までも続かない。
今の30代が退職後に受給できる年金なんて今の半分くらいだろう。
本当に大変な時代がくるから気合を入れて老いの支度をして欲しいのだ。

いいか、悪いかでなく、時代は否応なく変わって行く。
年金制度を支える若い層が減り、お年寄りが増える。
何をしようが、どちらの人たちも生活は苦しくなる。

でも、一つだけ妙案はある。
ロボット税の創設だ。
ロボット一体を人間一人と考えて、
ロボットが生産した額に応じて給与を出す。
その中から、維持費を除き、90%を税として徴収する。
ロボットは自由に増やせるから、これで究極のパラダイスが出現する。

この案ってどこかおかしいですか?
「えっ、角栄の考えた車の重量税のようにロボット税をとればいいだけ?」
なるほどね、もちろんそれでいいんですよ。

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終の住み処

健康的な視点での老い支度が40代からなら
経済的な意識としての老い支度は30代からだ。
何故なら、30代は終の住みかを建てる最適な年齢だから。
「15にして学に志し、30にして立ち、40にして惑わず、50にして天命を知る」
孔子が「立つ」という言葉で何を言いたかったのかは知らないが,
私は勝手に、自立つまり「親からの独立」だと考えていた。
だから、「いくら借金をしてでも家を建てなければ」と思っていた。
もちろん、マンションの購入だって構わなかったのだが・・・
自分の知っている銀行では、ローン完済時の年齢は大体80歳。
と言うことは、30年ローンだと50歳辺りが遅い方の限界だ。
ましてや、年金代わりに家作の一つも欲しいとなると
家の購入が30代でないと、家作の購入までは手が届かない。
もちろん、孔子がそんなことまで読んだとは思えないが・・・
Pマンションの住民は本当に多士済々で楽しい。
昨日は元大手建設会社の部長だった田辺さんが遊びにきた。
茶飲み話から「このマンションは何年大丈夫か」という話題に。
彼は自分の経験から、「100年は問題ない」と自信ありげに言う。
それを聞いて、マンションが終の住みかに適うものであると確信はしたが、
そうは言っても、メンテナンス次第であることは間違いない。
孔子の言う通り、このPマンションには30代での購入者は実に多い。
そして、入居後にお子さんを産んだ所帯は実に20近くに及ぶ。
「このパークスクエア・ベイビーの更に次の代までは大丈夫だね」
「だから、次の世代に感謝される立派なメンテナンスをしよう」
「最大の問題は水道管と排水管の老朽化だね」
「水道管は核磁気工法の延命工事で問題解決だけど・・・」
「排水管は年に1回の清掃で大丈夫なの?」
「問題ない筈だけど・・・、人の血管と同じで一番のポイントだね」
こうして、お互いに変に気負って、壮大な会話を楽しんだ。
老い支度で欠かすことの出来ないのが「住まい」の問題で、
特に、その住まいが何時まで使えるかを知っておくことが重要だ。
戸建てなら自分ひとりで考えればいいのだが、
マンションになると、大勢の意見がバラバラで本当に答えが出せない。
ほとんどの住民が、真正面から真剣に考えることをしないから。

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老いの十戒

頭が悪いせいか、メモ魔で、何でもメモしまくる。
その中に、「老いの十戒」というのがある。
毎年少しずつ増えているので十戒を超える日も近い。
還暦を過ぎてから気付いた老い支度の基本だ。
1.何かして欲しいという気持ちを出来るだけ排除するようにしている。
 そのために老後も自立して生きていかれるように家事や料理も覚えた。
 お世話になるであろう老人ホームももう決めてある。
2.身内にも丁寧語を使い、親しき仲でも礼儀を忘れない。
 自信のない人は言葉で強がることを知っているから。
 素敵な老人は皆謙虚で腰が低い。
3.自分の生涯が劇的だなんて錯覚をしないように注意する。
 だから、自伝や詩集は出さない。作った墓も一番小さなのにした。
4.若い世代は自分より忙しいのだと思いやる。
 そのために若い人には全面的に協力する。
 若い人の成長を目を細めて喜べる爺になりたい。
5.一人でも遊べる力を身につける。
 そのためにサイクリングなどの一人スポーツを趣味にする。
 どちらかと言えば寂しがり屋だが、孤独を楽しめる人になりたい。
6.最新の機械、器具などを率先して使いこなす。
 そのために電気店には足しげく通い、最新のパソコンを
 使いこなせるように努力していく。
7.体臭、口臭のない体を作る。
 そのために毎日の運動を心がけ、
 3ヶ月毎に歯医者で口内洗浄もしている。
8.身だしなみに気をつけ、週に一度は正装する。
 そのために時々銀座や丸の内に行く。
 最近はジャーナルスタンダードというブランドに凝っている。
9.楽しいことだけを記憶するようにする。
 そのために壁には楽しかった時の写真を貼っている。
 そのせいか、我が人生は最高だと思っている。
10.昔話はしない。
 そのために常に新しい情報を集め、今の話題で楽しい時間が
 作れるように努力している。

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相続

相続税が発生するほどまとまった財産を残す人は対象人口の5%で、
そこに入ったら先ずは目出度しだ。
具体的には、基礎控除が「5千万+子供1人1千万」だから
大雑把には資産8千万前後が5%グループに入るためのハードルになる。
ところが、この目出度い大型相続が不幸の原因になることも多い。
一番多い原因が、生前相続に対する無知。
そして「この無知を利用しているのが〜信託銀行だ」と
怒りまくって私にレクチャーをする友人がいた。
一般的な死亡時の相続は「暦年課税制度」といい、
これに対し、生前相続を正式には「相続時精算課税制度」という。
この生前相続は景気浮揚対策の一環として産声を上げた。
65歳上の親が子の住宅取得のために一人2500万円を贈与しても、
「贈与税は払わんでもいいよ」といって、子供に家を建てさせる。
こうして建築工事を増やし、経済を活性化しようという官僚のアイデアだ。
勿論、生前相続した分は死亡時の暦年課税には算入する。
まるまる子供が大儲けなんて美味しい話ではない。
この罠にはまって惨めな老後を送っているご老人は実に多い。
その理由が分からない人はもう少し「人間」について勉強したらいい。
そもそも信託銀行とは何なのか。
信託銀行は遺言信託業務をはじめとする相続関連業務を行う。
遺産の分配、遺言の作成など信託銀行法における遺言信託業務、
またそれに伴う遺産整理業務の取扱いなどを請け負う銀行だ。
ここまで書くと資産家のお年寄りには大変便利な銀行に思えるが、
子のいる親がそんな銀行に相続関連業務をこっそり委託すると、
予想外の困ったことが発生することもあるのだ。
なぜなら、子供と信託銀行の間で、相続に関する大戦争が起こるからだ。
がかってに信託銀行と相続業務委託契約を結んでしまうと、
現実の相続が信託銀行の利益誘導に偏った内容になり、
その子供の希望とはかなり違ったものになりがちなのだ。
更に、莫大な業務委託料までも取られてしまう。
また、相続税対策と称して行われるアパート建築等にまつわる貸付け。
これにも信託銀行とアパートメーカーの罠が仕掛けられていることが多い。
多くの説明会に行っては、彼らに「嘘だろう」と反論すると、
「申し訳ありません」と言って、深々と頭を下げる。
例えば、アパート新築説明会で、彼らはこのお客は無知だと思えば、
一番肝心な入居率を無視し、「満室経営」で利回りを計算したりする。
無知な客は、「こんなに儲かるんですか」と乗せられる。
生前相続にしても、相続業務依頼にしても、資産活用にしても、
一生に一度しかないものだから、早くからこれらの研究をして、
最善の形で、親も子もハッピーな形にすることが望ましい。
無知な顧客を利用するのは彼らだけでなく、社会保険庁みたいに、
国も詐欺まがいなことをやっているのだからたまったものではない。
だから、金持ちだけでなく相続問題の起こらないほとんどの国民も、
「老い支度の勉強」をきちんとやっておいた方がいいのだ。

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覚悟していても

老いについて書いた作家は数限りない。
我々の多くが知っている現代の作家からその名を挙げれば,
城山三郎、三浦朱門、曽野綾子、近藤啓太郎、岡田信子
遠藤周作、五木寛之、吉武輝子、・・・
ざっと思い出せるだけでも10人はいるだろうか。
ホンダの創始者、本田宗一郎さんは,充実した老後を求めて世界を歩いた。
そして、「究極の楽園は日本にあり」と書いた。
でも、そんな本に書いてあることを焼きなおして
このブログに書いても私らしい文にはならないので、
出来るだけそれらの本を思い出さないようにしながら書いている。
ただ、どの人の本にも共通して言えることは、
素晴らしい老後は、「心で決まる」ということ。
立派な老人ホームなどという器は大した意味もなく、
楽園には充実したソフトが欠かせないと口を揃える。
建物の豪華さやお金の量よりも、
働くとか奉仕するとか、友がいて自然があるとか
家族がいて且つ自由があるとかいう心の問題が、
老いの幸せにつながると先人たちは語っている。
もちろん、最低限のものが必要なのは言うまでもないが・・・。
サロンによく足を運んでくれたIさん。
生前の15年間、あちこちの老人ホームを回っては、
歌舞伎演目の「娘道成寺」を踊ってお年寄りたちを慰問していた。
老老介護ならぬ、老老慰問である。
80歳の老人が同い年くらいの人たちを慰問する。
何度も、楽しそうにそのときの写真を見せてくれたが、
今はもうその人もあの世へ逝ってしまった。
彼女はよく「奉仕」という言葉を口にした。
お金は入らなくとも、それ以上の何かを得ていたのだろう。
「人様のために・・・」という動機ほど素晴らしい生きがいはない。
亡くなる前の彼女の表情は飛びぬけて生き生きとしていた。
その闘病生活は僅か半年で、上手に老い、上手にガンで旅立った。
私も彼女と同じようにがん検診は受けないことにしている。
がんは神様のくれた贈り物だから、喜んで受けるつもりだ。
それで手遅れになったら、決して後悔などしないで旅立とう。
だってもう66歳だもの、十分楽しい人生だったし・・・
最近、ある友人と老いや死のことを話したのだが、その彼が私を冷やかす。
「誰にも最後は一回しかないから確信的なことは言えないが
覚悟していても、老いと死は思い通りにはやってこないよ」と。
でも、だからこそ、老い支度とその先の覚悟は十分にしておきたいのだ。

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批判と要求の老後は嫌だ

学生時代、愛読書の一つが「ラッセルは語る」だった。
悪戦苦闘して、「What’s philosophy ? 」を原書で読んだ。
1950年にノーベル文学賞を受賞した彼はアリストテレス以来最大の論理学者だった。
その彼が、著書の中で、幸福について詳しく述べている。
幸福の四要素として、彼は次の四つを挙げた。
「健康、丈にあった財産、家族(人間関係)、仕事(やりがい)」
中でも、人が生きるのには「やりがい」が不可欠で
立派な老人ホーム以上に充実したソフトの提供が
政治や行政のやるべきことだということを知った。
老いても出来るやりがいのある仕事の創出に知恵を絞り、
年金受給資格年齢を引き上げないと年金制度は必ず崩壊する。
そして、個人レベルでも「生涯現役」を目指すことが、
老いの幸せの原点だということを多くの人が知るべきだ。
「年金生活」なんて定年後の2年間の休暇で十分だ。
我々が学生の頃、一学年は230万人くらいだった。
それが今、一学年は約その半分になった。
なのに、多くの学生が就職氷河期に苦しんでいる。
人口減少で国が危ういと言いながら、
今のたった百万少々の学生にすら十分な仕事が与えられない。
逆に言えば、人口が減少していなかったら、
一体どれだけの学生が就職浪人に追いやられたか。
人口が減少してちょうど良かったではないか。
その人口が減ることで年金制度が維持されないのなら、
老いた人たちに少しでも長く働いてもらうか、
成人して子供を持たない人たちの年金負担額を増額するしかない。
兎にも角にも、定年後に遊びほうける人生なんて現代人の驕りだ。
だいたい総人口の20%以上が65歳以上の老齢国家・日本で、
その2500万人に毎月10万円の医療費と年金負担が発生すると、その総額は何と30兆円、真水の国家予算に匹敵する額なのだ。
このままの年金制度が続くなどと考える方が滑稽だ。
諸外国と比べても日本の税率はかなり高く、もう限界に近づいている。
だから、古希を過ぎても仕事に従事し、
早くから老い支度をすることが、痴呆を遅らせ、
健康と丈にあった財産を手にし、幸せな第二の人生を確かなものにする。
90を過ぎても働いている人たちがいる。
日野原先生のような豊かなお医者様から、
新橋3丁目の理容師・加藤寿賀さんのようなガード下に住む貧しい人まで。
死ぬまで働くと決めた人たちの老いの人生には、
何の暗さも悲壮感も感じられない。
それどころか、充実した人生には幸せが満ちているようだ。
私もそんなまねをして、少しでも長く世の中のため働きたい。
新橋のクロニクル、一人暮らしの加藤寿賀さん、
毎日、町の誰かがその様子を見に彼女の店を訪ねる。
家族ではなく、町が働く老人を支え、応援している。
この加藤さんが住む新橋のぬくもりを伝える番組が、
昨年の11月5日、深夜放送で流れた。
都会では田舎より一ヶ月早くお盆を迎える。
その7月、店の前で“迎え火”に手を合わせる加藤さん。
先立った夫と娘を出迎えるラストシーンに胸が熱くなる。
箱物の老人施設の充実も重要な政治の課題だが、
家族とか町のぬくもりをもう一度見直したい。
私のPマンションでも微力ながらその努力をしている。
AEDの設置や80歳以上の方の「声かけ名簿」作りも、
そんな温かい想いの一環で始めたものだ。
災害時には誰がどの部屋を確認するかが決まっている。
ただ政府や行政に要求するだけの無能な人にはなりたくない。
居酒屋で総理を馬鹿呼ばわりする割には自分の案すら持っていない、
そんなアホらしい人にはなりたくない。
出来るなら、身近にできることを自らやっていくことが大切だ。
自分の老い支度ができた人は、
出来ればその余力で困っている人の働き場所作りにも貢献して欲しい。
そういった意気込みが老いを第二の青春にしてくれる。
早くから「生きがい」を創出すること。
年寄りから「生きがい」を奪わないこと。
政治が「生きがい」を考えてあげること。
これが老い支度には欠かせない視点だ。

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金持ちの老い

お金持ちの老いなら優雅だと思っている人は多いだろうが、
確率的な答えではないが、私の答えはノーだ。
老いを優雅にするのは、老い支度への覚悟であって、
決してお金の分量ではなさそうなのだ。
お金持ちでも、老いを甘く見て、
大した支度もしないで不幸な老後を送っている人は私の周りにいくらでもいる。
上大岡のPマンションには80歳前後の老人がかなり住んでいる。
中でも一番のお金持ちだと言われた元材木店の社長さんの清水さんの最後の10年は、
「可哀想」の一言では片付けられない悲惨さだった。
清水さんが亡くなられる前の8年間、
散歩していれば挨拶をしてお話をする仲だった。
ある日、管理人さんがあたふたとしている。
聞けば、清水さんが「百万円を落とした」という。
お金持ちの一人住まいの痴呆の始まりである。
彼は恰幅もよく、背筋もしゃんとしたダンディな人だったが、
自分の子供も含め、親族を誰も信用していなかった。
お子さんが原因なのか、清水さんの決断なのかは定かではない。
結果、お金だけを信じて老後に突入した。
それでも、痴呆になる前はそのお金の管理はできた。
しかし、痴呆にははっきりとした境目がないから、
本人も「何月何日までに」などという準備ができない。
だから、金庫の番号を忘れたりし始めると、
もう、どうにもならないことばかりが起きる。
いくら警察が注意を呼びかけても「振り込め詐欺」が減らない理由の一つだ。
要するに世の中に認知症の人が増えているから、
悪い奴らの餌食になる人は今後も減ることはなさそうだ。
百万円なんか落としていないだろうと思いながらも、
管理人さんも無碍には出来ないので、一緒に探している。
しかし、そんなことが頻繁に起こると、
誰もが次第に清水さんを相手にしなくなった。
ほどなく、訪問介護の人が毎日来るようになった。
その介護のおばさんのまことしやかな噂が町に広まった。
「昨日はお小遣いを10万円貰ったらしい」などという噂だ。
これが、何千万とあったお金の流失の始まりだ。
その他にも、エピソードはいくらでもあった。
結末は、名古屋の親戚(お姉さん)が施設に入れ、
最後はその施設で亡くなられた。
もちろん、あの数えられないほどあったお金は全てどこかになくなって、
子供には渡らなかった。
これでは命をつないだとは言えない、寂しい人生だ。
この清水さんやあの岡田さんの例はまだ事件にはなっていないが、
お金にまつわる人間関係のもつれが悲劇となって世間を騒がす事件が確実に増えている。
家族関係がよく、ほのぼのとした老後を送っている人を見るに度に、
その秘訣は何かと必ず探すようにしている。

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不倫の代償

平均的な人なら誰でも50を過ぎれば老いを意識する筈だ。
老い支度をする、しないは別としても・・・
子供を手放して離婚した人とか、縁がなくて結婚しなかった人とか、
運悪くやもめになってしまった人などは、
特に早めに老い支度をした方がいい。
そんな人たちの老い支度は50でも遅すぎる。
だから、60を過ぎてから老い支度では周りから見ていても見苦しいことが多い。
兄弟などの親戚を頼るにしても、自立して老人施設に入るにしても、
その経済的なプランはそう簡単なものではない。
用意周到と言われるような計画なら、
最低でも10年から15年をかけるプランが必要だ。
そんなとき、あっちにふらふらこっちにふらふらしていると、
あっという間に時が流れてしまい、物悲しい老後を迎えることになる。
私が横浜に所有する賃貸用マンションに25年前、
別居という理由の美人妻が入居した。
早い話が、不倫相手の男が用意した愛の巣だ。
あれからあっという間に四半世紀が流れ、50代半ばの彼女が先日、引越しをした。
その手続きに現れた25年ぶりの彼女は、
生活に疲れ、昔の美貌はどこにも残っていなかった。
聞けば、不倫相手で彼女の生活を支えていたスポンサーが、
脳溢血であっという間にこの世を去ってしまったという。
当然のことだが、正妻でなかった彼女には何の遺産もない。

貯えもない上に、毎月の仕送りも止まっての転居という訳である。
もし彼女が40歳くらいから老い支度を意識していたら、
転居先も言えず、隠れて暮らすような老後を迎えることにはならなかったろう。
不倫は文化という石田淳一のことばに軽々しく踊っている人の話はよく耳にするが、
人生を甘く見たツケは余りにも大きいように思える。
サロンでの熟年おばさんたちの会話を聞いていても、
離婚して一人暮らしを望む女性が急に増えた気がする。
しかし、老いの一人暮らしは思ったより大変で、
法律改正で、年金の半分を受け取れるようになったとは言え、
それだけでは、とても夢のような一人暮らしは望めない。
特に70を過ぎれば体にはガタが来るし、
そんな状態での一人暮らしは、寂しさも一入なのだ。
また、そうなってからのもがき、あがきはとても見苦しく、
身近にそんな人を見ていても、見ている方も辛くなる。

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生き方を決めよう

そもそもこの「老い」とは一体何歳からなのか。
後期高齢者の75などと言う元気すぎる友もいるが、
ちょっと平均的には無理がある。
素直に考えれば、還暦あたりか又は定年退職後と定義した方がよさそうだ。
その老いに向けての支度は終わりへのカウントダウンではない。
それどころか、わくわくするスタート台作りの始まりだ。
長く、明るく、楽しい第二の人生への支度なのだ。
だからこの話は決して寂しいものではなく、
考えようでは、うきうきするテーマだ。
その証拠に、亡くなった高峰秀子と同じように、
40歳から老い支度を始めた私は老いた今が楽しくてしょうがない。
ところで、老いの支度って具体的には何だろうか。
墓を作った友もいる、遺言を書いた地主もいる。
家を二世帯住宅にリフォームする人も多い。
生前相続をして大失敗した知り合いもいる。
大好きな船を買い、釣り三昧の生き方もある。
老人ホームの本をこっそり買っている後輩もいる。
でも、この支度の前にすべきことがある。
老後を「どう生きるか」を決めなければ、老いの支度なんて何の意味もない。
そう、どう生きるかを具体的に俯瞰し、
何よりも最初にその答えを決めなければならない。
要するに、死ぬまで働くのか、
それとも、早々と隠居して何も生産的なことをしないのか。
そのどちらかを決めることこそ老い支度で最初にしなくてはならないことなのだ。
本来、生きとし生けるものは全て、五体満足なうちは、死ぬまで真剣に働いている。
農家のお年寄りで、60で畑に出なくなる人なんていない。
農家でなくても、人は働く方が生き生きとしていられる。
年金制度はとても大切な制度だが、
ある意味ではどこか人間の傲慢さの現れのような気もする。
調査によると、7割くらいの人が「元気なうちは働きたい」と言うらしい。
年金制度の先にあるものはきっとこんな調査結果と関連した、
全く新しい制度になるのではないか。
それでも、敢えて遊びほうけて生きたいのなら、それもその人の立派な選択だ。
兎にも角にも、特殊な資格や技能のない40代の人が、
もし、まじめに死ぬまで働くと決めたなら、今から資格の勉強でも始めたらいい。
運悪くその資格が取れなくても、その勉強は決して無駄にはならない。
それこそが老い支度の第一歩なのだから。

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ご近所の婆さんたち

偶然にも、健康サロンの向こう三軒両隣りのご近所さんは、
旦那に先立たれた所謂やもめさんばかり。
その中の一人が昨年亡くなった。
亡くなる4年前から重度の痴呆になっていた。
子供がいなかったので、親戚の人が施設に入れた。
家は荒れ放題だったが、亡くなって3ヶ月後に親戚の人が処分し、
その後、建売が2軒建ち、すぐに若い家族が入居した。
日本中で起きている典型的な現象だ。
家を売ったお金は本人の意思とは関係なく、
親戚の誰かのものになったのだろう。
老いの仕度は全くされていなかった人のよくある終末風景。
「後は野となれ山となれ」の考えならこれでいいのだが、
痴呆までは計算になかっただろうから、どこか寂しい結末だ。
痴呆になる前に土地を処分し、道筋だけでも自分でつけておけば・・・
恐らく、この人も「自分のことは別にして」という生き方だったのだろう。
痴呆、突然死、事故死、脳梗塞など、
あらゆる事態を想定してその時に備えている私には、
こんな行き当たりばったりの生き方はとても納得できない。
もう一人のお隣さんは頑固なお婆さん。
私も含め、近所の誰ともお付き合いがない。
80になるその隣の友人は彼女をよく言ったことがない。
足腰はしっかりしているが過去の記憶はかなり不鮮明で、
意味不明なことを言う、もちろん私にも。
余りに馬鹿なことを言うから、私も数回怒鳴りつけたことが・・・
こんな調子だからその人の子供たちも寄り付かないとの噂。
ある朝、突然の孤独死なんてことになっていなければいいが・・・
真向かいの方は、10年前に二世帯住宅に建て替えて孫たちとの幸せそうな毎日。
70を過ぎてから、体のあちこちが痛むとは言っているが、
こればかりは誰もが通る道だから致し方ない。
ご近所の五人の中では、唯一老いの仕度が出来ている感じのする人で、
サロンに来ても愚痴一つ言わない明るいお婆さんだった。

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仮面夫婦

「老い支度、してますか」と聞けば,
ほとんどの人が「まだ早すぎるよ」と言う。
その言葉通り、能天気に何も考えていない人もいるが、
無意識に老いの支度をしている人もまた多い。
健康サロンを経営したことで、多くのお年寄りにお会いした。
そこの多くの方々の老後に接して老い支度の様々なやり方と
その結果を面白おかしくまとめてみようという想いが湧いた。
男の老後、特に普通のお勤めをした人の老後はかなり定型化していて、
女性の老後と比べたら、全然面白くない。
定年後に退職金を使って株投資に走る男も多い。
今回、その中の多くの方々が大暴落に巻き込まれ、すってんてんになった。
将棋や囲碁、カラオケなどの趣味に耽る人も多い。
「こんな老後でいいのか」という疑念はひたすら隠し通して、
「いい人生だ」と嘯きながら、
娘夫婦や息子夫婦に気遣いしながらも孫の面倒を見て、
「かわいい、かわいい」と誰かれとなく自慢して、幸せぶる。
どのタイプの人にも共通することは、
「それが望んでいた人生ではない」ということ。
安全でお金のかからない生活は可能だが、
それでは毎日わくわくはしていられない。
こんな男たちの奥さんは、
大概、旅行は旦那とは行きたがらない。
外では、「別れられないから一緒にいるだけ」と、
サロンでお茶を飲みながら、女同士で盛り上がっている。
多くの退職した男は子供にも妻にも見限られている。
そんなことを知らぬは当の本人ばかり。
夢も持たず、趣味に耽っているそんな男の多くは痴呆へとまっしぐらだ。
「趣味に生きている」なんてただの口実で、
他に何にも出来ないからあんなことをしていると妻たちは見抜いていて、
外で旦那の悪口三昧なのだ。
それもこれも「老いの支度」をしてこなかったから。
わくわくした老後のために、魅力的な人でいるために、
老いの仕度は早ければ早い方がいいに決まっている。

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モットー

新年には、その年のモットーや心構えを壁に貼る。
今年は

①抜かれても、負けても楽し、余裕の人生。

高速道路を走るたびに想う
「なぜそんなに急いで走るの?
それじゃ、季節の移ろいにも気付けないよ」
昔は抜かれるのが嫌だった。
今は、抜いていく人が可哀想に思える。
ゆっくり走る人の方が豊かなんだよ。

②人のため、世のためになる、優しき人生。

何かをしてあげる、
そして笑顔が返ってくる。
これって、最高の喜び。
昔は求めすぎたような気がする。

③恥をさらさないために、年と共に弱っていく。

健康な生活は心がけるが
いつまでも健康でいたいなんて望まない。
それなりに老化すればいい。
長生きなんて望まない。
それなりの命で終えたい。

④人の痛みを知るために、この痛みがあるのだろう。

死ぬほど痛い腰痛を経験したから
腰痛の人に心から「お大事に」と声をかける。
事業経営の難しさを知っているから
苦しい人に「無理をしないでね」と言える。
人の痛みが分かるように
今の痛みがあるのだと言い聞かせている。

⑤目が覚めたらすぐに「ありがとう」と言い
 それから声を出して微笑む。声を出して。

本当にありがたいことが多い。
だから微笑む、微笑むと胃が喜ぶ。
長かった胃の変調も消えた。
怖いもの、醜いものからは遠ざかっていたい。
でないと、胃が痛む。

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飯島愛

「表がワル、中が純」
こんな人が都会のよどみにハマルと
いつかは生きていけなくなる。

学生時代、青山や六本木で遊びまくった。
夜のクラブでは顔パスだった。
かなりいい車に乗っていた。

悪の誘惑は数限りなく、
何度となく危ない思いをした。
「十代の飯島愛状態」だった。

でも、卒業を契機に東京を去った。
中に純が残っているうちに、
そう、ワルに染まる前に逃げた。
だから、飯島愛にはならなかった。
そして、あっという間に65歳。

愛ちゃんが根っからのワルだったら
きっと死ななかっただろうに。
中途半端にワルだったから
苦しんだ、悩んだ、薬を飲んだ。
そして、36歳で死んだ。

その優しさは純な部分から出ていた。
その優しさが死ぬ前の顔に出ていた。
その優しさが親にマンション1棟を贈った。
自分は家も持てなかったのに!

だから、多くの人がその死を惜しむ。
当時も多くの飯島愛がクラブにいた。
今も多くの飯島愛が生まれている。

純な心が残っていたら
ワルになり切れないなら
あの街には住まない方がいい。
あの街の染料には容赦がない。
どんなものでも染め上げる。

不思議:
でも、なんで中国で検索1位になったの?
そんなに彼女は有名だったの?
あの笑顔のせいなの?

写真説明:夕暮れ時のお台場

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最有効利用

横須賀市の最西端、津久井に住む友人から
「300坪の土地を相続したんだけど・・・」
という相談の電話が入った。

中学時代の同級生だった彼が、
20年前に親の家の近くに家を建てたのは知っていた。
問題は「今の50坪の土地に住み続けるべきか
300坪の相続した土地に越すべきか」の悩みだった。

聞けば、今は貯金の取り崩しと僅かな年金での暮らしで
その年金も国民年金だというから、あまり楽な生活ではない。
昔から派手好きだった彼、もう少し収入が欲しいともいう。

津久井の土地にアパートを建てる案も持ち込まれたのだが
駅から徒歩15分なので、空室率が気になるという。
その場で、仲間の不動産屋にいくらで買うか電話を入れると
「1.1億円でどうだ?」という。
建売屋には喉から手が出るほど魅力的な土地らしい。

この1億円で横浜の中心街に駐車場用地を確保したら
無借金だから、月に70万以上は稼げる。
年間の固定資産税がせいぜい50万
消費税は40万くらいだから、
月額60万以上の手取りは可能だ。
アパート経営なんかよりずっと利回りがいい。

辺鄙な街でのアパート経営なんかやって
気苦労ばかりの老後よりずっと気楽だ。
これぞまさしく「最有効利用」の典型。

日曜日に、半日かけてそんな説明をしたら
翌々日、夫婦で大変な額の着手金を手に
「全部任せるから頼む」という。

完全に任せてくれるこのタイプには
結果的に、賃貸経営の成功者になる人が多い。
私は、来年も忙しくなりそうだ。

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バランス

仰向けに寝て、膝を立て、右足を立てた左足に乗せて
右肩が床から離れないようにして組んだ両足を左に倒し、腰をねじる。
次に反対の動作で両足を右に倒し、腰をねじる。

この時、左右の腿の辺りの感じが違っている人が多い。
右に倒して右の腿の方が痛いとする。
つまり左に倒す方が楽なときには、その楽な方に3分倒し続けると
右に倒したときのあの痛みが嘘のように消える。

これって始めは凄く不思議な気がした。
痛いほうに倒して、「どうだ」と力を入れたくなるのが普通だ。
ところが人間の体にはバランスを取るという自然治癒力が備わっている。
これを利用するのがヨガの技法なのだ。

「ビリーの何とか」が流行ったことがあった。
これ、ヨガ的には最悪のエクササイズらしい。
何が悪いって、特に上半身のエクササイズが多すぎて
体のバランスを崩してしまう運動が多すぎるらしい。

年をとるということは「体が衰える」ということ。
そこで、運動したり、サプリを摂って抵抗するのがアンチエイジング
私も毎日たくさんサプリをお口に放り込んでいる。

だけど、何をやっても衰えるものは衰える。
そこで大切なのが、バランスよく衰えること。
ヨガは長い歴史の中でそのことを十分に分かっている。

ヨガ的には上半身よりも下半身のエクササイズを重要視している。
確かに見た目では筋肉隆々の上半身は魅力的だ。
しかし、長く健康で生きていきたいなら
下半身を鍛えるヨガの方がずっと体にいい。
人間の体は下を鍛えるとそれに見合った上半身が
バランスよく、自然に育つというのだ。

頭痛、肩こり、目の疲れで先生に診てもらうと
「これは腰が原因だから」と腰ばかり治療したりする。
反対に、腰痛がひどいときには
「これは首の7番の骨が原因だ」と首ばかり揉む。
腰痛で、お腹ばかり揉むときもある。

だから、上半身を育てたいときは下半身を。
上の頭痛は下の腰から治す。
下の腰痛は上の首から攻める。
背中の痛みは前のお腹からいたわる。

人の体って、バランスで健康を保っている。

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学び取る


自分で経験できること、そこから学べることには限界がある。
だから、優れた友人や先輩、教え子との情報交換をよくする。
こうすれば、人の何倍もの知識を得、よりよい人生が送れる。

こうしていると、どうしても会話には質問が多くなる。
もちろん相手が質問してくれば、懇切丁寧に答える。
こうして我々のグループは皆が平均以上の情報を得
その結果、色々な意味で充実した生活を送っている。

反対に、集まれば自慢話とか愚痴ばかりの人には進歩がない。
知り合いに、晩年を迎え、勢いがなく、金払いも悪くなった人がいる。
もちろん長年の自慢癖や愚痴癖が災いしている。当然、人も離れていく。
もちろん、いい情報がその人のもとに集まる訳がない。
その辺りには不景気風がびゅうびゅうと吹いている。

比較的高学歴の人が多いPマンションの住人を観察していても
情報を集め、それを生かそうとする姿勢の人は少ない。
そんな視点で9年間に63人の理事さんを見てきたが
積極的に情報収集をした人はその1割にも満たない。

こんな人が多いから、会社でも出世しているような人は少ない。
それでいて気位ばかりが先行して、挨拶も出来ないアホっぽい人が多い。
明るく、賢く、豊かな雰囲気の人は10人に一人ぐらいか・・・

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力を抜いて

「なんで儲かる駐車場経営に専念しないの?」
そんな質問をよく受ける。
儲かりすぎて夢中になり、最後に億単位の大損をした
あのゴルフの会員権の失敗を繰り返したくないからなのだが、
質問する人にいちいちそんな説明はしていない。
「飽きっぽいから」などと嘯いている。

学生時代始めた新橋のスナック「舞」に始まり
サラリーマン、塾、ゴルフ会員権業、弁当屋、パソコンスクール
健康サロン、時間貸し駐車場屋、不動産貸付業、セキュリティ、
トランクルーム業、そして次はなんだろうか?

新しい仕事をするとき最初に考えることは
「どうしたら儲かるか」ではなく、
「どうしたら損を最小限にできるか」が私のスタイル。
10回以上の新しい仕事の立ち上げで、
結果的に成功したのは、儲けをあまり期待しなかった時なのだ。

「儲けよう」という意識が強かった仕事はだいたい上手くいかない。
それは本当に不思議だが、未だにその原因が分からない。
「人助け、面白い、暇つぶし」など、軽い動機がいい結果を生んでいる。

欲に目がくらみ、恩を仇で返してしまった失敗もあった。
もちろんそんな欲張りな仕事は大失敗で、
その赤字は罰として今も私を苦しめている。

肩に力を入れず、先を見て、人様に迷惑をかけない、
こんな基本が分かってきたのはつい最近のことだ。
だから、「さぁー、やるぞ」と肩に力が入っている人を見ると
「力を抜いて」とつい忠告したくなる。

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仕込みの時期

12戸で4840万、1戸403万の新築アパート。
標準設備工事込みで6000万の新築物件を見学した。
とあるスポーツチームが全部借り上げ、利回りは16.8%。

有名プレハブメーカーの利回りとは比較にならない。
担当者が同姓の高木さん、若いのに説明が抜群に上手い。
高い利回りの秘密、秘訣がよく理解でき、今日も充実した一日に。

ただ、駐車場との併設にはあまり向いている建築法ではないので
新規土地の有効活用に向けて研究を続けることにした。
不動産屋さんがよく言う「間口12m理論」の謎も完全に解けた。

元来、本を読むことや沈思黙考することは苦手なので
現地を見て、その場でレクチャーを受ける今日のスタイルが最高。
不況で土地価格が暴落、不動産投資が益々美味しくなると彼の弁。
最近は彼の会社への問い合わせも増え、業績も右肩上がりだと。

不景気な人と会うよりは勢いのある人に会う方がずっと楽しい。
来年以降のために、更なる知識を増やしておかねば・・・
来年から3年間は何十年に一度の仕込みのチャンスになるだろう。

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備えあれば・・・

銀行の支店長が暮の挨拶に見えた。
もちろん話題は「不景気」
支店長もうんざりしているテーマだろう。

「巷では貸し渋り・貸し剥がしが話題になっているけど・・・」
「そんなことは全くありませんよ、高木さん」
「もともと借り過ぎの人がもっと貸せっていうから断るだけでしょ?」
「その通りなんですよ、返せる見込みがないからですよ」

資格のない人に貸して焦げ付けば
新銀行東京のように審査が杜撰だと責められる。
「全くマスコミは言うことがめちゃくちゃだ」と
支店長が真顔で怒っている。

話題はその審査の内容になった。
「所得のほとんどが元本返済額だなんていう人には貸しませんよ」
「年間所得が3千万でもそのほとんどが幽霊所得という人もいるでしょ?」
「ざらにいますよ、その場合はもちろん新規には貸しません」
「幽霊所得比率はマックスでどのくらい?」
「課税所得が3千万なら幽霊所得は5割の1500万が限界ですね」
「そうだよね、そのくらい残らなければ生活できないよね」

今、商売が苦しいからといって融資を申し込む人は
ほとんどの場合、年返済額が年間所得を上回っているという。
「返せない人が申し込んでも貸すべきだなんて馬鹿げた話しですよ」
まだ偽善者に対する怒りが収まらないらしい。

世の中、不景気の名の下なら何でもありみたいな偽善的風潮が
日本をどんどんだめにしていく。
「景気のいいときに備えを作らないからいけないのだ」と
本当のことをいう人が余りにも少ない。
「可哀想、可哀想」では人は育たない。

突然の不景気にも備えておくのが健全な生き方なのだ!
試験の前に風邪を引いても大丈夫なように
常日頃から復習をしておけと教えていた頃が懐かしい。

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心の健康サロン

健康サロンと言えば
多くの人は「体の健康サロン」を想像する。
この体の健康サロンを数年やっていたが
医事法との関係が難しく、しばらく休業していた。

そんな矢先、
心の健康サロンをやりたいという人が現れ、
この秋から、目出度くスタートした。

昨日、よく体の健康サロンに来ていただいた
お近くのYさんとばったりお会いした。
「お元気ですか」と訊くと
「お宅がなくなったから、元気じゃないのよ」とお世辞をいう。
「本当に済みません」
「でも、最近よく部屋の電気がついているけど、また始めたの?」
「いいえ、今度は心の健康サロンなんです」
「腕が痛くて、生きるのも大変なのよ、なんとかしてよ」

よく訊けば、
一番のお客さんだったIさんも亡くなったという。
そして、あの人もこの人もと5人の名を挙げた。
「健康サロンがなくなったからよ」とまた責める。

でも内心は
「あー、止めてよかった」と。
80歳以上の方が多かったから
亡くなっても私のせいではないが
「もし通っているときに亡くなったら・・・」
そう思うとぞっとした。

自分でも、医者の薦めるこの磁気シャワーは毎日使っている。
お陰で、肌のつやも頭の回転も仲間には負けていないが
「使っているから死なない」という訳にはいかない。
これを使っているから、元気な寿命は他の人より長いだろう。

でも、老化を止める健康器具はまだこの世にはない。

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田母神氏、偽善者どもに負けるなよ!

「ヤフーのアンケート」でも
「朝まで生テレビ」でも
田母神氏への支持が圧倒的多数になった。

いい悪いは別にして
「何でも日本(自分の国だよ)が悪い」で
他国に正義を主張できないこの60年間に
我々日本国民にはストレスが鬱積しすぎた。

いい悪いは別にして
今の日本は、ヒットラーが「我が闘争」で
アーリア人の優秀性を鼓舞した頃に似てきた。
「日本をなめるんじゃねーよ」と。

いい悪いは別にして
田母神氏をあそこまで支持する人が多いとは驚いた。
マスコミが弱気なことばかり言っていると
近いうちに若い将校がクーデターを起こすかもしれない。

中国からならまだしも、北朝鮮にまで馬鹿にされ、
台湾には好きなように領海を侵され、
韓国には領土を奪われ
ロシアには4島返還で相手にもされない。

この閉塞感が何とも息苦しい今日この頃だ。

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競争倒産

「250人もいたのに何で?」
N地区のあの個人塾がつぶれた訳を
こんな形で訊かれたことが何度もあった。

1988年、今から20年前、
N学区の小学4年から中学3年までの
総生徒数は800人だった。
その内K塾生が250人、その個人塾生が250人。
残りは遠くの塾へ行ったか塾に行かない生徒だった。

それから17年後、2005年には
この地区の総生徒数が500人に減り、
その間に、駅前に大手塾が2校進出してきた。

この大手塾はその知名度でそれぞれ125人の生徒を集めた。
とばっちりで、K塾生とその個人塾生数はそれぞれ50人に。
結果、この二つの塾は姿を消したという訳だ。

市場が縮小し、更に大手が過当競争をすると
どんな業種ででも同じようなことが起こる。
だから、中小企業の経営者は
自分がモンスターになる道を選ばないのなら
いつかモンスターに消されてしまう前に、
自分から消える準備を周到にしておかなければいけない。

どんなに儲かる業種でも
桁違いに儲かるのは7年くらいだということを
肝に銘じて商売をしなければならない。

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年間賃料収入が2億になろうかという
あの大地主がちょっと苦しいらしい。
4年前から始めたBRICs系ファンドが総崩れ
老人介護施設も所謂「満室ピンチ」
絶対確実だと始めたコンビニも予想外の万引き赤字。
駅前の商業ビルも4室が空室。

そんな訳で、流石の彼も相当滅入っているという噂。
ファンドは銀行が彼に持ちかけた話。
去年までは「ファンドで毎月3百万は儲かる」と豪語していた。
全てが取らぬ狸に終わり、億単位の損失らしい。

シニア施設が5年で死んでくれる計算で貰う入居一時金。
入居者のほとんどがその倍以上生きるので一時金が底をつく。
だから、あちこちの老人施設が「満室倒産」の恐怖に慄いている。

今年始めたコンビ二は毎月の万引きが70万もあり
確実に毎月赤字になるらしい、よくある話だ。
還暦を過ぎて道楽でやるには厳しいお仕事だ。

そしてお決まりの「がらがら商業ビル」
駅前で8室中4室が空室ではさぞかし苦しいだろう。
どうやってテナントを探すのか、思いやられる。

今回の不景気は半端ではなさそうだ。
じっとこんな様子を横目で見ながら、
「次は何をしたらいいのだ?」と私も思案に暮れてる。
下手に動くと怖い時代だ。

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貪・瞋・癡


貪:貪欲(とんよく,どんよく)ともいう。
  貪(むさぼ)り求める心が貧しさを生む。
瞋:瞋恚(しんに)ともいう。怒りの心。
  怒りが病を生む。
癡:愚癡(ぐち)ともいう。無知の心。
  無知な人は感謝を知らず、愚痴が多い。
仏教用語で、「トン・ジン・チ」と読む。
仏教でいう人を不幸にする三大毒素。

今の自分に照らし合わせてみる。
貪欲か?
家族の幸せだけでなく、
周りの人の幸せにも気を配っている。
今は、それほど貪欲でもないように思うが・・・

瞋恚(しんに)か?
機嫌が悪くなることはあるが
人に怒りを覚えることはない。
まぁ、まぁだろう。

愚癡(ぐち)か?
人の話には耳を傾ける。
だから、それほど無知だとも思わない。
本を読み、それなりに勉強をしているから、
愚痴を言うこともない。

これからも貪欲にならず
怒りは敵と思い
真理を学び
いい顔の老人になりたい。

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リース倒産

11月の理事会のメインテーマは
AED(自動体外式除細動器)の購入。
心室細動になった心臓に電気ショックを与え、
正常なリズムに戻す今流行の医療機器を
このマンションロビーに導入しようというのだ。
日本一のマンションを目指してのいい提案だと大賛成。

70歳以上の方が20人以上もいるので
反対者はゼロだったが
問題になったのはその購入方法。

ぼさぼさ頭の40前後の理事が口を開く。
「絶対にリースの方がいい」と
その有利性をまくし立て、謙虚さがまるでない。
「自分の意見は絶対に正しい」というその傲慢さが許せない。
最後に、「・・・と思いますが」と一言でも言えば可愛いのに。

自己資金がある場合なら100%、買取の方が得なのだが、
リース屋は保険をつけたり、リースアップ後の所有権移転など
色々とリースのメリットを並べ、お客を惑わせる。

AEDの動産保険など年に6千円以下でかけられるし
技術革新の速い商品をリースアップ後に自己所有しても意味がない。
またリースの方が早く費用化できるというが
マンション管理組合に費用化の必要性がない。
そんな説明をしたら、彼は下を向いて唇を噛んでいる。

たまにある超低利の戦略的リースなら話は別だが、
リースを使って初期投資を減らすのは一種の麻薬だ。
思惑通りに事業が展開しないときには
このスタート時のリース代金が重くのしかかり
早晩、倒産という汚名を負うことになる。
事業の計算が狂うことなど日常茶飯事だということを
長い人生で嫌と言うほど経験してきた。

私の知っている倒産事例のほとんどが
リース代とローン返済の重荷が行き詰まりの原因だ。
若いときならともかく、長い人生の後半に
リース代だのローン返済などが積み重なり
経営難に陥るのだけは避けて通りたい。

豆知識:戦略的低利リース
 外車販売会社は、ニューモデルを出す半年くらい前から
1%台の低金利ローンをつけて現行車を捌こうとする。
これが戦略的低利ローン。
 同じように、何か隠れた目的で低利のリースをつける場合がある。
私の駐車場ビジネスでも、機械を超低利のリースをつけて拡販する
場合がある。機械を売る利益よりは売った後の儲けを狙っている。
リースの利益を無視したこのような低利のリースを戦略的リースという。

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震災時のオーナー責任

近所のあまり手入れがされていない古いアパート。
どう考えても築50年以上には見える。
大きな地震が来ればひとたまりもなさそうだ。

ところがそんな建物にも人が住んでいる。
きっと家賃が安いのだろう。
需要と供給が一致すればそれでいいのだろうか。

塾を経営しているとき
台風が来るたびに校舎の看板が飛ばないか不安だった。
飛んだ看板で人に何かあってはいけないからだ。

災害時に於ける建物所有者の責任はどうなっているのか。
長い間、「勉強しなくては」と思い続けていた。
そんな折、ちょうどぴったりのセミナーに誘われた。
「災害時に於ける建物オーナーの責任と対策」

55歳という弁護士の江口先生
歳よりは若く見えたがその語り口は自信に満ちていた。
阪神大震災でのケーススタディから講演が始まった。

地震でホテルが倒壊し、
そこで亡くなった方の遺族が起こした裁判だった。
判例では、未曾有の災害ではあったが
増築時の工事の手抜きが原因だったから
所有者にその損害賠償責任があるとする判決がでた。

普通は、震度5に耐える耐震基準をクリアすれば
建物オーナーには所有者責任はない。
だから、震度6とか7の未曾有の地震で建物が崩壊しても
建物所有者には損害賠償責任は発生しないという。

ここで問題になるのが耐震基準なのだが
突然、「保有水平体力と必要保有水平体力との比率」などという
難しい話になり、急に眠気が襲ってきた。

それでも姉歯の問題を思い起こしながら話を聞くと
建築基準法が要求する基準は1.0で
0.5以下では建物そのものを使用してはいけないらしい。
要するに、建替えなくてはならないというのだ。

耐震改修促進法では0.6以上になるように補修をしろという。
だから、それ以下の建物だったら、絶対に損害賠償請求される。
建物を所有し、それを貸すという仕事も楽な仕事ではない。

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外付けハードディスク

PCに取り込んだ写真が千枚近くになり
空き容量をみると、15%を切っている。
何となく動作も遅いような気がするので
外付けのハードディスクにこの写真を落とすことにした。

上大岡のヨドバシカメラに行くと
外付けのハードディスクはもうテラの単位だった。
2の40乗で約1兆バイト、目の回るような容量だ。
それもたったの15000円、新しいパソコンなんて買う必要がない。

一般的な映画のDVDディスクが5ギガ弱だから
この外付けのハードディスクには200本分が収まる。
なんと凄いことだ、数年前には考えられなかった。

「写真の保存が主目的なら8ギガのUSBメモリーの方がお得です」と
店員さんがいうので、3500円の細いタイプのものを買ってきた。
早速落とし込んで見ると、1%くらいしか使っていないではないか。
この分だと、300万画素くらいの写真なら1万枚近くはいけるだろう。
どうやら死ぬまで使えそうである。

数年前に買ったUSBメモリーが64メガバイトで
当時は何の不便もなかったし、それで十分だった。
この目の回るような進歩と変化についていくのは
並大抵なことではなさそうだ。
ふー。

豆知識:テラ
テラとは情報量の単位の一つで、
1兆(10の12乗)バイトまたは約1兆995億(2の40乗)バイト。
通常、単位の接頭辞は1000(10の3乗)倍ごとに決められており、
「キロ」が1000倍、「メガ」が100万(10の6乗)倍、
「ギガ」が10億(10の9乗)倍、「テラ」が1兆(10の12乗)倍を意味するが、
情報の世界では2の倍数の方が処理しやすいため、
慣用的に1024倍(2の10乗)ごとに接頭辞を付けることが多い。

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テラな人生

私の机の両サイドにあるファイリングキャビネット。
これって、まるで私の脳の外付けハードディスクのようだ。
このキャビネットには私の人生の65年分の資料が入っていて
完全に忘れていることも瞬時に取り出せて蘇る。

先日、とある工事の見積もりを依頼した。
「50万円でいかがでしょうか」と言ってきた。
その場では、高いか安いか分からない。
例のキャビネットから以前の類似工事の資料を出す。
2件ヒットし、2回とも35万円くらいだ。

「高くても38万円でお願いします」と知らせる。
こんな風にして、このファイリングキャビネットは
私にとってはなくてはならない存在になっている。

こんな外付けのキャビネットを持たない人は
その人生で損をすることがあるのではないだろうか。
せっかくその人生で積み上げてきた貴重な経験を
生かしきれないのはもったいない。
テラの人生か、ギガの人生か、メガの人生か。
どの人生を選ぶかはその人が決めればいいことだが・・・

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高齢者用賃貸住宅

資産活用塾と称したセミナーにも行ってみた。
主眼は「後期高齢者を対象にした賃貸住宅」
広義の順に、高齢者円滑入居賃貸住宅(通称、高円賃)
高齢者専用賃貸住宅(高専賃)、高齢者向け優良賃貸住宅(高優賃)

縛りがきつくなるほど公的支援が得られるようになる。
高円賃は建築上の縛りはなく、
高齢者の入居を拒否しなければいいだけ。
特典は、入居希望者の公的紹介が得られ、
大家が一番望む入居率のアップが図れる。

高優賃になると、バリアフリーにしろだの手すりをつけろだの
建築上の縛りが多くなる代わりに建設費に公的助成がついてくる。
もちろん、入居率アップに対する行政の支援も桁違いに多くなる。

日本の高齢者用賃貸住宅は欧米諸国に比べ、たったの三分の一。
ビジネスチャンスとしての市場は限りなく大きいらしい。
それに比べ、単身者やディンクスを対象とする従来型賃貸住宅は
既にその市場はピークアウトし、競争は熾烈を極めている。

ただ、最後の個別相談会で確認したその利回りはそれほどでもなく、
世の中に「美味しい仕事は少ない」という思いを強くした。
やはり、人がまだ目をつけていないことをやる方が
圧倒的に儲けは大きそうだ。

講演者に私が最初に時間貸し駐車場をやったときの利回りを話したら
「そんなに儲かる商売はどこにもない」と目を丸くしていた。
大きな利益を望むなら、あまり人がやっていないことに
いち早く取り組む方がずっといいのは言うまでもないことだ。

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定期借家契約

事業の世界は目まぐるしく変化していく。
そんな世界を生き抜くためにセミナーにはかなり頻繁に足を運ぶ。
今日のセミナーのテーマは「定期借家契約」

昭和16年の戦時体制下、
戦地に赴く軍人の士気を高めるために改正された借家法は
一家の柱が亡くなっても銃後の家族が路頭に迷わないように
借家人に居住権という日本にしかない変な権利を与えてしまった。

戦後、この世界に稀な借家法により日本の街はスラム化していく。
結果、神戸の大震災で長田区の商店街は全焼し、多くの死者を出した。
この大惨事でやっと政府も動き、新しい「定期借家法」が施行された。

しかし、あれから8年、この新法と以前の法律が混在し
依然として日本の街の近代化は遅々として進んでいない。
居住権に付随した立退料が大きな障害になっているからだ。

現在、この新法を理解している大家さんはほとんどいないらしい。
8年経っても、街の不動産屋さんがこの新法を使いこなせていないのだ。
当然大家さんも旧態然とした借家法に泣いていることが多い。

旧法では賃貸借契約は期日が来ると「更新」か「法定更新」になる。
法定更新とは早い話が永久に借りることを法が認めるということ。
正当な事由があっても更新を断ることはほぼ100%不可能なのだ。
無理に退去させるには法外な立退き料を用意しなければならない。
だから、日本の街はいつまでも雑然として汚らしい。

今後建替えなどの予定がある場合は
早々に「定期借家契約」にしておいた方がいい。
一番の違いは新法では「更新」ではなく「再契約」となる。
そうなると、必然的に入居者よりも大家の立場が強くなり
入居者は「契約満了時に追い出されるのでは・・・」と考える。
その不安を解消するために、「条件付再契約保証」なる条文を入れる。

また、賃借申込人から説明を受けた旨の説明書受領書を受け取り
さらに、契約書は公正証書にしなければならないなど等
8年経って浮き彫りにされた問題点を3時間も勉強した。

「あー、疲れた」

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ポートフォリオ


90歳まで生きた祖父の口癖
「財産は三つに分けておけよ」
その三つとは、貴金属・株式・不動産

世間で言う、「現金・株式・不動産」とは少し違う
そう、現金がなくて、代わりに貴金属が入っている。
これは世界を股にかけて仕事をし、
二つの世界大戦という激動の時代を生きた祖父らしい考え方だ。

「紙幣は紙切れだ」と言い、
「どんな時代にも頼れるのは貴金属、特に金だ」
そう子供の私に説明していた。
確かに今の私にはほとんど現金や預金がない。
その意味では、言いつけを守った素晴らしい孫だ。

私の現状は余りにも不動産に偏っている。
今回の金融不安で、急に祖父の言葉を思い出した。
「そうだ、もう少しバランスの取れたポートフォリオにしよう」
不動産を減らし、貴金属と株を増やさねば・・・

株はやっぱりインドや中国だろう。
まだ5年はこの二つの国の成長が経済の中心だ。
貴金属はレアメタルがよさそうだ。
オーソドックスに金もいいかもしれない。

「あー、人生って長いなー、いい老後が迎えられますように!」

豆知識:ポートフォリオ
ポートフォリオとは、投資対象の金融商品の組み合わせや
企業経営上の事業の組み合わせ、製品商品販売上の組み合わせなど、
複数以上ある管理運営対象の固まりの全体を指す。

事業にしても投資にしても、事業家や投資家は、
単に個別の期待収益の総和を最大化するだけではなく、
そのリスクも回避しながら、安定的に収益を獲得していく必要がある。

このためには、投資対象及び事業内容、
製品構成などの\””分散\””を図る必要があり、
これを検討した結果がポートフォリオと呼ばれる。

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運気

自分で言うのもはばかれるが
私と親しくしている人には運のいい人が多い。
経済的にも安定しているように見える。

訳あって、私から離れていった人の中には
その後、落ちぶれていった人も多い。
少なくとも金運は落ちているように思えてならない。
世の中には、運気を運んでくる人と
運気を奪い去る人がいる。

50年来の友人Aと数時間お茶をした後
楽しい会話を反芻しては
そんな思いを強くした。

学生時代よく遊んだMには多くの人が唆された。
栄光から東大へと進んだ彼は中々のハンサムだった。
そんな彼は自営業の私にも幾つか仕事の話を持ってきた。
しかし、いかにも美味しそうな企画ばかりだったが
何故か、私はどの話にも乗らなかった。

もちろん彼には悪気などなかった筈だ。
なぜなら自分の息子にもそんな話の幾つかをやらせたから。
その息子の仕事もうまくいかなかったところを見ると
彼には「運」に関係する何かが欠けていたのだろう。

運気を感じられない人と付き合うと人生は必ず失敗する。
運は頭の良し悪しだけでは決まらない。
それが人生の面白さだ。

運気は人との相性にも深く関わっている。
仕事でも遊びでも私と馬の合わない人が現れると
「相性を利用して神様が私から運気の悪い人を遠ざけてくれている」
そんな風に考えている。
だから、相性の悪くなった人を敢えて追うことはしない。

そんな相性の悪い人と自分の
どちらが神のご加護を受けているかはすぐには分からない。
しかし、10年もするとその答えは出ている。
長い歴史にはそれだけの重みがある。

ともかく、運気の悪い人には近づかないことだ。
近づくとろくなことはないし、近づかれてもいけない。
どんなにまじめに生きていても
運がなかったらうまくはいかない。

人の運気は顔に表れていることが多いが・・・
でも、運気って本当は何なのだろう?

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木造か鉄骨か

埼玉のカリスマ大家の鈴木さんでさえ恐れているのが
雨漏り、シロアリ、漏水。
先日、雨漏りとシロアリに犯された家の土台を見た。

築30年の木造家屋。
屋根を見ると内樋だ。
「内樋は見た目がいいが、手入れを怠ると怖い」
40年前に、I建設の社長からそう教えられていた。
その現実を目の当たりにした。

大雨が内樋でオーバーフローしたり
葉やボールやごみがドレーンに詰まったり
酸性雨で樋に穴が開くと、
内樋の場合は即雨漏りになる。

外壁を見ると、柱に沿って大きな亀裂が入っている。
雨水が天井から落ちないで、壁の中の柱を伝わったから
その家の住人には雨漏りが分からなかったらしい。

腐った柱はシロアリの格好の餌食になり。
家を支えるはずの柱が宙に浮いている。
家はかろうじて間柱で支えられていたのか。
傾いていないのが不思議なくらいの光景だ。

「どう対処するのかな」と翌日見に行くと
腐った柱の横に太いサポート用の単管パイプが添えられた。
「なるほど、単管パイプとは頭がいい」
ご存知のように、このパイプは雨水なんかでは腐らない。

数日して、また見に行った。
今度は腐った柱の横に太い木の柱も添えられた。
二重三重の備えだ。
「この建築屋さんはなかなかいいな」と感心する。
木造の家に単管パイプを利用するなんて
中々思いつくアイデアではない。

セキュリティの工事で伺った木造の家でも、
風呂の水の漏水で柱が腐っている家を何度も見たことがある。
中古でそんな家を買わされた人も知っている。
こんなときには単管パイプが大活躍しそうだ。

この2〜3年、単管パイプの便利さに感動している。
これからは純粋な木造とか鉄骨の家はなくなり
建材それぞれの長所を取り入れた
合いの子建築が増えていく予感がする。

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貸方と借方

もう30年以上、会社の決算をしている。
なのに、貸方と借方の言葉の由来を知らなかった。
年を重ねるにつれ、より恥ずかしくなり訊けなくなった。
「法学部卒だから知らなくてもいいんだ」と嘯く。

3年後、消費税が10%になるなんて
馬鹿げたニュースが流れている。
それなりに対策を立てなければと
「上手な決算対策」という本を買ってきた。
読んでいたら、偶然、この長い間の疑問が解けた。

貸借対照表では、事業のために集めてきたお金の欄が右側。
例えば、銀行からの借入金とか株主からの資本金など。
このお金を左側の欄に貸すから、右側が貸す方、つまり貸方。
「なるほど、そうなんだ」

この右側から借りたお金の運用状態を示すのが左側。
当然借りてきた方だから借方と呼ぶ。
こちらには、現金、預金、商品とかの金額が並んでいる。
「なるほど」

銀行借り入れ500万、資本金1千万を左側に貸したとする。
借りた運用者は、その金で1千万の商品を買い
残りの500万は運転資金として預金したとする。
貸方1500万、当然借方も1500万、バランスが取れる。

その後1年間商売をしたら、当然決算をする。
700万円分の商品に300万円の利益をのせて
1千万円が入ったとする。それをすぐに預金する。
商品の残りが300万円、預金は1500万になる。
借方の合計は1年間商売をして、
預金と商品を合わせ1800万に。
この増えた300万は利益剰余金として右側に載る。
だから、1年後は貸方と借方が1800万に成長する。
貸借対照表に見る企業活動の基本的な姿だ。

「そういえば、友人のAがこんなことをよく話していた」と
急に彼のなんとも言えぬ優しい笑顔が目に浮かぶ。
こんな基本的なことから書いてある本なのだが
10%の消費税対策もしっかりと説明されている。
「よーし、今後馬鹿げた消費税は一銭も払わないぞ!」

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嫌われ上手

毎週一回はお茶をする友達が3人はいる。
どちらからともなく、
「お茶でもしようか」と声を掛け合う。

もし、そんな友達が10人もいたら
自分の生活はずたずたになり、
やりたいことも出来なくなるだろう。
家族や大切な友人を維持するにも
今くらいの人数が心地よい。

そんな私が長年通い続ける小料理屋がある。
そこに行けば必ず顔見知りの常連に会う。
その店で人気の男たちが次々と病気になったり
離婚したり、その内の何人かは亡くなったりした。
何と彼らは私より若かったのに。

だから、そこで人に慕われたらお仕舞だと思い始めた。
数年間、週に三日も四日も飲んだら、
どんなに丈夫な人だって病気になるし、
温かい家庭も大切な友人関係も壊れる。
なのに、「明日も来いよ」なんて声が飛び交っている。
あー、怖い、怖い。

行くたびに、そこで人気の男たちを観察していると
充実した時間を失い、ただ流されているとしか思えない。
世間の多くの人は「好かれる」ことを望むが
この店での様子を見ていて、
「このような場所で好かれることは破滅につながる」と
つくづくと思うようになった。

だから、そこで常連さんに会っても
出来るだけ話をせず、敢えて付き合いの悪い男を演技する。
時には、「そばに来ないで」と願いつつ
相手を傷つけるようなことをわざと言う。

最近は、好かれることと同じくらいに
嫌われることが大切だと思う。
嫌われるためには勇気と知恵がいる。
少なくとも、好かれるよりは難しい。

写真説明:イタリア料理「オッツィオ」

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男の魅力


ネオンが灯ると足の向く小料理屋が数軒ある。
行けば顔見知りの何人かに必ず会う。
料理も旨いが、話も楽しい。

「男の魅力を5つ挙げたら・・・」とHさん。
「経済力、包容力、誠実力、それから・・・」と答えると
「性力、面白力」と隣の客が続ける。
「面白力って何?」
「知的で、話題が豊富で、料理も少し出来たりして・・・」
「社長のCEOはcrazy erotic onanist の略だなんて
博学なことを言ったりすること?」
「ガッ、ハハハ、その通り」

「この内いくつ持ち合わせていればいいのかな?」
「5つは無理だ、三つで十分だな」
「一つだと離婚は立派に成立するよね」
「二つなら?」
「二つは平均点で、合格だよ」
「年をとると性力は減るけど、経済力が強まるね」
「学歴は?」
「経済力に関係するけど、魅力ではないね」
「家系によっては学歴を重視するけど、魅力とは違うね」
「そうだよね」
「顔や背は?」
「んーん、難しいな、女によるのかな」
「それはともかく、臭い男は絶対に嫌われるよね」
結局、最後まで結論がでない。

こうやって今日も上大岡の夜が更ける。
帰り道、自分はどうかと真剣に考える。
夜道の寒さが身に凍みた。

写真説明:斑尾芸術祭でフィンランドから来た
若いコックさんと。斑尾の雪は最高だと彼も言う。

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親友

渡辺淳一が面白いことを書いている。
「年齢と共に親友は減る」と。
流石に売れっ子小説家だけのことはあって
含蓄のあることを言う。

高校、大学なら誰だって友達の数人はいる。
それはそこが横の社会だからだと彼は見抜く。
ところが、社会に出て、会社などに入ると縦社会になる。

入社して同期に出世の差がないときは横の意識がある。
しかし、出世に差が出、収入や生活に差が出てくる。
同期の間に嫉妬や妬みが渦巻き始め、縦の意識が強くなる。
当然親友意識は失せ、敵対意識が生まれる。

高校、大学の仲間との間にもそんな感情が生まれる。
「同窓会に行っても出世した人は浮いている、だから
周りを傷つけないように十分に気を遣わなければならない。
そうすると疲れるから、もう同窓会には行っていない」と彼は言う。
こうして、縦社会の平均帯から離れた人ほど
真の親友を持つことが難しくなっていく。

では、そんな浮いた男はどうやってその寂しさを紛らわすか?
そこが彼らしい結論になる。
「妻でも彼女でもいい、本音を語れる女性が必要だ」と。
男と女の間には縦の関係はないのだそうだ。
同感である。

写真説明:秋の蓼科、八ヶ岳を望む。
今日も蓼科大好き人間と朝のお茶をした。

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黒字倒産

相変わらず黒字倒産が続いている。
今月早々、付き合いのある
横須賀の大手建設関連会社がやられた。
黒字で倒産したのだが、
その訳が分からないという人が多い。
だから、私が塾を売った真意が
分かってもらえないのも無理はない。

1千万円の元手に4千万円の借入れを加え、
合計5千万円で1千万の利益を出したとする。
ROE(資本利益率)は何と100%になる。
1千万円で1千万円を生み出すのだからすごい。
これが今流行の借入金を利用したレバリッジという手法だ。

ところが、ひとたび利益が減ると
この4千万の返済が重荷になり、黒字なのに倒産する。
例えば、資本金1千万、借入れ4千万で塾を始めたとする。
5千万円で年間1千万の税引き前純利益を出せば誰もが褒める。

しかし、5千万円はそのほとんどが設備費で消える。
設備は減価償却対象で立派な資産だが、資産価値はゼロだ。
取り付けられた空調機器や黒板、コピー機、パソコンなんて
売れたって二束三文、引き取り代を取られるのが関の山。
普通の会社の帳簿上の資産なんてこんな空しいものばかり。

4千万を2.5%で借りて5年返済すると
年間返済額は約850万円、
その内、経費参入の利息は年間100万。
設備費の減価償却が年間450万あったとしても、
返済分のうち300万円が税引き前利益に含まれてしまう。
利益だが現金がない、これが所謂幽霊所得だ。
当然これに32%くらいの法人所得税を払わねばならない。
(800万超の利益だと42%に税率が上がる)

ちょっと生徒が減って税引き前利益が3百万円になると
立派な黒字だが税金を払う金がどこにもない。
そう、約百万円のショートで黒字倒産だ。

これを役員会でいくら力説しても
分からない人がほとんどなのが現実。
皆が「黒字だから給料を上げろ」と私を睨む。
だから、社長は孤独だ。

写真説明:孤独を癒すには海が一番だ。
横浜へ戻るのに、わざわざ逗子を通っていく。
素晴らしい夕日に孤独を忘れる。

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「歩ける、食べられる」が嬉しい


10月に、琵琶湖を一日で往復。
距離にして千キロは優に超す。
「まだ若いな」と自信を持つ。

図に乗って、次の週には斑尾へ。
慣れない外国料理で腹を壊す。
食べたものを全部吐き出し
その後から、すごい腹痛。

二日後、掛かりつけの医者へ。
「胃潰瘍で、全治40日ですね」
それ以後、お粥だ、うどんだと柔らかいものばかり。
今日で2週間、そろそろ旨いものが食べたい。

思えば、ひどい腰痛で歩けなかったとき
「歩けるって本当に幸せだ」と感じた。
今は、「食べられる」って本当に幸せだと思う。
当たり前のことができる幸せを大切にしよう。
もっと、もっと丁寧に生きよう。
改めて、「普通であることに感謝」

写真説明:富士山の7合目を目指して

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マキアヴェリズム

むかし読んだことのある本を再度読む。
それも30年ぶり、40年ぶりに読むと
昔とは全く違う読後感がする、実に楽しい。

マキアヴェリの「君主論」は学生時代に読んで以来45年ぶり。
改めて自分が多くの社員を抱えた会社の社長としては
全く相応しくなかったことをしみじみと思い起こす。
そして、今のような一人社長のシステムを構築したことが
本当に賢明だったとその強運を神に感謝する。

マキアヴェリは言う
「リーダーに最も必要なものは恐れられることだ」と。
自分が恐れられていたかどうかは分からない。
ただ、恐怖を抱かせる素質はあってもその環境がなかった。
駄目な社員に「辞めろ」と怒鳴ったことは一度しかない。
本当はその何倍も言いたかったことを考えると
全くの失格だ。

昨日、その頃の社員と話した。
「先生は新入社員のKにまで気を遣っていて可哀想だった」と。
そんなことまで気付いていたのかと驚く。
今思うと、気遣いで疲れるなんて本当に馬鹿げていた。
恐怖どころか甘やかしばかりだった。

社長を辞めてよかった。
会社を売ってよかった。
不動産貸付業者になってよかった。

いい人生を神に感謝。

写真説明:青山で見つけた素敵なお店
鉢も花も全てが個性的なものばかり。
東京ってやっぱり刺激的。

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事故発生

「電気の検針メーターが壊されました」
夜10時、トランクルーム会社からこんな一報が入った。
そこは3階建てのトランクルームの建つ時間貸し駐車場。

「壊した車は分かっているの?」
「はい、大丈夫です、弁償させますから」
大したことがなさそうでほっとする。

それから10日ぐらいして
「相手が損害賠償を請求してきました」
「えっ、こちらが損害を受けた方でしょ?」
「ええ、でもメーターが出っぱっていたのが悪いって」
「それで」
「弁護士から25万円を請求請求する内容証明が・・・」

話には聞いていたが
日本もとうとう訴訟社会に突入かと耳を疑う。
悪徳弁護士には慣れているので驚きはしないが
相手の言う通りに払うつもりもない。
「裁判でもやるか」と、準備にかかる。

相手の要求を無視して1週間
「どうするんだ」と矢の催促。
現場を何度も検証し、勝てるかどうかの打ち合わせを。
「最低でも2万、最高なら修理費の半額の支払い義務あり」
これがこちらの弁護士の見解。

更に裁判にかかる費用が10万前後だという。
全てを勘案し、裁判を避け、「8万円でどうか」と回答した。
しかし、相手は「半額出さないなら裁判だ」といきまいている。
再度こんな馬鹿げた要求を無視。

程なく相手の弁護士からこちらの案で和解するという返事。
この壊した男はトータルすれば一銭の得にもならなかった筈。
結局、小利口ぶって損をする人間の典型だ。
もちろん、こちらは最終的には一銭も損はないし、
「勉強ができた」という点では逆にいい事件だった

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キャッシュフローの使い方

初めて取引をする若い営業マンが言う、
「賃料の半分が返済で、残りの半分は夜遊びに使えますよ」

当らずとも遠からずなので
「そうだね、いっちょやるか」
と景気よく応える。

もちろん、内心は違う、
「こんなことを言うから、素人さんが怪我をするんだ」と。
こうして訳も分からず賃貸業を始め
その当てが外れて、沈んでしまった
ぼんぼんの投資家が私の周りにも数人いる。

地主でない人が不動産賃貸業に参入したら
しばらくは楽の出来ない日々が続く。
賃料の半分も遊んで使えるのは
余ほどの頭金を持っている豊かな人だけだ。
それほど賃貸業は甘くない。

ともかく、最初はキャッシュフローを出来るだけ返済に充て
長期のローンでも出来るだけ早く返済を完了させ、
空室状態を恐れなくてもいい安全圏に入ることが肝要だ。
ロケットの発射ではないが、賃貸業も発射時が、
つまりスタート時の心構えが一番大切なのだ。

例えば、38歳で賃貸業を始めたとする。
20年ローンを組んだとしても
最初の物件は50歳前に返済を完了させ、
その後ゆっくり、贅沢をすればいい。
この贅沢は決して無駄な贅沢ではなく、
次なる事業展開の大きなモチベーションになってくる。

だから、スタートの10年は、キャッシュフローを
出来るだけ生活費には使わないで返済に充てる。
夜遊びなんてとんでもないことだ。

人生50年と思って生きてきた。
なのに、会社を売ってからもう23年が経った。
もう、四半世紀近く、賃貸業だけで食べてきた。

今は、人のやらない賃貸業を考えている。
「月7万円で食住を賄う夢のようなアパート」
キャッシュフローをこれにつぎ込む。
ちょっと無謀か?
まあ、夢を見るのは自由だ。

写真説明:千曲川
何度も通った斑尾への道中
この秋の信州がとても新鮮に思えた。
軽井沢を過ぎるとなだらかな下り坂
左右に流れ去る山郷の景色
これが今までと全く違う印象なのだ。
「信州っていな」と心底感じる。
8時に横浜を出て12時には到着
昼飯は「うなぎの本多」
大混雑で1時間も待たされた。
「こんなに人が来ているんだ」と
ちょっと嬉しかった。

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積算

〜タイルの価格、〜壁材の1平方メートル当りの単価、等など。
ホームセンターへ行けば、必ず一つは覚えるようにしている。
賃貸物件のクレーム処理で管理会社から届く見積書に
イエスかノーの答えを出すためにはどうしても必要な知識だ。

逆に、AIセキュリティとしてはお客様から
「カメラ3台の見積もりをお願いします」と言われる。
私には、受注者としての顔と発注者としての顔の二つがある。

お仕事を頂くために見積もりをするのは当然のこと。
しかし、当然とはいえ、図面を書いて積算をして
現場に何度も足を運んで確認して、見積書は出来上がる。
結構大変な仕事である。

相手はお客様だから大抵のことには頭を垂れて「ハイ」という
しかし、見積もり作成は無料が当たり前という顔をして
あまりに大きな顔をされると腹が立つ。
時には「こんな奴の仕事はできない」と断ってしまうこともある。
そんな会社は珍しいらしく、はとが豆鉄砲をくらったような顔をする。
「お客様は神様だなんて図に乗るのもいいかげんにしろ」と
心の中でそっと呟く。

だから、自分が客として見積もり依頼をするときには
決して横柄な態度は取らない。
お茶を出して、「お見積もりをお願いします」と丁寧にお願いする。

そうは言っても仕事だから、当然見積もりは2社から取る。
だから一つは断らなければならない。
これが一番辛いとき。

私は見積もりだけ取って発注をしなかった業者には
余ほどのことがないかぎり「詫び料」を払う
数千万単位の見積もりなら5万円は払う。
それは人と人がすれ違うときの大切な心の潤滑油なのだ。

確かに払わなくてもいいお金だが私は払う。
見積もりを書いても書いても仕事が取れなかった時代があった。
そのときの辛さを思うと、「ご苦労さん」の言葉だけでは済まされない。
私はそんな風にして生きてきたし、これからもそう生きていきたい。

相手の気持ちの分かる人でありたい。

写真説明:秋の野尻湖。
旧プリンスホテルが野尻湖ホテル・エルボスコに。
オーナーが変わったら予約を取るのも一苦労の繁盛ホテルに変身。
地元の食材を匠に使ったAWkitchenのキュイジーヌを楽しむお客が押し寄せる。
斑尾高原ホテルもレストラン「古里」の料理をマクロビオティックに。
ホテルに一ヶ月も泊まれば毒素が体から吐き出され、
超健康体に変身できるとか。
「絶食道場」に行くよりは安上がりで、効果はそれ以上ということで、
ホテルの宿泊客もかなり増えている。

「みんな頑張っているんだな―」

     

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不動産の出口戦略(3)

不動産の出口戦略の話の中で
「換金用に持っている」と書いた。
この換金にはどんな意味があるかを
「詳しく説明してよ」と頼まれた。

実にいい質問で
この質問をすること自体が
この人の優秀さを示している。

6年前にA地購入で8千万、5年前にB地購入で7千万借り、
現在その返済残高が1億1000万円だったとする。
この二つの毎月の返済は
一般的な返し方なら80万円くらいだ。

さて、A地が買ったときより少し値上がりし、
A地だけ売って1億3000万円が入ったとする。
ちょうどA地とB地の返済残を返し、
売却益の税金も支払える額だ。

そこでA,B合体のキャッシュフローを求め、
売った後のキャッシュフローと比較してみよう。
そうすると、「換金用」の意味が明白になってくる。

A,B両方とも同じ条件と仮定して。
 ●駐車場年間収入=1600万
  機械の減価償却は終了済み。
 ●年間支出=固定資産税100万、管理費240万、
  元本返済540万、利息420万、消費税80万
  上の数字を基にして所得税を出す。
  年間収入−年間利息−管理費 −固定資産税−消費税
  1600万−420万−240万−100万 −80万
  これで課税所得が760万、よって2割の所得税は152万
 ●課税所得−所得税 −返済金
  760万−152万−540万
  これでキャッシュフローが年68万、月で約6万円。
  何と、現金で手元に残るのはたったの6万円。
  ※キャッシュフローの計算は8月26日豆知識参照

  さて一気に返済を起こしたので、これからは
  B地のキャッシュフローだけを計算すればよい。
●収入=800万円
 機械の減価償却は終了済み。
●支出=固定資産税50万、管理費120万、
 元本返済なし、利息なし、消費税40万
 上の数字を基にして所得税を出す。
  年間収入−年間利息−管理費 −固定資産税−消費税
  800万− 0万 −120万− 50万 −40万
  これで課税所得が590万、よって2割の所得税は118万
●課税所得−所得税 −返済元金
 590万−118万−0万
  これでキャッシュフローは何と年額で472万。

現金収支から月額のキャッシュフローを比較すると
売る前が冷や汗の68万円、そして売った後は悠々の472万円。
毎月40万円もの自己創造年金が入り、もう借金は何もない。
たったの5〜6年で借金のない美しい土地が自分のもの。
これこそが不動産投資の醍醐味、妙味、うま味なのだ。

つまり、数年の間に土地が買値より少し値上がりしたときは
全体のキャッシュフローを改善するために
値上がりした土地を売却するという出口戦略もあることを念頭に
不動産投資が構築されていることを忘れてはならない。
私は、こんな出口処理を5〜6年に一度は考えている。

その決断の分かれ目は
資産形成に主眼を置くか、今の生活をよくするか。
つまり若いか、年寄りか、子供に資産を残すか
この三つが判断基準になっている。

写真説明:斑尾の紅葉

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運を招く言葉

その人特有の言葉づかいがある。
私なら「もちろん」という言葉か。
使うまいと思っているのについ言ってしまう。
「要するに」という言葉をやたらと使う人も多い。

「それは企業秘密です」という言葉もそんな中の一つだ。
恐らく自分ではそのことがとても貴重な情報に思われ、
他人にはおいそれとは教えたくないという気持ちなのだろう。
しかし、本当はそれほど単純な話ではない。

面白いことに、その言葉の愛好者には成功者が少ないのだ。
20年前にそれに気付いて、今の彼らを見ての観察結果なのだが・・・
その企業秘密を大切に生きているうちに進歩が止まってしまったのか。

彼らは、そんな風にもったいぶる自分の気持ちを
相手がどう感じるかを考えたことがないのだろうか。
「物知りの俺が、お前なんかにただでは教えられない」
そんな気持ちの裏返しだと相手は感じていて、
その言葉を聞いた途端に、こう思う筈だ、
「そんなもったいぶるなら、聞きたくもない」と。
間違っても、「すごいことを知ってそうな立派な人だ」なんて
絶対に思ってはくれない。

要するに、この双方の心のギャップを推測できない器だから
この言葉を使う人には運が訪れないということだ。
「貴方になら、何でも知っていることは全部お話しますよ」
こう宣言した生き方の方が絶対に相手に受け入れられる。
そして、高く評価され、商売も上手くいくのに・・・
つまり、言葉がその人の運まで左右しているということに
気付いていたらもっとチャンスがあるのにと残念に思うのだ。
もちろん、本当の秘密事項まで話してしまえと言っているのではない。

「教えてください」という言葉を頻繁に使う人がいる。
そんな人は10年後に会うとすごい出世をしている。
顔の表情も一段と大人になっていて魅力的だ。

栄区の宮古鮨の楠社長はそんな人の一人だった。
今では栄区では知る人ぞ知る成功者だ。
カウンターに座って寿司を握ってもらう、
いつものように不動産の話題になると
決まって、「教えてくださいよ」と私の目を見た。
そう言われると、単純な私などは、気持ちよくなって
予算の倍のお金を使ってしまったものだった。

こうして、癖となっているような言葉には、
必ずその人の潜在意識が投影されている。
そして、そのことが相手に確実に伝わる。
自分の癖になっている言葉をチェックし。
その深層心理を自分で暴いてみたら面白い。

いつか時間があったら、
「幸せになるくせ言葉一覧」を作ってみたい。
この一覧表が出来たら、不動産ビジネスだけでなく、
全ての仕事で役に立つこと間違いなしだ。

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趣意書

不動産投資に限らず
ビジネスに関する参考書はどれもとっつきにくい。
読んでいても面白くない。

塾経営をしているときには
所謂参考書を何冊か書いた。
特に、数学の参考書を選んで書いた。

そんなとき、「どうしたら実際に使ってもらえるか」
そればかりを考えていた。
開けたくならない本なんか何冊あってもただのごみ。
根性のない生徒でも、思わず手に取る本が書きたかった。
そんな思いで書いたその時の原稿は、今でも大切な思い出だ。

今回、不動産投資について
「法律の解説書でなく、成功の秘訣を書いて欲しい」と
友人から頼まれ、「それなら」と挑戦することにした。

始めに悩んだのは
「参考書形式か体験物語風か」の選択だった。
参考書形式なら、いくらでも素晴らしい専門家が書いている。
やはり、おっちょこちょいの私らしいのがいいと考え、
体験談を交えた、ちょっと失敗談風にすることにした。
これなら、多くの人が「俺でも出来そう」と思う筈だと考えた。

現行の法律をいくら詳しく、正しく知っていても
決して実社会のビジネス成功者にはなれない。
周りを見ればそれは誰でも分かると思う。
学者で成功者になっている人は本当に数が少ない。
それを念頭に、分かりやすさにポイントを置いた。

また、年金問題に限らず、不平不満を持っている人は実に多い。
しかし、それに対して手を打っている人はほんの一握りの人たちだ。
そして、実際にやっていることと言えば一番率の悪い株の投資だ。
不動産投資の方がずっと率がいいのに、面倒だと思っている人が多い。
だから、とっつきにくいと思わせないように書いた。

能書きばかりの学社肌の人間には株が一番やりやすいのだろう。
金融工学などという生産を伴わない馬鹿げた金儲けの理論が崩壊した。
働かざる者、生まざる者は滅びるに決まっている。
不動産投資は、土地の再生という生産性を伴っている。
だから私は買った土地で時代にあったビジネスをする。
だから私は不動産の転がしをよしとしない。
それも随所に主張した。

どう生きても一生は一回。
前向きに、自分で解決できることは自分でやって、
政治にあまり不満を唱えず、明るく実りある人生を手に入れたい。
本ブログの内容がそんな人たちに役立つものだったら正に本望だ。

写真説明:後世に残せるよな歴史的建造物を建てたい。

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契約当日

契約書を契約当日に初めて見せて、
そこで契約書に判を押させるなんて
私に言わせたらとんでもないことだ。
でも、こんなことが結構普通に行われ、
不動産売買経験の少ない人が大きな損を蒙ったり
不利な立場に立たされたりすることが結構ある。

契約日には契約のほかにも沢山の書類作成が、
流れ作業のように行われ、
「こことここに判を押してください」と
買主を軽視した無責任な声が飛んでくる。
契約書の読み合わせだけで、
契約の内容を十分に把握することは
慣れた人にだって無理だというのに・・・

おっちょこちょいを自認している私は、
ミスをしないように、契約書と重要事項説明書を
遅くとも3日から5日前に持ってきてもらう。
※多くの場合、契約書は自分で作るようにしている。
 これは私に不動産事業を教えた大先輩の遺訓である。

それを友人の司法書士や弁護士に確認してもらうのだ。
駐車場をやるつもりの土地なら、
重要事項の書類を駐車場仲間に確認してもらう。
たかが駐車場でも、簡単に開設できない土地もある。
買ってから「えー、駐車場ができないの」では遅すぎるから。

おまけに、契約当日に訳の分からないことを言い出す相手もいる。
登記簿謄本の売主が契約前日まで話し合いをしていた人とは違う
今まで会ったこともない人になっていたなんて事もある。
後で分かったことだが、この土地には瑕疵があり、
その責任逃れのための方策だったのだ。
※この会社が先日倒産した。さもありなん。

こんな馬鹿げたことを受け入れる仲介業者も許せないが、
彼らには「仲介料さえ貰えれば」という下心もあるのだろう。
やはり、最後には買主が損のないように頑張るしかない。

関連豆知識:契約時のポイント
① 瑕疵担保責任 
物件のキズや欠陥が後から見つかった場合の
売主の責任。投資用物件の瑕疵担保責任は
平均的に3ヶ月くらいで消えるが、
出来るだけ長くしてもらう方が安全。
また、売主が不動産業者の場合は
責任期間が2年と定められている。
② 不動産の最終確認
最新の登記簿謄本で所有者の確認をする。
公図で、位置確認もする。銀行融資を
受けている場合は司法書士がついているので安心だが、
無借金の場合でも司法書士に立ち会ってもらう方がいい。
司法書士を誰にするかは買主に決める権利があるので
必ず事前に信頼できる司法書士を決めておくことだ。
③ 法規制の確認
 例えば、家を建てる予定があるのなら
市街化調整区域でないことを確認しなければならないし
高層ビルを建てるつもりなら容積率を確認するなど・・・
自分でも念入りにチェックしなければいけないが、
知り合いの司法書士がついていれば更に安心だ。
④ 手付金の確認
手付金は売買代金の5%から10%が通例だが
いつ何が起こるか分からないので
払う条件はできるだけ自分の有利にした方がいい。
私は7千万円の契約でも100万円くらいの手付けにする。
⑤ 特約条項のチェック
解除条件としてローン特約条項を入れたり
その期限を綿密に計算しておくことだ。
解除の時期は出来るだけ先延ばした方が
一般的には買主に有利である。

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一人では生きられない

時間貸し駐車場の運営方法は
大きく分けて三つ。
一括貸し、混合、自営
右に行くほど、儲けは多くなり
その分、自分の仕事も多くなる。

一括貸しというのは
タイムズさんのような時間貸し駐車場の運営会社に
全てを任せ、毎月土地の賃料だけを頂く方式。
町で見かける駐車場の7割前後がこれだろう。

元々月極めの駐車場をやっていた地主に
「もっと儲かる時間貸しにしませんか」と
訪問営業をして、業者が借り上げているのだ。

いくらで借り上げるかというと
「相手次第」という大雑把な世界。
相場感覚のない無知な地主が相手なら
儲けの2〜3割くらいしか払わない。

例えば、月極め一台2万円で貸していた地主には
「一台3万円払いますから」と言って借り上げる。
例え毎月10万円売り上げる時間貸しであっても。
5台で15万円しか払わないから、儲けは35万円。
業者は笑いが止まらない。

実際、こんなケースがざらにある。
もし、地主に相場感覚があれば
50万円の売り上げの場所なら
よくても10万円しか払わないだろう。
つまり、地主の儲けが40万円。

この天と地ほど違う現実をどう思うか?
これが8月に書いた文の根拠だ。
「外に出て、相場感覚を身につけよ」
不動産業成功の基本中の基本だ。

自営方式とは
集金、掃除、トラブル対応の全てを自分でやる方式。
中でも面倒なのがトラブル対応。
その中でも特に大変なのが「乗り逃げ問題」

一つの乗り逃げを放置すると
数ヶ月でその駐車場の売り上げの3割以上が乗り逃げになっていく。
「乗り逃げが乗り逃げを呼ぶ」のだ。
私の知っている恐ろしい例は
月の売り上げが170万円、そのうちの70万円が乗り逃げ。
地主への支払いが90万だから、業者の儲けは10万あるかないか。
もちろん、ひどい月には赤字転落。

塾の時代もそうだった。
一人の横暴を許すとあっという間に組織が崩壊する。
だから、厳しくするか、やめるかしかなかった。
「何事も中途半端は許されない」というのが
私の人生での結論だ。

そして、最後が混合方式。
私はこの方式で運営している。
集金や掃除はその道の専門家にお願いする。
そして、トラブルの対応はそのS氏と一緒に解決を目指す。

一括なら、トラブルの話は地主には来ない。
混合方式では、
「こんな事が起きました」とS氏から一報が入る。
お客さんが駐車場の柱に車をぶつけて
「損害賠償を請求してきた」なんて電話も入る。
一瞬、話が違うと耳を疑う、
「そこに柱があるのが悪い」という。

こんなことが裁判になる時代だ。
私は、裁判も好きだから、
「大いにやろう」という展開になる。

これが混合方式。
混合運営では優秀な実績のあるS氏と一緒に
乗り逃げの犯人にお金を取りに行くこともある。
それが有名な俳優さんの弟だなんてこともあった。
こんな煩わしさを嫌う人には「一括方式」しかない。

「どちらがいい」という問題ではなく
生き方、楽しみ方の違いだと思う。
「一人でやれる仕事」などこの世にはない。
だから、私は人一倍、周りの人に感謝している。

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適業適所

自分の土地でどんな賃貸業をするか。
プロが扱う分野を除いて
一般的に素人でも参入できるのは
アパート、マンション、時間貸し駐車場
商業ビル、一括貸しのトランクルームくらいか。

トランクルームはまだ普及していないので
今回は除き、残りの三つを比較検討してみる。
当然のことだが、それぞれに一長一短があり、
「どれがいちばんいい」とはなかなか言い難い。

①アパート、マンション
困る事:
※入居者審査では最高ランクに入るような人、
 例えば公務員や上場会社にお勤めの人でも、
 入居後にごみを廊下に置いて人の迷惑を
 省みない人がいて、手を焼くことが多い。
※入居したときは小学5年生だった子が3年して札付きの悪になり、
 学校から帰ると毎日階段に友達5〜6人と3時間以上もたむろする。
 18歳ぐらいまでの子には注意の仕方が難しく、頭を悩ます。
※入居してはいけない筈の人が入居者審査をすり抜けて住みつき
 他の入居者が出て行ってしまい、空室が多くなり、経営を圧迫する。
(入居者審査にもっといい方法はないか・・・)
※入居後にお勤めの会社が倒産して、長期滞納者になってしまった。
 (最終的には退去させたが、精神的に苦しい場面だった)

良い事:
※周りに新しいアパートが建っても急に売上げが落ちることはない。
※(私には)適当に煩わしいことがあって楽しい。
※一等地にこしたことはないが、二等地でもやっていけるのがいい。

②商業ビル
困る事:
※中古物件で買ったときは満室で、実質利回りが12%を超えていた。
 ところが、今では8室中3室も空室で、1年以上もひやひやしている。
 (空室になると中々次が見つからない)
※入居してはしけないはずの人が入居者審査をすり抜けて
 他の入居者が出て行ってしまう。
(入居者審査に限界があるのか・・・)
※近くに新しい商業ビルが建ち、家賃下げ要請があり
 12%ほど家賃収入が減った。
 競合ビルが建つと、アパートよりは影響を受ける。
※一等地以外だと苦戦することが多いので、初期投資費用がかさむ。

良い事:
※満室時の利回りはアパートより2〜3割は高く設定できる。
※日ごろからテナント候補を開拓しておかなければならないので
 交際費の枠が広がり、経費が多額に使えて人生が楽しくなる。
 
③駐車場
困る事:
※開業したときは一人勝ちだったが、その後周りに5つも駐車場がオープン。
あっという間に売上げが半減した。
 (競争相手が来ると途端に売上げが落ちる点がアパートとは違う)
※代金未払い者(乗り逃げ常習者)のたまり場になり、売上げが半減。
 (周辺状況の変化に大きく影響を受ける)

良い事:
※土地以外にほとんど費用をかけないので、困ったらすぐに撤退できる。
 (売って撤退するときのロスが少ないのがいい)
※探すのは難しいが、二等地でも大儲けできる場所がある。

この項については、まだ十分に検討していないので
友人や業者の意見を聞いて
もう少し書き足していくつもりだ。

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不動産指標

不動産の指標公式を利用する前に
それらを用途別に三分類しておくと
非常に覚えやすく、理解しやすい。

(その1)指標計算の分子に使う基本用語二つ
●キャッシュフロー(別名は営業後現金収支)
 課税所得−所得税−返済元金+減価償却費で求める
※課税所得とは
 不動産収入―返済利息―運営管理費―固定資産税―減価償却費
※お金のある人は不動産を購入するとき自己資金で払う。
 この場合、銀行への返済元金も返済利息もないので
 キャッシュフローは限りなく賃料に近づく。
 所謂、あの羨ましい、生まれながらの地主さんは
 それに近い状態で、毎日楽しく過ごしているに違いない。
 それに引き換え、多額の借金でスタートしている
 我々のようなチャレンジャーはキャッシュフローが低く
 収益を上げるために自分でアパートの掃除をしたり、
 滞納家賃の催促をしなければならない。
  
●NOI(別名はネット営業収入)
 不動産収入―(管理費+固定資産税+その他諸経費)
※営業利益であって経常利益ではないので
 減価償却費や所得税、ローン返済額を絡めない。
※Net Operating Incomeの略。
 Netは「正味の」、Operatingは「営業の」、Incomeは「収入」
 
(その2)不動産別投資指標三つ
個人の財務状況などと関係なく、不動産そのものの投資指標。
●表面利回り(別名はグロス利回り、単純利回り)
 不動産収入÷物件価格
※ここでいう不動産収入は実質賃料収入でなく
 満室時想定賃料収入である。
※この数字は不動産業業者が素人のお客さんに
 物件を薦めるときに使う彼らにとって都合のいい数字。
 ただそれだけの意味しかない。
 私はこの数字が10%以下の物件は相手にしない。

●実質利回り(別名はネット利回り、純利回り)
 NOI÷(物件価格+取得費用)
※取得費用とは、仲介手数料+不動産取得税+登記関連費+印紙税
※実質利回りは個々の不動産の収益性を正しく把握するのに便利。
 多くの場合、表面利回りより2%くらい低くなる。
 損益計算上はものすごく大きな違いで
 この数字を出す必要性はよく分かる。

●キャップレート(別名は収益還元率)
初年度期待営業収入÷不動産の市場価格
※その土地で何をするか、どのくらいの収入を見込むかは
 投資家によって数字が異なってくるので、不動産別指標でなく、
 個人別投資効率として分類する人もいる。
 また、市場価格も投資家によって見積もりが変わることがある。
 そのようなことから、日本ではあまり普及していない指標の一つ。
※Capitalization Ratioの略。
※埼玉でキャップレートが10%期待できる物件と
 東京で5%しか期待できない物件があったらどちらを取るか?
 一般的には空室率の低い場所ほどキャップレートは低くなるが、
 安定的経営が出来る可能性は高まってくるメリットもある。
 埼玉のカリスマ大家のSさんは特殊な才能で
 あの田舎で低い空室率での経営をしているが、
 普通の人にはその真似ができない。
 キャップレートという指標の難しい一面だ。
※横浜市金沢区のKさんは関東学院大学の学生相手にマンションを
 何棟も建て、高利回りの不動産経営をしている。
 成功者は何か自分の得意の分野を開拓していることが多い。

(その3)個人別投資効率指標一つ
不動産の投資効率は、個人の財務状況により変化する。
それを考慮して計算した個人別の投資指標。
●CCR(別名はROE、ROI、自己資金配当率)
 キャッシュフロー÷自己投下資金
※銀行にお金を預けるときに預金金利を気にしない人はいない。
 でも、そんな金利よりも何十倍もいい不動産投資に
 関心のない人が多いのは非常に不思議だ。
 株の世界で使うROE(株主資本配当率)に
 相当する指標で、日本語では自己資金配当率という。
 つまり自己資金の利回りで、自分の使ったお金が
 1年間に生む利益の割合を百分率で表したもの。
※Cash on Cash Returnの略
 
関連豆知識:例題でそれぞれの指標を求めてみよう。
(想定条件)
年間賃料360万円      借入れ利率2.5%の20年ローン 
物件価格3600万円(土地50坪付き築10年の軽量鉄骨アパート)
年返済額192万円(その内と当初の利息分72万、返済分120万)
自己資金780万円、銀行借入れ3000万円、所得税率20%
(諸経費)
委託管理費18万円、仲介手数料114万円 、固定資産税20万円
登記関連費29万円、司法書士報酬10万円 、不動産取得税25万円
印紙代など約2万円、所得税率20%    、年間減価償却80万円

上記の条件で次の指標を求める。
①キャッシュフロー(営業後現金収支)
 先ず課税所得を求める。
 不動産収入―返済利息―運営管理費―固定資産税―減価償却
 (   )−(  )−(   )−(   )−(   )
 次にキャッシュフローを求める。
 課税所得−所得税−返済元金+減価償却費
 170万円−( )−(  )+(   )
 年間のキャッシュフローは96万円で月額なら8万円。
 一戸月75000円のアパートなので、約一戸分が毎月浮く物件。
 所得税は課税所得の20%なので34万円を代入しましたよね。

②NOI(ネット営業収入)
 不動産収入―(管理費+固定資産税+その他諸経費)
 (   )−(18万+20万)
 322万だが、諸経費として毎年22万円を使うならば300万円。
 今回は322万円としておく。

③表面利回り(別名はグロス利回り、単純利回り)
 不動産収入÷物件価格
 (   )÷(   )  
 で、10%になる。

④実質利回り(別名はネット利回り、純利回り)
  NOI÷(物件価格+取得費用)
 ( )÷(3600万円+180万円)
  で、約8.5%となり、表面利回りとはかなりの差が出る。

⑤キャップレート(別名は収益還元率)
 投資家が自分の調査で、稼働率を95%と想定し、
 その物件の市場価格を3600万円と考えると
 初年度期待営業収入÷不動産の市場価格
 342万円  ÷ 360

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騙されないために

不動産業に限らず、仕事には失敗がつきものだ。
その失敗が「騙し」に起因したときは
本当に残念で、悔しい。

そんな失敗を振り返ると
そのほとんどは取引相手が初めての人だった。
騙すといっても、罪になるような騙しから
罪にならない騙しまで幅が広いのだが・・・

築28年のビルの防水工事でのことだった。
当時はちょうど築15年目で、屋上は大分傷んでいた。
当然、いつも付き合っている工事屋から見積もりを取った。
そして、定石としてもう一社見積もりを取ろうと考えていた。
そんな折、日経新聞の「防水新素材開発に成功」という記事が目にとまった。

商品の開発をしたのは埼玉大学の〜教授だという。
そして記事の最後に、その商品の問合せ先が書いてあった。
すっかり信用して、その会社に問い合わせをし、見積もりを取った。

安かった、段違いに安かった。これで決まりだと思った。
でも、心配だったので、「やった現場を見せてくれ」と頼んだ。
「できれば一番古い現場を見せてくれ」と頼んだ。
もちろん、オーケーがでた。

しかし、当日になり、急に工事が終わったばかりの現場に案内された。
確かにやったばかりなので綺麗だった。
「やったばかりの現場なんてどこでも綺麗に決まっている・・・」と
ちょっと引っかかるものは感じたが、勢いで発注してしまった。
新聞で知っただけの見ず知らずの業者に・・・
(ここが一番気をつけるべきところだった)

工事は見事に美しい仕上がりだった。
それでも、用心して1ヵ月してから110万円を支払った。
そして1年が経った。

塗った直後は綺麗だった塗膜はぼろぼろになった。
一体何を塗ったのだ、やった意味は全くなくなった。
はらわたが煮え繰り返って、工事業者に電話をした。
「この電話は使われておりません」という空しい声が返ってきた。

まさかこんな業者の広告を天下の日経新聞が掲載するとは思わなかった。
そのとき、これからは、どんな大新聞も信用しないと心に決めた。
だから、その後、日経で見た近未来通信の記事にも騙されなかった。
あのもっともらしい募集記事にちょっとは心が動かされたのだが・・・
この経験がなかったら、この近未来通信に何千万と投資したと思う。
(その意味では110万は転ばぬ先の杖になったとも言える)

私の友人は相続問題を依頼した弁護士に何億と騙された。
当時20代だった彼には知り合いの弁護士がいなかった。
だから、友人から紹介された初対面の弁護士にお願いした。
(若い友人の紹介って結構危ないことが多い?)

そして、巧みに仕組まれた芝居の中で、違法行為でなく騙された。
彼の相続税はその年の神奈川県でもビッグ3に入るものだった。
だから、相続税を払うためにかなりの土地を売らなければならなかた。

49日の法要が終わって間もなく一人の不動産屋が彼を訪れた。
「お父様の持っていた土地を相場より高く売ってください」と。
タイミングよく、願ってもない話を持ち込んできたのだ。
何でもその土地にぴったりの商売を始めたい人がいるからだという。

そこで、彼はその話を弁護士に伝えた。
「その不動産屋は知らないけど、いい話だね」という返事だった。
弁護士が言うならと、不動産屋に承諾の電話を入れた。

それが縁で、彼はその不動産屋に数億の土地の仲介を頼んだ。
それから、数年して、売った土地の登記簿謄本を見る機会があった。
そこには、驚くべき履歴がずらずらと書かれていた。
そう、彼が売ったあと、その土地は5回も転売されたのだ。

そして、また、彼は最初に現れた不動産屋が
彼の依頼した弁護士とつるんでいたことも知ってしまった。
結果、彼は本来なら3筆の土地を売れば税金を払えたのに
6筆も売らなければならないくらい安く処分したことにも気付いた。
「これじゃ、まるで地面師じゃないか」
でも、全ては後の祭りだった。

人を見るには、最低10年の観察期間は必要だ。
だから、若い人の知り合いほどあてにならないものはない。
そう、若い故に、付き合いの短い人を紹介してくる訳だから。
もちろん、紹介する本人には悪気はないのかもしれないが・・・
しかし、とんでもない人間を紹介され、
損害を蒙る方はたまったものではない。

大切なことだから、もう一度言っておく、
「若い人の紹介するその知り合いと
新聞などで知った初めての人は当てにならない」と。

善人・悪人の判別ほど難しいものはない。

関連豆知識:地面師
土地や建物などを詐取する詐欺師のことを地面師と言う。
日ごろから詐欺の研究をしているプロだから、
素人が遭遇したらひとたまりもない。
危ない世界に近づかないことが最善の策だ。

不動産詐欺は大別する2通り。
①大金を払っても家や土地の権利が手に入らない
②家や土地の権利が手に入っても払った金額に見合わない価値しかない
 また、売る場合には土地に見合った金額が手に入らない。

その原因は
①建物や土地の相場を理解していない
②不動産登記の登記事項証明書を確認しないとか、権利書、仮登記と本登
 記の違い、抵当権、公図などといった不動産専門用語を理解していない
③間違った意味での自信家(先生と呼ばれる人ほど騙されやすい)

対策は、
①お金を惜しまず複数の専門家に相談する
②日ごろから不動産に詳しい人を友達にしておく
③日ごろから謙虚に生きる。
④学歴や見てくれで人を信じない。

写真説明:壁面デザインが上手な家を見ると
     すぐに写真を撮ってしまう。
     壁面を全てタイル張りにすると
     どうしてもしつこくなるので
     こんな風に「抜き」を作るのが好きだ。

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これからがチャンスだ!

私の不動産物語の特徴は「歴史的に語ること」
比較的、不動産取引経験が長いので、
賃貸経営の入り口と出口が見通せる。
だから、短い経験に基づく知識だけで、
「今、儲かるぞ」と書く人とは
どうしても切り口が異なってくる。

平成19年夏までの数年間、私の周りには
中国株やインド株で大儲けした人が多かった。
そして、今、彼らのほとんどが大損している。
中には夜逃げした人まで出てきた。
でも、私にはこの今の状況は見えていた。
「いい事がそう何年も続く筈がない」と。
65年間、そんなことの繰り返しだったから。

今、高利回りで売りに出ている賃貸物件の多くは
バブル期に賃貸経営に入ってきた裕福な人たちの物件だ。
時代が昭和から平成に変わった頃だから、築20年前後か。

あの頃の不動産投資セオリーには
キャッシュフローだのキャップレートだなんていう
横文字の小難しい物差しはなかった。
あったのはただ一つ、「買えば値上がりしますよ」だけ。
当時の営業マンは、医者や豊かな会社社長を説得して
いくつもの投資物件を買わせるのに、
そのフレーズだけ繰り返していればそれで十分だった。

「1億円の賃貸アパート、ローンを組んで賃貸収入で返せますよ」
「いつの間にか自分の物になって、減価償却で節税効果もあるしな」
「老後はこれで遊んで暮らして下さい、社長」
「建物が古くなったら、2億円で売ればいいか、はっはっは」
これで目出度く契約と相成った。

あれから20年、ローンは終わったかもしれない。
しかし、きちんとメンテナンスをしてこなかった建物には
いろいろと面倒なことが起き、毎月のように修理費の請求が来る。
土地だって全然値上がりしていない。

年老いた元先生や元社長には耐えられない苦痛だ。
「当てが外れた、売って、老人ホームにでも入ろう」
成人した子供たちだってこんな面倒なアパートは欲しくない。
「売ったらお金を少し分けてよ」と彼らがせがむ。
でも、手入れのされていないボロアパートが高く売れる訳がない。
これが現実だ。

更に追い討ちをかけているのが株の大暴落。
そんなタイプのお金持ちは必ず株に手を出している。
中には、信用取引に手を出し
追証を払うために不動産を売っている。
もちろん、こんな人は儲けなんてどうでもいい。
早く現金が欲しいのだ。

反面、これがチャンスと買いに出るプロがいる。
「表面利回り10%まで叩いて買うか」
持ち主が素人からプロへと代替わりする瞬間である。
全てがこんなケースだとは言わないが
まあ、似たり寄ったりなことは間違いない。
そう、所詮、昔の投資家は素人のお遊びだった。

だから、この不景気をチャンスとばかりに
不動産投資を始める勘のいい人たちは
私のブログをじっくりと読み
ROE20%以上を目標に、資産形成に励んで欲しい。

銀行の低金利にため息なんかつかないで。
多くの人が沈んでいる今こそ、スタートだ。

関連豆知識:ROE
return of equityの略で
企業の自己資本(株主資本)に対する税引き利益の割合。
日本語では自己資本利益率と呼ぶ。
株主の立場から企業がどれだけ効率よく
利益を生んでいるかを見る一番重要な指標。
普通は10%を超えると優良企業と言われる。

このROEはCCRとも呼ばれ、不動産業界でも使われるが
この業界では自己資金に対する賃貸純操業収入の割合としている。
ちなみに、この指標が20%を超えたら迷わずGOである。
銀行にお金を預けていることが
如何に馬鹿らしいかを示す数字だ。

写真説明:斬新なトイレのデザイン
     こんなトイレなら入居率も上がりそう。

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駐車場用地情報を分析

世の中、本当に超不景気。
横浜の町を走っていても
やたらと目に付く「売地」の看板。
2年前には想像も出来なかった光景だ。

そんな土地の幾つかは必ず時間貸し駐車場になる。
これがまた、私の本業にはすごい痛手。
同業の友人はそんな駐車場が近くに開業して
月間売り上げが半減したと嘆いている。

でも、彼のように本業がしっかりしていて
駐車場経営がほんの副業ならまだしも
私のようにそれが本業の人間は
この不景気で寿命が相当縮んでしまった。

そんなブルーな秋の日の午後、携帯が鳴った。
「めったに出ないいい出物が・・・」と
久しぶりの業者からの甲高い声。

応える元気もないので
「資料をファックスで送ってください」と。
5分もしないうちに、大量の資料が送られてきた。

西横浜駅から2分、かなりいい情報の感じ。
面積が50坪で、価格が8500万
ということは坪単価170万、妥当か少し高いか。
「8000万ならいいか?」とすぐに値踏み。

既に誰かが検討した土地らしく
駐車場としての図面まで揃っている。
9台可能で、1車室月7万はいけると。
月間売上げ63万なら年間は756万円。

物件費以外の費用を挙げると
 1:仲介手数料246万円
 2:所有権移転関連費用約44万円
 3:司法書士報酬約10万円
 4:不動産取得税約40万円
 5:契約印紙代45000円
 6:機械代+工事代300万円(今回は中古品)
総合計が約645万円に値踏みの8千万を加えると
購入時総費用は8645万円となる。

次にキャッシュフローを求める。
 資金計画は借入れが7000万、自己資金1645万。
  ●収入=756万
  機械の減価償却費300万÷5年=60万
  ●支出=固定資産税月4万、管理費月9万、元本返済月21万
   利息月16万、消費税月約6万
  ※1:756万円は1千万以下なので課税対象ではないが
   私の場合他と合わせると1千万を超えるので課税される。
   アパートの賃料には課税されないので、ちょっと悔しい。
   また、今後消費税が上がることは確実なので恐ろしい存在。
 ※2:返済は元利均等なので元本に240ヶ月を掛けても
   7千万にはならない。年毎に元本返済が増え、支払利息が減る。

  =上の数字を基にして所得税を出す=
   年間収入−年間利息 − 管理費 −固定資産税−減価償却
   756万−当初190万−108万−48万 − 60万
   これで課税所得が350万、よって2割の所得税は約70万
  ●課税所得−所得税−返済元金+減価償却
   350万−70万−252万+60万
   これでキャッシュフローが年88万、月で約7万円
   ※キャッシュフローの計算は8月26日豆知識参照

7万円のキャッシュフローでは辛いので
自己資金を増やすことも考えたが
地震に備えて現金を残しておきたいので
当初の7千万円借入れの方針は変えないことにした。

翌日「8000万なら買いますよ」と伝える。
「早速すいません、ありがとうございます」
「よろしくお願いします」

さあ、先方は下げてくるか?

関連知識:レバリッジ効果とその意味
10月2日の久里浜のアパートと
今日掲載の西横浜の駐車場を買ったとする。
両方の賃貸収入は360万+756万で1116万円
両方で使った自己資金は800万+1645万で2445万円

賃貸収入を自己資金で割った自己資金利益率は
1116万÷2445万=約45.6%(これをROEという)
この信じられないような高利回りが正にレバリッジ効果(てこの効果)
※借入れという行為がてことして機能して生まれる高利回り。
 銀行金利と比べると桁違い。これほどの高利回りを
 自分の力で生み出せるのが不動産賃貸業の凄さ!

ところが、現実の生活感覚で同じ数字をいじってみると
また違う側面が見えてくる。
今回の二つの物件の年収合計は1116万円。
10倍すると埼玉のカリスマ大家さんの年収1億を超える。

つまり、年収1億だと豪語しても、借入金が多い場合は
生活費として使えるお金は
年間(10万+7万)×12で204万円だ。
子供二人を養うにはちょっと厳しい金額ではないか。
生まれながらの地主でもない限り、
カリスマ〜なんてこんなもの。
一体どうしてそうなるか?
熱心なこのブログの読者は既に分かっている筈だ。

全ての原因は幽霊所得のせい!
このアパートと駐車場を経営したときの課税所得は510万
これは数字としても、生活費としても立派な収入だ。
しかし、その中の72%が銀行返済に消えていく。
そう、残った筈のお金が土地という資産に形を変えていくのだ。

だから、ほとんどの人がスタート時にはこの仕事で飯が食えない。
この仕事に光が差し込むのには最短でも10年が要る。
そう、最初のアパート借入金の返済にめどが立ってから
少しずつ希望の光が見えてくる。

そして二つ目が返し終わると
ささやかな贅沢が可能になる。
三つ目を返し終わるとこれに勢いがつく。
借金でスタートする不動産賃貸業の世界とは
ことほど左様に忍耐と継続の世界なのだ。

レバリッジ効果の資産作りに目を向けるか
若いときの辛い生活は嫌だと目を背けるか
どちらを取るかはあなたの自由だが、
老後の生活にかなりの差がつくことだけは事実。

写真説明:またぞろ斑尾のシーズンだ。
     秋も中身の濃いイベント満載。
     第3回斑尾国際音楽村ライブ 
     (10月25日と26日)
     スキーの前にも是非斑尾へ。
   詳細は⇒http://ameblo.jp/madarao/theme-10002222752.html

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管理会社任せでは・・・

秋のお彼岸、例年通り
Pマンションの配水管清掃のお知らせが来た。
この清掃は年に1回、この季節の年中行事だ。
風呂、洗面、台所の排水口に
高圧ホースを差し込んで洗浄する。

この8年間、何の疑問も持たなかった行事だ。
しかし、自分が管理する横須賀や鎌倉のマンションでは
5年に1回しかしていないことを今になって気がついた。

このパイプの洗浄費用には毎年60万円近くが使われている。
もしこれを5年に1回に減らしたら、5年で240万円が浮く。
気になって、いろいろと他のマンションの事例を調べてみると
平均で3年に一回が一番多く、次が4年に一回が続く・・・
どうやら、私の考え方が一般的だということが分かった。

では、大手のSサービス株式会社は何のために毎年やるのか
答えは一つ、Sサービス株式会社の利益のためなのだ。
確かに毎年やればやらないよりはパイプはきれいだろう。
費用的には、そんなやる必要もないことをやるのは許せない。

このような無駄がマンション管理会社には多すぎる。
他にもぞっとするような運営のマンションがゴロゴロしている。
それでも、住民は何も知らずに平和そうに暮らしている。

これは今の日本の縮図だとついつい連想してしまう。
のん気な住民が気合の入らない日本の国民とダブル。
この国の人間は余りにも官僚(行政)の無駄を許しすぎる。
お隣の国なら暴動になるようなことでも波風一つ立たない。

しかし、自分のマンション経営ではこんな放漫は許さない。
一棟売りマンションを購入後、管理を近所の不動産屋に頼んだ。
管理内容は、家賃の集金、住人からの苦情受付と一部対応処理
入退室時の工事見積もり、これで賃料の4%を管理料とする契約をした。
これとは別に、庭の手入れ代が月に3万、消防の書類提出料が年に5万。

半年間、依頼先の管理の内容をチェックし、管理契約を変更した。
先ず、毎月3万円の庭の世話と
年に5万円の消防関係の仕事はこちらでやることにした。
入退室時の工事は相見積もりをとることを了承させた。
苦情処理は、その前に内容を連絡させ、
こちらの許可を得てから工事に入る流れにした。

このように契約内容を変更したことで
年間70万円以上の経費削減になった。月に約6万円である、実に大きい。
また、エアコン一つにしても、業者を変えたことで
交換費用が毎回10万円は安くなった。

マンションやアパート経営では、管理内容を十分に理解し、
自分で出来ることは自分でやらないと大きな利益は望めない。
私の車には、掃除用具や庭の手入れ用具一式がいつも積んである。
もちろん、セキュリティの道具も持ち歩き、鍵などはその場で直す。
こういったマメさが賃貸業の基本中の基本なのだ。

関連豆知識:賃貸マンションでのクレーム対応
① お風呂のお湯がでない
⇒管理委託した会社が手配⇒その業者が修理
 (または管理委託した会社から大家⇒大家が手配⇒その業者が修理)
② トイレが詰まった
   ⇒管理委託した会社が手配⇒その業者が修理
③ 隣や上の人の生活音がうるさい⇒管理委託した会社が解決
④ 宅配ボックスの手紙が抜きとたれた⇒管理委託した会社が解決
⑤ 窓のしまりが悪い⇒管理委託した会社が手配⇒その業者が修理
⑥ 漏水、雨漏り⇒管理委託した会社が手配⇒その業者が修理
⑦ 鍵の調子が悪い⇒業者か大家のどちらかで修理
⑧ 家賃滞納⇒管理委託した会社が解決
⑨ 夜逃げ⇒管理委託した会社が解決
⑩ 玄関ドアが開かない、閉まらない。⇒業者か大家のどちらかで修理

対応の違いは工事費の違いがその理由。
お風呂のトラブルの場合、直すのに「釜の取替えです」
なんて簡単に言われたら、お金がいくらあってもやっていけない。
反対に、トイレの詰まりなら、「便器の交換です」
なんていう可能性はあまりないので、完全にお任せする。
鍵のトラブルなら「交換です」と言われる可能性もあるので、
報告内容次第でどちらが対応するかを決める。

写真説明:庭巡りは大切な仕事の一つ。
     自然美と機能美との融合が
     私の庭造りのテーマだ。

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新築か中古か

リゾートトラストという会社の会員権。
商品名は「エクシブ」とか「ベイコート」
一度は聞いたことがあるでしょう?
会員制ホテルでお台場に開業したのが「ベイコート」
蓼科や軽井沢などにあるリゾートホテルが「エクシブ」

しつこく電話をしてくるこの会社の営業マンが言った
「今度のベイコートは会員だけしか泊まれない
日本初の最高級の会員制ホテルなので、是非」と。
しかし、最近ではエクシブのあるグレード以上の会員でも
予約をすれば泊まれるというご案内をばら撒いている。
※但し宿泊料は会員の1.5倍らしい。

この電話の営業マンが使った嘘のトークは
売りたい一心のフライングだったのだろうか。
そんなフライングのせいか、彼は最近急に会社を去った。

話は違うが、このリゾートトラストの会員権には
中古があり、新しいのと比べると半値以下だ。
だから、この手の会員権も絶対に中古が得だ。

これと同じなのがマンションやアパート。
投機で買う場合でも、絶対に中古がいい。
平均して、新築より3%以上利回りがいい。
実際、この数ヶ月、マンション市場では
新築はさっぱり売れず、中古ばかりが売れているという。
やっと消費者も気がついてきたのか・・・

10年前に出版された不動産の本がここにある。
ワンルームマンション投資を薦めた本で
菱和クリエイトの元社長が書いている。
いろいろと上手な説明で、「そうだね」と思わせる。

当時、この会社はワンルームマンション販売の最大手だった。
だから、当然新築の物件を薦めている内容の本だ。
しかし、出版から10年、一つの答えが出た。
やっぱり新築を買うよりは中古を買った方が
断然利回りはいい、この会社の物件でも・・・

発展途上国への投資ならともかく
今の日本で、新築物件への投資で
一攫千金を夢見るのは不可能になったようだ。

関連豆知識:ワンルームマンションセールスの常套句
①親と子供の同居率の低下が止まらないから〜
②晩婚化が進んで、その人たちが一人住まいをするので〜
① 離婚が増えて一人住まいが多くなるので〜
② ワンルームマンション型コレクティブハウスが増えるから〜
CF.コレクティブハウスとは、
各世帯がキッチン、トイレ、バスのついた独立した住戸に住みながら、
共有のリビングルームやキッチンを他の世帯と積極的に利用しながら
暮らせる住宅。核家族の子育てに疑問や限界を感じた人や、
多くの人の目がある中で子育てをして子供のコミュニケーション能力を
高めたいと考える人が暮らしている。
③ 年金制度が崩壊するからその対策に〜
④ 団塊世代に離婚願望が多いから〜
⑤ 一世帯あたりの貯蓄率が増えているから〜
⑥ 離婚しても妻は年金を半分もらえるから〜
⑦ 23平方メートル以上のワンルームマンションが増えるから〜

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一棟売りアパート物件情報を分析

横須賀の業者から電話が入った。
「久里浜にいい物件が出ました」
「では、明日10時に伺います」

投資用アパートの一棟売りだ。
我々がどんな風に数字を追っているか、
参考になりそうな順番で書き出して見た。

①駅から4分、土地面積が55坪
 ※坪50万の場所なので土地だけなら2750万
 ※これは買付け価格3600万円の76%
  買い付け価格に対する土地価格の割合が
  80%以上なら地震対策として理想的
 ※2750万×0.7=1925万
  0.7は銀行が融資額を決める際の数字。
  駅から5分以内なので、掛け目は0.8でも可。
  これが土地に対する銀行の融資可能額

②軽量鉄骨築10年
 建物延べ面積:170平方メートル
 ※170×15(建物評価係数)=2550万
  2550×0.6(築年数係数)=1530万
  銀行担保価値は1530万円
  これにその銀行の担保掛目0.8を掛ける。
  1530万×0.8=1224万
  建物に対する銀行の融資可能額
 ※係数については8月20日の豆知識参照

③一戸面積41平方メートルの4部屋
 隣との境にユーティリティを配し、
 お互いの生活音を聞きにくくした人気の間取り
 また、一戸の家賃月額72000円は相場より安め。
 よって、広さ、間取り、家賃設定、全て問題なし。

④現況満室、駐車場2台 1台6千円
 月間総売り上げ30万円
 年間総売り上げ360万円
 他の業者曰く、「空室率は10%以下の場所」

⑤相手の公開価格4000万円は表面利回り9%
 こちらの希望価格3600万円は表面利回り10%
 私は10%未満では手を出さない。

⑥10%の場合の物件以外の購入時費用
 1:仲介手数料114万円
 2:所有権移転費用約20万円
 3:司法書士報酬約10万円
 4:不動産取得税約25万円
 5:契約印紙代15000円
 購入する場合の総合計約3800万円

⑦借入れ返済計画
 1:自己資金800万円
 2:銀行借入れ3千万円
 ※2,5%の20年返済なら月約16万
 ※土地に対して1925万、建物に対して1224万
  合わせて3149万までは融資の交渉可能範囲

⑧月額キャッシュフロー試算⇒約10万円
 ●収入
  家賃月30万、減価償却費は月額約9万
 ●支出
  固定資産税月1.5万、管理費月1.2万、
  当初利息月5万
 ●先ず所得税を求める
  年間家賃−年間利息−管理費−固定資産税−減価償却
  360万−当初60万−14万 − 18万 − 108万
  これで課税所得が160万、よって2割の所得税は約32万
 ●課税所得−所得税−返済元金+減価償却
  160万−32万−121万+108万
  これでキャッシュフローが年115万、月で約10万円
  ※キャッシュフローの計算は8月26日豆知識参照

 検討結果:
 検討する上での決定的ポイントは3つ。
A:土地値が買値の80%近くあるので
 大地震での損失が少ない。
B:キャッシュフローが約10万あるので
 空室が一つあってもやっていける。
C: 間取りがよく、建物の状態がかなり良好

 よって結論は「買い!」

豆知識:キャップレートとキャッシュフローの違い  
  キャップレートとは、投資不動産のレント収入から維持管理費を引いた
  純操業収入(税前、ローンなどの支払前)を売買価格で割ったもの。
  地域による相場を比較するために使い、土地そのものの評価。
  だから、買う人の財務状況とは一切関係ない。

  それに対して、キャッシュフローは
  買う人個人の財務状況や借入れ条件を加味するので
  土地そのものの評価ではない。
  同じ土地でも、買う人によって数字が異なる。

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過去を知り、未来を読む

不動産に限らず、投資全般に言えること、
それは「過去を振り返り、これからを読む」

11年前、1997年がどんな年だったか?
もう正確に思い出せる人は少ないだろう。
この頃に何か投資的な行動をとっていた人は
決して忘れてはいない筈の節目の年だったのだが・・・
経済的な視点でこの20年の流れを追ってみる。

1990年:
遅すぎた日銀の金融引き締めが始まった。
特に貸出総量規制と急激な公定歩合の引き上げが
借り手を直撃し、何万人という自殺者を生んだ。
私の億単位の損失の序曲が始まった年でもある。
「多くの経営者を苦しめたマスコミ迎合人間
三重野日銀元総裁はいい死に方はできない」と
私の周りの友人たちは厳しい予言をしている。
※マスコミ迎合政治は絶対に日本をよくしない。

1997年: 
第二次橋本内閣の経済政策の失敗で、
バブル崩壊後の不景気が更に5年続くことになった。
景気にちょっと明るさが射し、
希望がもてるかなと思った一瞬だった。
しかし、この年に拓銀が倒れ、
次の年に長銀が倒れた。
私のゴルフ会員権の致命的な損失が確定した年だ。

2001年:
第一次小泉内閣が発足した。小泉首相へ
マスコミから毎日のように罵声が飛んだ。
橋本内閣の失政で株価が8千円台まで落ちたのに、
攻撃の矢は小泉首相に向けられていた。
可哀想でならなかった。
翌2002年から、経済指標的には、景気が回復し始めた。
それが去年、つまり2007年まで続いた。
※この頃から3年間、不動産や株を仕込んだ人は大きく報われた。
※埼玉のカリスマ大家さんもこの時期の仕込みがほとんどだった。

さて、この中の出来事をどこまで記憶していただろうか?
忘れられない1997年頃は、既に年金の運用実績はかなり悪化し、
そのことが老後の生活に対する不安として顕在化し始めた。
ワンルームマンション業者はそれを営業のトークに利用した。

「これからは年金なんかスズメの涙しかないのですから
老後の生活は自分で守りましょう」と不安を煽り
マンション投資を薦めた。

これ以外に彼らがセールストークに使った言葉を検証して、
これからの不動産の世界をどのように生きたらいいかを考えてみよう。
①高齢者の急激な増加⇒年金制度の崩壊⇒自分の老後は自分で守る
⇒比較的低額なワンルームマンション投資
②晩婚化⇒同居率の低下⇒一人暮らしの増加⇒
ファイミリータイプでなくワンルームマンションの需要増
③増加し続ける離婚⇒一人暮らしの増加⇒ファミリータイプでない
ワンルームタイプマンションの需要増

よく見ると、10年前に使われたセールストークは、
驚くことに、今でも同じように使えるトークなのだ。
そのキーワードは、高齢化・晩婚化・離婚増・単身族化。

さて、こんな社会の流れの中で、不動産投資をどう考えるか。
今後の動向を占うポイントは、アジアや中南米からの移住者の数。
この人たちが増えると、不動産市場の考え方はかなり変わってくる。

街では、日本語でない会話を聞く機会が本当に増えた。
横浜では、彼らへの住宅供給で財をなす人が現れ始めている。
私も横須賀で外国人から高額な家賃を頂いている。

関連豆知識:外国人労働者数
20年近く前の1990年、合法的外国人労働者数は15万人だった。
それが2006年には75万人と、5倍に増えた。不法残留外国人は
不動産市況にはあまり関係ないと思うが、常に20万人近くはいる。
合わせて、100万人。この数は今後更に増えていくと思われるので、
彼らへの住宅供給はひとつの大ビジネスになると考えている。
問題はそのタイプだ。つまり、ワンルームマンションかアパートか。

写真;大好きな「港未来」
   サイクリング中に一枚

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建物評価減額

セキュリティの営業をしている若者に
不動産投資の「いろは」を語っていたとき、
話が弾み、かなりパーソナルな質問をしてきた。

「そんなこと君に教えられないよ」
「えっ、じゃー、いっしそうでんなんですね」
一瞬、何のことか分からず、言葉に詰まる。
しかし、何度聞きなおしても分からないので
恥を忍んでその言葉の意味を聞いてみる。
「何なの、そのいっしそうでんって?」
「一子相伝って家業の秘伝を
自分のただ一人の子にしか教えないことですよね」

自分の顔が真っ赤になるのが分かった。
先生と呼ばれているのにこんな易しい四字熟語を
知らないなんて、恥ずかしくて、恥ずかしくて・・・

その出来事をやっと忘れ、また元気になった
秋分を過ぎた最初の土曜日のことだった。
「1億を借入れしてアパートを建てると、
どのくらいの節税効果があるんですか?」と
40年以上付き合いのある友人が聞いてきた。

「減価償却分だけじゃないの?」
「でも、よく相続税対策に億単位の借金するじゃないですか」
「そうだよね、借りて3年後に死ねばいいなんて言うよね。
ちょっと待って。自信がないから調べて見る」

書斎から不動産百科事典を持ってくる。
「どうですか」
「御免、建物評価減額の制度で、住居で6割だって
つまり、1億は一挙に6千万に減額だって」
「じゃー、アパートだと?」
「1億は一挙に4千万に減額評価だって」
「年寄りに金を使わせるための法律で
経済活性化対策の一環なんですね」
「そうだね」

本当に恥ずかしかった。
投資の経験は長いので、「増やす」ことには自信があった。
しかし、相続は経験していないのでかなりの無知。
それに、まだ大した財産もないので相続の心配もしていない。

それにしても、偉そうにものを教えたり
偉そうにものを書いたりするのは本当に怖いことだ。
もう、穴があったら入りたい。
「穴はどこだ?」

関連豆知識:色々な評加減制度
詳しいことは専門家に相談した方がいいが
どんな評加減があるかだけを列挙しておく。

①広大地減額
 容積率300%未満の地域にある開発許可を要する土地
②自宅用地の一部転用による減額
 自宅の一部に賃貸住宅を建てた場合
③住宅用地への転用による大幅減額
 ずばり、子供の家を建てたりすればいいらしい
④自用地以外の土地の減額
 自用地以外に貸家を建てた場合の土地の評価減額

その他いろいろな相続税や所得税対策がある。
一例だけを挙げておく。
①青空駐車場に賃貸住宅を建てた場合の特典
②収益建物の精算課税贈与による相続税対策

写真説明:「グアムはビーチが汚いから」と
避ける人が多いが、パームビーチは砂も白く
タモン湾とは全く違う。

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不動産賃貸業に向いている人たち

仕事柄、入居者からの鍵のクレームには
自分が直接行って対応している。
また、ガーデニングが趣味なので
庭の手入れは出来るだけ自分でやり、
プロには頼まないようにしている。

しかし、元々私は超不器用。
何かあるたびに、ため息をつく。
「アー、本業が大工さんだったら・・・」と。

仕事柄、大勢の職人さんを知っている。
彼らほど賃貸業に向いている人はいない筈だ。
きっと、私の数倍の利益を上げるに違いない。
大工さん、内装屋さん、お掃除屋さん、・・・

埼玉県の北部にそれを地でいく大成功者がいる。
人が目も向けないぼろぼろのアパートを
自分で再生しては大儲けしている。
その人の職業は「子育てを終えた主婦」
学歴は「中卒」で創業10年、
20棟で年収が1億というから凄い。

彼女は言う、
「銀座で坪1億の土地だって月賃料はよくて坪10万円、
だ埼玉の片田舎の坪10万の土地で月に坪5千円も稼げる」と。
要するに、住んでいる埼玉と群馬の県境の町で
銀座の(1000倍×20分の一=)50倍の効率で稼いでいる。

更に、彼女は地の利を十分に生かしている。
この街には千人超の外国人が住んでいる。
加えて、お隣群馬はそれ以上に外国人で有名。
そんな人たちに、ぼろ家を改造しては、
「敷金・礼金ゼロ」で貸して、大喜びされている。
空室の恐怖なんて彼女にはないらしい。

この人の経営特色を表す異名は数多くある。
「お掃除&リフォームは自分でやる大家」
「部屋を白く塗る変わり者」
「トラブルを紙に書くメモ魔」
「土地勘のない所ではやらないこだわりの投資家」
「クロスを2段に分けて貼るおばちゃん」
「不動産屋めぐりが趣味の仕事師」
「家賃を安くして、居住者の中に一人協力者を作る策士」

そんな彼女でも怖がるものがある。
人が目も向けない物件を叩きにたたいて買うのだが
「雨漏り、シロアリ、水漏れ」だけは御免だという。
見かけの汚れはすぐに化粧で隠してしまうが
「中から朽ちてはこの私でもどうにもならない」と。
これって人間にも当てはまる?

多くの不動産理論の正反対に挑戦しながら
あらゆるハンデをアドバンテージに変えてしまった
このカリスマ大家さんには頭が下がる。

関連豆知識:日本政策金融公庫
本文に書いたカリスマ大家さんは
資金調達に昔の国民金融公庫、
今の日本政策金融公庫を使ったそうです。

女性・若者・シニア起業支援資金の融資で
金利が2.5%前後、融資の限度額7200万円
返済期間が最長15年、保証人や担保はケースバイケース

私は使ったことがないので
比較しての正しいコメントは出来ませんが、
お金が出れば、銀行よりは少しはいい感じがしますね。

詳しくは下記のHPが参考になります。
http://www.afc.go.jp/jfc/finance.html

写真説明:京急浦賀駅から5分、2700万円で売りに出た
     築20年のアパート。利回りは10%を越すが
     手入れに自信がないので買うのを諦めた。
     賃料が月額22.5万、2千万をローンで買うと
     10万前後が残る。魅力的だ。ただ今、満室。

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地価格差

今や、日本は人口減少国。
その減少スピードとそれが経済に及ぼすインパクトは
我々が想像する以上のものになる筈だ。

2000年の日本の人口を100として
2030年に100を上回っている県が11ある。
首都圏の1都3県はもちろん入っている。
だからといって、神奈川県内なら
どの市町村でも増えるという訳ではない。
神奈川県で人口が増加していく市町村は
たったの9市町村である。

土地価格が上昇するには
① 住む人が集まる
② 買い物客が集まる
③ 観光客が集まる
④ 工場やオフィスが集まる
⑤ 金・情報が集まる
などの要素が満たされなければならない。

①と②は当然人口と直接結びついている。
だから、不動産ビジネスで成功するには
人口動態を常に意識して動かなければならない。

関連する60〜70平方メートルの賃貸マンションの賃料を
東京都中央区と横須賀市と鎌倉市で比較した。
横須賀市は米軍関係者になら15万、日本人になら11万
東京都中央区は30万、鎌倉市では13万になっている。
友人の持つ三浦市だと一桁の8万円だ。

都心部はキャップレートが下がっているので
賃料だけからどこが一番いいとは決められない。
ひょっとしたら、一番いいのは横須賀市中心部かも知れない。
もし、2030年までこの賃料が維持できればいいのだが・・・

大学時代、運良くまとまった金を作れたので
大学卒業と同時に横須賀市ハイランドに家を建てた。
坪6万円、45坪の土地の上に。

日本は高度成長の真っ只中にあった。
その3年後、京急長沢駅の近くへ越すためにその家を売った。
なんと坪42万円に値上がりしていた。

あれから約30年。ハイランドの人口は減っている。
今、ここの土地はあの頃と同じ40〜50万円くらいだという。
地価が3年で7倍になった高度成長期は遠い昔のことになった。
バブル期、坪150万円になったこともあったのに
下がりに下がって、今は30年前と同じなのだ。
思い出多きハイランドはいつの日かまた森に戻ってしまうのか。

同じ横須賀でも駅の近くはしっかりした相場が維持されている。
品川から1時間の北久里浜の駅近くなら坪100万はする。
上大岡なら坪150万から250万は固い。
多くの人がより便利なところに移動し始めているのだ。

こうして同じ神奈川県内でも地価格差は日増しに激しくなっている。
団塊の世代が集まって住んでいる団地には空き家が目立ってきた。
これからの不動産市況はかなり難しい局面に入っている。

もちろん、土地値の物差しは単に駅からの距離だけではない。
超不便な三浦市の三戸浜海岸は坪80万もする。
そう、サンセットの景色が最高だからだ。
箱根も景色のいいところは随分と値上がりした。
特色があり、希少価値があればしっかりとした価格が維持されている。

こうして見ると、不勉強な人には過酷な社会になってきた。
景気や地価に無頓着な人は不動産に関しては報われない。
景気と土地はあらゆるビジネスの基本なのだから。
これが正に情報化社会が格差社会と言われる由縁なのだろう。

今や、東京から2千キロ以内の都市には羽田から飛び立てる
上海、台北、北京、ソウルは羽田からの出発が可能だ。
そう、これらの都市は日本の地方都市とも考えられる。
石垣島空港と等距離の都市は国内扱いとは壮大で面白い。

こうしていろいろな情報や統計を基に
不動産業を大きなスケールで考えると
実に面白い世界が広がってくる。

関連豆知識:キャップレート
キャップレートとは、投資不動産のレント収入から維持管理費を引いた
純操業収入(税前、ローンなどの支払前)を売買価格で割ったもの。
百分率で表示し、還元率ともいう。地域による相場を比較するのに便利。

例えば年120万円(内20万円が維持関連費)の操業収入のあるアパートが
1千万円で売買されているならそのキャップレートは10%となる。
貸家、オフィスビルなどキャッシュフローを伴う物件を買うときに使う。
アメリカでは、キャップレートをもとに交渉するのが基本。
このキャップレートの相場をはずさない限り大きな失敗はない。

しかし、本文でも触れたとおり、観光地や高級住宅地の地価は
キャップレートでは把握できないことを忘れないで欲しい。

写真説明:開発が続く上大岡駅周辺
     既にAゾーン、Bゾーンが完了し
     再来年3月にCサウスが出来上がる。
     更にCノース、鎌倉街道沿いのDゾーン
     と青写真があり、開発を待つ空き地を見ては
     夢を膨らませている。

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所有者確認

前にも書いた通り、不動産を売るにも買うにも
本当に信頼の出来る業者とだけ付き合って欲しい。
怖い鬼がたくさん住んでいる世界だから。

「いい土地でしょ」と見せられて
「こんな素敵な土地なら買いますよ」と
一発で買う気になったとします。
さて、その土地が案内してくれた業者とか
その依頼主の土地だなんてどうして信じられるんですか?

でも、素人にはこんな素朴な疑問すら持たない人が多い。
案内してくれたいかにも不動産屋という感じの男を信じて
事前に調べもしないで、手付金を騙し取られるという
信じられないような事件があちこちで起きている。

私の故郷、横須賀での事件。
私の家から車で5分の所にYRPという研究開発都市がある。
この近くの山林が一区画50坪に区分けして売りに出た。
「市街化調整区域なのでこの価格」というチラシが
横浜や東京で新聞折り込みでばら撒かれた。
「もちろん家は建ちません」と
いかにも良心的なことばが並んでいる。

当日、私も現地に行った。
横浜、東京から大勢の人が集まっていた。
「老後、畑として使いたい」という人が大半だった。
中には「資材置き場に使いたい」という人もいた。

そして、夕方、完売御礼の旗が出ていた。
数日たって、その出来事が頭から消えかかった日のこと。
テレビで、「横須賀で大々的な土地詐欺」のニュースが流れた。

そう、あの調整区域の土地の件だった。
要するに、あの土地は自称「売主」のものではなかったという事件。
全くの他人の土地に大売出しの旗を立て、
当日中に、一人から20万円の手付け金を集め、ドロンしたのだ。
騙された人の数が何と100人以上で、その8割が大卒者。
一日でざっと2千万円以上の荒稼ぎ!

土地を見せられたら最初にしなければいけないことは何?
法務局へ行って、登記簿謄本と公図を取ることです。
もちろん、普通は業者がやる仕事だが、もし業者が悪なら・・・
だから、その土地が誰の土地か、そして本当にその場所なのか
そして現れた人が本当に登記簿に載っている所有者なのか・・・
それを確認することが初歩中の初歩、基本中の基本。
土地に立てられた看板やのこのこ現れたそれらしき所有者なんか
簡単に信用しないでくださいよ。

ところで、この登記簿謄本ってどうなっているの?
表題部には不動産番号、所在、地番、地目、地積、・・・と
いろいろ書いてあって、初めての人にはよく分からない。
次の枠が、権利の部(甲区)で、所有権について書いてあり、
その次が、権利の部(乙区)で、所有権以外の権利について書いてある。

この乙区の最後に、「権利者その他の事項」が説明されている。
この不動産を持っている人が、買うときに、
どこの銀行からいくらを借りて、その金利がどうだったか
そんなことまで書いてあって、実に面白い欄なのだ。

土地の買収交渉をしている真っ最中に
正に、手付金を払おうという前日に
所有者である売主が倒産したことがあった。
そのときの売主は誰でも知っているかなりの老舗不動産会社。
更に驚いたのは、乙欄に書いてあるその会社の借入れの金利だ。

我々が普通3%くらいの金利で借りていたときに
なんと倍以上の7%で借りていたのだ。
貸していたのはノンバンクで、銀行ではない。
こんな有名な会社なのに銀行から借りられなかったのだ。
ということは、倒産する1年前から、かなり苦しかったのか。

この金利ほどひどい格差社会はない。
私の周りの優雅な不動産賃貸業の方々は
つまり、余裕がある人たちは借入れ金利が1%台と超安い。
逆に、余裕のない力のない人たちは借入れの金利が超高い。
お金のない人ほど金利を沢山払わなければならないなんて
何だかすごく不合理だが、それが現実だ。

こうして登記簿謄本には面白い個人情報がいっぱい詰まっている。
是非、このためになる書類の見方をマスターし、
不動産取引で失敗をしないようにして欲しい。

関連知識:公図と謄本
①公図
土地の地番からその土地の位置の特定に用いられる。
形状・隣接関係の概要が分かるようになっている。
法務局に所定の手数料を納めれば閲覧できる。
但し、原型は明治時代のものなので、場所によっては判別に苦労する。
その公図の信頼性については次のサイトを参考にするとよい。
http://www.kouzu-zure.mlit.go.jp/Kouzu_zure/

②土地登記簿謄本
有料だが、登記簿謄本はネットで調べられる。
その方法は次のサイトに詳細が説明されている。
http://www1.touki.or.jp/gateway.html

写真説明:行きつけのすし屋、「鹿島」
     ここで美味しい鮨を食べながら
     不動産の情報を集める。
     いいすし屋にはいい情報がある。

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地価の急激な変動

たった2年前の私のブログには土地の高騰で
容易に土地が手に入らなくなったと書いてある。
もちろん、今は土地の大不況。
既に2年前の7割前後になっていて、完全な買い手市場だ。

我々が土地を買うときの物差しは「路線価」と「収益性」
路線価とは相続税を計算するとき用いるために決められた
主要道路に面した土地の価格で、年に1回発表されている。
一般的に不動産屋は銀行から借金をして土地を買うのだが、
お金を貸す銀行はこの路線価の1.5倍までの融資額を考えている。

ブログに書いたのは、2年前の平塚での事例だ。
売値が9900万円で坪単価は180万円という土地が売りに出た。
見た目は最高の土地に思えたので、土地を見てから1時間後に
「9千万円の買付け証明」をその業者の事務所で書いた。
いい土地を買うときは遅疑逡巡しないことにしていたから。

事務所に帰って路線価を調べると、1?で17万円になっている。
坪に直すと約56万円。売値は路線価の3倍以上だ。
それにしても高すぎる。いくら譲歩しても2倍が限度だから、
坪120万円、総額で6600万円が路線価から分析した上限価格だ。

そこで、もう一つの物差しである収益性からも検討した。
駐車場を一括借り上げてして賃料を払ってくれる業者に
「いくらで借りてくれるか」と問い合わせした。
3時間ほどで返事が来た。1ヶ月50万円だという。
年間で600万円になる。

年10%でまわすと土地価格は6000万円、
年8%にまわすと土地価格は7500万円が妥当値。
私のように銀行からお金を借りて土地を買う人間は、
8%以下ではキャッシュフローが出なくなる。

路線価の6600万円と収益還元法の7500万円の二つを土台にして
最後に現在の相場を加味し、7700万円を妥当価格とした。
紹介してくれた業者に、「買付け価格を7700万円に変更して」と
お詫びかたがた電話を入れた。

ほどなくして電話が入った。
「9000万円以下では売らないと言っています」という返事。
銀行融資が最高に出ても5000万円くらいだから、
4000万円の自己資金を集めなければならない。
少し危険があるのでこの話はあきらめることにした。

あれから2年がたった。
用事で平塚に行ったので、そのときの業者に会った。
「どうなりました、あの土地は?」
「いやー、半年前、高木さんの買付け価格以下で売れましたよ」
「はっきり言うと、いくらなの?」
「7500万ですよ、高木さんの値付けはいつも正確ですね」
「あわてて買ったら大損したね」

やっぱり、そうだったのだ。
事業用不動産の適正な値段は
収益還元法で出した価格に収斂してくるのだ。
だから、あの土地は、今なら6000万でも買える筈だ。
とすれば10%の収益率になる。

これからの不況下で、不動産はかなり面白くなりそうだ。
(これもいつまで続くかは保証できないが・・・)

関連豆知識:収益還元法
収益還元法には、直接還元法とDCF(Discounted Cash Flow )法の2つがある。
直接還元法は、直近の一期間の純収益をキャップレート(還元利回り)で割る。
その答えが直接還元法による不動産適正価格ということになる。

DCF法では、将来の賃料収入等のシナリオ予測から純収益を出す。
しかし、DCF法は未来の予測が難しいので当てにならない点も多い。
だから、おっちょこちょいの私は、直接還元法を使っている。

また、地価の多極化、個別化を考えると純収益の出し方は更に困難だ。
住宅地であってもアパートが存在する場所ならば、
その賃料よって優劣を比較することはできる。
しかし、賃貸を前提としない住宅地、例えば、田園調布や葉山では、
購入者がそのような基準で不動産を買っていない。

だから、私は不動産の適正価値を商業地価格と住宅地価格に分けている。
商業地なら直接収益還元法で、住宅地では市場価格重視で対処するのだ。

写真説明:高層ビルから下を見ると
     つい屋根の写真を撮りたくなる。
     手入れ具合が気になるし
     その工法もためになる。

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不動産の出口戦略(2)

私が育った横須賀の田舎町には
農業をやめて、畑にアパートを建てた人が多い。
そんな恵まれた人たちの人生を40年以上見ている。

彼らがアパートを建て始めた30〜40年前には
私も既に賃貸用建物を所有していた。
その私の建物とほぼ同じ築年数の彼らのアパートは
その多くが建替えられたか、
ぼろぼろで見るに耐えないかのどちらかだ。

一方私の建てた建物はまだ50年は大丈夫。
同じ賃貸業をしていて、この差は大きい。
なぜ、そんなことになってしまったのか。
このブログを読んでいる人は察しがついている筈だ。

そう、彼らはメンテナンスにお金をかけていない。
入ってきた家賃は全て生活費に消えたのだろうか?
賃貸経営については全て「〜ハウス」や「〜住宅」にお任せだ。
業者にすれば、建物が早く朽ちてくれた方がいい。
「海に近いから、思ったより耐用年数が短かったですね」
こんな口実で、建替えを薦めてきたのだろうか?

30年の長期借入れの返済が終わったら、建物も終わりでは
「これから返済の終わった賃貸収入で楽しい人生を・・・」
などとは、とても考えられない。

「出口戦略がないところに賃貸経営なし」とはこのことだ。
出口戦略があってこそ、「出口戦略⇒優れた維持管理⇒100年住宅⇒
豊かなキャッシュフロー⇒楽しい老後」という公式が成り立つ。

ここに20年前の中古マンションの宣伝チラシがある。
このマンションを当時購入したとすると
20年後の今、「本当は儲かったのかどうか」の答えが出せる。

チラシによれば、約70平方メートルの物件の売値が2千万円。
これを1000万円の手元資金があると仮定して
マンション投資の損得を計算してみよう。
ちなみにこのマンションの現在の市場相場は1200万円である。

 (20年間の収入合計)
①当時の家賃月12万円と今の家賃月8万円を加重平均して
家賃10万円で20年間貸したとすると
手取りの家賃収入の合計は2400万円になる
(これが表面利回りで6%になっている、ちょっといい話に思える?)
稼働率90%として実質収入は2160万円
②減価償却費を年仮に60万とする。
これは経費として認められるので節税効果は
税率20%と仮定して年12万円、20年で240万円の得

(20年間の支出合計)
①2000万円のうち半分1000万円を4%の20年ローンを使ったとして
 その返済利息が約450万円(銀行の儲け)
②月1万3千円の240箇月分の管理費合計が312万円
③固定資産税が年8万円として20年で160万円(市の儲け)
④不動産屋への仲介手数料が約70万円
(①〜④の合計が必要経費で992万円)

(20年間のキャッシュフロー)
●先ず所得課税を出す。
2160万円(20年間の賃料)−450万円(返済利息)−312万円(管理費)
−160万円(固定資産税)−240万円(減価償却費)−70万円(手数料)
=928万円(20年間の純利益)
928万円×20%=約182万円(20年分の所得税)

●次に正しいキャッシュフロー
928万円(純利益)−182万円(所得税)−1000万円(返済元金)
+240万円(減価償却費)=▲14万円(20年間のキャッシュフロー)

それではまとめてみよう。
①頭金1000万円と20年分の家賃収入1000万円でローンを返済し、
2000万円のマンションを自分のものにした。大成功!
②しかし、返済金は利益なので税金を取られた。現金を中心に考えると、
自分の財布からは20年間で14万円出ていったことになる。面白くない。
③更にこのマンションは800万円値下がりして、現在1200万円だ。
もし売って、現時点での総合的な結果を求めると
頭金1000万円と持ち出し14万円で、今の1200万円のマンションを
買ったということになり、結果的に僅か186万円の儲け。
しかし、頭金の1千万を銀行に預けていれば
186万円くらいの利息が得られた筈。
それも加味すれば、最終的にはトントン。

もしマンションが値下がりしなければ
20年間で800万円くらい儲かったことになる。
バブル景気崩壊によるマンションの値下がりが実に痛い。
戦後の高度成長期ならマンションも値上がりして
軽く1千万以上の純利益が生まれたのだが・・・

結局、大雑把な表面利回りが10%以上ないと
キャッシュフローとして財布に不労所得が残らない。
表面利回り6%では、スタート時からのうま味は享受できない。

しかし、出口が今でなく、死ぬときと考えると
返済の終わった家賃の8万円は、丸々年金に加算され
優雅な老後の助けになることだけは間違いない。
また、団体信用生命保険のお陰で、何時死んでも
子供に素晴らしい資産を残せる安心感も
出口戦略としては大きなプラス要素だ。

こうして、いろいろな角度から分析すると、
「いつ投資を始めるか、どう人生を楽しむか、何年生きるか、財産を残したいか」
これらが不動産投資を始めるか否かの
とても大きなポイントだということになる。

※管理費の百円単位の端数を切り捨てたり、
税率の個人差を無視したりしたので、数字に多少の誤差はある。
また、入居者が変わるたびに、多少の修繕費が出る筈だが、
これも礼金で賄えると考えて数字としては入れていない。
大まかではあるが、考え方としては投資には参考になる筈だ。

関連豆知識:団体信用生命保険
団体信用生命保険は、借入れ本人が高度な障害・死亡した場合は、
その保険金が支払われることにより、当該債務を弁済することができる。
よって、家族がその債務を引き継ぐことがない。

不幸にして被保険者が死亡したり、高度障害状態になった場合、
その時点の債務残高に相当する死亡保険金が貸し手である債権者に支払われ、
借入金がなくなる。

一般的には、健康状態を告知することで加入できるが、
健康状態によっては加入できないこともある。
告知する内容は
・ 最近3ヶ月以内の医師の治療・投薬の有無
・ 過去3年以内の手術、2週間以上にわたる医師の治療・投薬の有無
・ 手足の欠損・機能障害の有無
・ 背骨・視力・聴力・言語・そしゃく機能の障害の有無

返済の途中からは加入はできないが、途中からの脱退は可能。
但し、再加入はできない。
また、申込時70歳以上の人は加入できず、保険期間は80歳の

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不動産の出口戦略(1)

2年に一つずつ不動産を買ったとする。
30年したら、15件の不動産所有者だ。
しかし、現実にはその間に、その幾つかを処分する。

死ぬまで持ち続ける物件も含め
買ったときには必ずその不動産の将来像を考える、
これは換金用、これは相続用、これは・・・と。
これを「不動産の出口戦略」といい、
買うときから考えておくことが望ましい。

その出口戦略を幾つか挙げてみよう。
①換金用
普通の人は、買うときから売るときのことを考えてはいない。
一生持ち続け、「いずれは子供に」と何となく思っている。
しかし、不動産を業としている人はそうではない。

時間貸し駐車場を経営し始めた最大の動機は
「儲かったら処分しやすい」だった。
土地の上に建物があると、売るのに苦労するが
時間貸し駐車場は、機械以外には何もないのだ。

土地購入で銀行借入れを増やし続けると、
必ずいつかは幽霊所得に悩まされることになる。
そのとき、買ったときより値上がりしている土地は
チャンスとばかりに売りに出し、借入金の返済に充当する。もちろん、5年以上経っていないと
利益の39%を税金として持っていかれる。
これを短期譲渡といい、出来れば避けたい。

5年、正確には買ってから5回正月を通過してから売ると、
利益に対する税金が20%となる、これを長期譲渡という。
出来れば、長期譲渡で売るようにしたいが、
それを待っているうちに景気が悪くなってしまうこともある。
世の中、そう上手くはいかないようになっている。

②相続用
死ぬまで持っているつもりで買うときには
借入れのときに、「団体信用生命保険」をつける。
この保険をつけると、買って翌年に死んでも
相続人は借入れの残金を払う必要がない。

おまけに、掛け金がないに等しいくらいに安い。
本当に便利な保険なのだ。
但し、一人1億円までなので、
どこで利用するかがポイントとなる。

もし、マンション投資などを考えている場合は
住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)を使えばいい。
あわせ技で、2億まで利用できるから、結構便利だ。

③減価償却用
幽霊所得対策として、減価償却用に建物を建てる。
この場合はまさに建物だけあればいい。
だから、土地へあまり金をかけたくない。
そこで、定期借地権を利用するといい。

借地に木造建築物を建てると
22年の原価償却資産が生まれる。
50歳くらいで、この方法を利用すると
キャッシュフローの多い楽しい人生が送れる。
もし、40歳くらいなら、鉄骨がいい。
34年償却で、足腰が弱る頃まで利用できる。

減価償却用として、高圧線の下も面白い。
土地の仕入れが安い点で借地と似ている。
私は、一般住宅には向かないので倉庫を建てた。
今流行の「トランクルーム」だ。
10%以上の収益率で、一挙両得!

④娯楽用
別荘などの土地は本来値上がりなどは
はじめから期待していないし、できるものではない。
でも、出来れば、あまり値下がりはして欲しくない。

となれば、維持費のかかる戸建の別荘よりは
リゾート型のマンションの方がいい。
先日、軽井沢の一等地の中古リゾートマンションが売りに出た。
築十年の物件が、買った価格とほぼ同じ金額で売れたという。

やはり、土地と同様、リゾートマンションも一等地に勝るものはない。
ただ、リゾートの利用方法とかその流行が
年齢と共に変わることを忘れてはならない。
苗場や石打などのスキーリゾート地のマンションなどは、
スキーブームが去って、その価格たるや目も当てられない。
それを考えると、リゾートマンションこそ、
出口戦略をよく考えて買わなければならない。

⑤転売用
1年前までは、土地に倉庫などの企画を乗せ、
不動産プロジェクト融資を受け、
それをそっくり転売することが流行った。
私はこの現象を、「これは典型的なミニバブル状態だ」と考え
「そろそろ不動産価格もピークアウトするぞ」と思い始めた。

そして、今は本格的な不動産不況だ。
私の友人もこの転売ビジネスで大儲けしたが
今は、とんでもない状態に陥っている。

もう、日本では転売用に土地を買い
利益を得ようなどと考えてはいけないのだ。

ただ、親から相続した土地が利益を生まないなら
不動産ビジネスが成り立つ場所に土地を買い換えることを
考えるべきで、この分野でのアドバイスは随分とやってきた。

関連豆知識:定期借地権の種類
普通借地権は契約期間満了に伴う更新は
従来通り自動的であり、更新契約を必要としない。
また、地主の拒絶に正当な理由がない限り、
地主からの更新の拒絶は不可能。
よって、借主は当該物件を相続財産として引継ぎができる。
それに対する新しい形の借地形態が定期借地制度で、
土地利用の活性化を促すために設けられた。次の三つの方式がある。

①一般定期借地権
一般定期借地権はマイホームを借地権で取得したい人のためにある制度。
存続期間は50年以上であり、期間満了後借主は、
更地状態(建築物のない土地)で返却しなければならない。
また、地主に対し建物を買い取る旨の請求をすることができない。
契約は必ず書面。土地利用の用途は自由。

②建物譲渡特約付借地権
建物譲渡特約付借地権は期間が30年以上で、契約期間が経過した後に
借主から貸主に相当の対価により譲渡することを特約する借地権。
地主は30年以上経過したあと建物を買い取らなければならない。
この場合は、書面で契約する必要はないが、
将来の紛争防止の為に書面で契約した方がいい。

③事業用借地権
事業用借地権は、ファミリーレストランやガソリンスタンドなどの
ロードサイドビジネスで短期間の内に収益を上げ、
早々にその事業から撤退する場合などに利用価値のある借地権。
借地上に建てられる建物は事業用の建物に限定され、
存続期間は10年以上20年以下。
契約は必ず公正証書で作成しなければならない。

写真説明:沖縄のリゾートマンションも価格変動が少ない。
     築15年でも結構高く売れる。
     不動産価格的に人気の高いベストスリー
 

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いい人たちに囲まれて

不動産業界では、軽く見られたらいいことはない。
4000万の物件も4500万で売りつけられる。
前にも言ったように、相場感覚を身につけて
「なるほど」と思わせる合理的な理由をつけて
「少し、高いようですね。3700万なら買いますよ」
と、言えるようにならなければいけない。
意味もなく値切るのは馬鹿にされるだけだから、
そんな真似は絶対にしないように。

もし経験がなくて、そんなことを言う自信がなければ
鏡に向かって、自信に満ちた顔を作る練習をしたらいい。
また、不動産購入とは直接は関係がないが
「幸せだ」という顔を作る練習も是非しておくといい。

つまり、いい人生を送っていい顔になるのではなく
いい顔を作っていると、いい人生を送れるようになるということ。
更に、顔が幸せそうだと、嘘みたいに幸運まで飛び込んでくる。
そう、そんな人にはいい情報が入ってくるようになるのだ。

U不動産の社長は女性で、横浜でも一番怖い場所に事務所を構えている。
その事務所の周辺の繁華街に千坪以上の土地を持ち、規模も半端でない。
そんな女社長の前に座ると本当に緊張すると誰もが口にした。
顔に自信が溢れ、近寄りがたい雰囲気を漂わせている。

この業界には結構女社長も多く、大きく仕事を展開している。
きっと、「男には負けない」という気概で生きているのだろう。
そういった自信とか気迫はこの世界での成功の鍵となる。

でも、一つだけ勘違いしないで欲しいことがある。
言葉遣いを横柄にしても自信家には見えないということを。
本当に自信のある人は、謙虚な言葉遣いをするものだ。
人を見下したようなことばを使う人は、一時的には成功しても
長い人生の終着点では、絶対に成功者でいることはない。
多分、いい話がそんな人のところには来ないからだろう。

私は言葉遣いの悪い人を絶対に仕事の相手にしない。
また、面と向かっては「〜さん」といい、
別の所で同じ人を「〜くん」などと言葉を使い分ける人は
絶対に仕事の仲間に入れない。
こんな言葉の二重使用者はだいたいろくでもない奴だから。
これはとても簡単で役に立つ人間選別法だ。

人生の成功は人が持ってくるものだから
人間的に素晴らしい人に囲まれていることが
仕事で成功するために最も大切なことなのだ。

関連豆知識:不動産情報の集め方
①不動産業界には鬼が住んでいるから、町で見かける不動産屋に
 ふらっと入っていくことだけは絶対にしてはいけない。
 お勧めの会社は
●野村アーバンネットのような上場している業者か上場している会社の子会社
●三井のリハウスとかセンチュリ−21のような大手のフランチャイズの業者
●本当に信頼の出来る人の紹介で、地元でも長く仕事をしている業者

②先ずはインターネットで。不動産投資サイトで有名なのは
 イサイズ、インデックスone、 ノムコムプロなど。
 もちろん、不動産会社名で検索しても多くの情報が得られる。

③店が決まったら、お金を持っていなくても
 持っている振りをして店に入っていくこと。
 自分がだめなら、叔父さんがすごいとでも言って
 めちゃくちゃ自信のありそうな顔で話すことだ。
 お金がなさそうだと、真剣に相手にしてくれないから。

④客が入ってきたのに、客の顔を見て挨拶もしないような社員
 の多い店とは意地でも取引をしない方がいい。そんな店のやる
 仕事はろくでもないから。

写真説明:一日かけてゴルフをやるのは嫌いだ。
     午前中デスクワークをしてからゴルフに出かける。
     先週は河口湖の近くにある鳴沢ゴルフ倶楽部で
     午後のラウンドを存分に楽しんだ。
     最高級のコースで7千円、世の中変わった。
     
  

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口内炎

口内炎が出来た。
夏ばてで、胃が疲れたのか。
行きつけの整体師が言う、
「わー、胃が冷えている」

私の何倍も温かい彼の手で胃の周辺を揉み解す
「動き始めたね」
「高木さんの体は分かりやすいですよ」
「・・・・・」
「腹巻をして寝れば口内炎もすぐ治りますよ」
「・・・・・」

彼の言うことは結構当たっているので
その晩は素直に腹巻をした。
「これにホカロンを入れてみよう」
低温やけどが怖いのでホカロンをタオルで包む。
「おやすみなさい」

朝が来た。
恐々と口内炎を調べる。
「ない、あの嫌なでっぱりが消えている」
彼の忠告と私のアイデアでたったの一日で治った。

おまけに、最高の副作用もあった。
無性に腹がへっているのだ。
胃が動き始めたのか、空腹感がすごい。

持つべきものは
「いい子、いい友、いい整体師、・・・・・・・」

備考:春にできた口内炎は口の奥。
   今回は舌の先、
   舌の先は胃、奥は噛み合わせ
   それが整体師の見解
   「ホントかよ?」

写真説明:ビストロ「クニザキ」
     「マスター、俺の料理はもっと薄味にして」
     「分かりました」
     以来、私好みの料理が出るので
     足繁く通うようになった。
     言いたいことは、先ずは言うことだ。

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高利回りなら高利回り

不動産投資物件を探すと
利回りが10%を越え、やけに目立つ物件がある。
この世界に慣れていない人なら
一体なぜだろうと不思議に思うに違いない。

その答えはいろいろありそうだ。
売って外国生活を考えているかも知れない。
売って死ぬ前に贅沢三昧をしようとしているのかも知れない。
でも、一番多い売却理由は幽霊所得の苦悩だろう。

子供に資産を残すより、今のキャッシュフローを増やしたい人は
売って借入金の一掃を画策し、幽霊所得を消しにかかる。
例えば、課税所得1千万円、幽霊所得(返済金の中の元本分)が1千万円で
キャッシュフローは減価償却費分だけなんてことはざらだ。
そうすると、この物件を売って売却益が出る人なら
いくら儲かっている物件でも売ってキャッシュフローを増やしたがる。
だから、特に年寄りは儲かっている物件を結構売りに出すという訳だ。

次に良くある売却理由は生前整理の投売り。
バブルの時期にすっ飛び高値で掴んだ物件を
なんとか15年間頑張って返済してきたとする。
返済の残額が僅かになったが、残りの人生も僅かだ。
そんな時、売って清々したくなっている人がいる。
それが返済残金さえ清算できればいいという投売りになる。

ともかく、そんな物件が高利回りで売りに出たら絶対に買いだ。
高利回り物件には「貸室内自殺」とかいう変な理由もある。
怖いお兄さんが住みついてしまっているのかも知れない。
宗教団体の住処になっている場合も考えられる。
だから、確かに怖い。でも、怖がっていたら何もできない。

絶対に言えることは
低利回り物件は100%の確率で低利回り物件だということ。
高利回り物件はもしかしたら、大したことはないかも知れない。
でも、ひょっとしたら、文字通りの高利回りの可能性はある。

この可能性を信じて、今日も私は高利回り物件を探している。

関連豆知識:不動産投資対象の種類と特徴
①新築ワンルームマンション←経験なし
  平均利回り5%±3%
  節税効果が高いがそれだけか?
  面倒臭がりの医者が一度に数室を買う
  賃料に消費税はかからない
②中古ワンルームマンション←経験有り
  平均利回り8%±3%
  耐久性と管理が問題
  融資時に銀行があまりいい顔をしない。
  賃料に消費税はかからない
③中古マンション1棟←経験有り、知識豊富
  土地値が最重要ポイント
  安価な掘り出し物の可能性あり
  管理に自信があれば・・・
  ※事前に雨漏りなどのチェックを・・・
  融資時に銀行がいい顔をする。
  賃料に消費税はかからない
④商業ビル←経験有り、知識豊富 
  土地値が最重要ポイント
  住居系より空室率が高いので怖い
  立地が全てなので素人には高くて手が出ない。
  周辺開発の関連性で、金持ちには面白い
  ※水漏れなどの可能性あり、要注意
  賃料に消費税がかかるので先行き不安あり(賃料総額1千万超なら)
⑤アパート1棟←経験なし
  土地値が最重要ポイント
  高利回り物件の夢多し
  維持管理が大変なので覚悟がいる
  ※買う前にボイラーの寿命などをチェック
  賃料に消費税はかからない
⑥借地権付き建物←経験なし、大学でゼミのテーマ
  高利回りの夢あり
  地主との契約がポイント
  キャッシュフローが一番大きい
⑦倉庫←経験有り、知識豊富
  高利回りの夢大
  知識がないとついていけない
  消費税の覚悟を!(総売り上げ1千万超なら)
⑧駐車場←かなりの経験者
  不景気に安い土地を狙うこと
  ※土地の仕入れ値が高いとなかなか利益が出ない
  管理業者は素人には儲けさせない。
  ※一旦覚えてしまえば面白い分野
  投資額が高いのと減価償却がないのが難点
  消費税はバッチリ取られる(総売り上げ1千万超なら)

写真説明:コイン駐車場のストッパー。
     これにはいろいろな方法がある。
     この写真は、前フラップシステムになっている。
     精算しないで逃げると絶対に車は壊れる。
     特にこの写真の製品は頑丈だから逃げないこと。
     しかし、うっかり走らせしまうこともあるので
     頑丈過ぎて問題だという業者もいる。
  

  

  

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融資交渉の現場

不動産屋さんのイメージって何となく暗い。
銀行の街の不動産屋さんへの評価もかなり厳しい。
何故なのかよく分からない。
景気の浮き沈みが激しいからなのだろうか。

先週の株式市場では、
不動産関連21社がストップ安に見舞われ、
東証1部のシーズクリエイトは5日連日ストップ安で、
とうとう整理ポスト入りしてしまった。
去年の正月などは浮かれまくっていたのに・・・

「こんないい土地なら不動産屋さんが買えばいいのに」と思っても
「いやー、銀行が金を出さないんですよ」という不動産業者も増えてきた。
「本当ですか?じゃー私が買いますよ」と、それを私が買ったこともある。
その土地は私が持っている土地の中でも一番の稼ぎ頭だ。

じゃー、不動産屋さんにも厳しいという銀行と
素人がどうやって上手に交渉すればいいのだろうか。
でも、その交渉を始める前から人間だけは磨いておいて欲しい。
銀行からに限らず、お金を借りるのに一番大切なのは信用だから。

例えば、人と会う約束をしていたらその時間の5分前に現地にいるとか、
お客さんが部屋に入ってきたら、必ず席を立って挨拶をするとか、
積み立て定期を始めたら、最後まできちんと入金するとか、
事務員がお茶を出してくれたら、丁寧にお礼をいうなどなど・・・

さて、人間が出来上がったら、次は提出する資料を用意する。
① 事業計画書(その土地からの年間収益とそれに伴う返済計画を中心にまとめた作文)
※ ここにキャッシュフローなどを詳しく書くとさらに良い印象を与える。
この作文が完璧なら、先ず融資は間違いない。
② 物件概要書(住所、面積以外にもその物件の長所などを列挙すると更に良い)
③ 登記簿謄本、公図、固定資産税評価証明書、路線価図(銀行側が用意することもある)
④ 過去3年間の収入証明(源泉徴収票とか確定申告書とか納税証明書など)
⑤ 物件取得までの費用一覧表
※ 売買金額、予定手付金、仲介手数料、登記費用(抵当権設定費用も含む)
固定資産税・都市計画税の日割り分、司法書士報酬などを書き、
その支払いスケジュールまでをまとめる。
⑥ 写真と周辺取引事例などの調査報告書

銀行にどの段階で話を持ち込むかは非常に難しい。
物件が買えるかどうかも分からないのに銀行交渉を始めても可笑しい。
かと言って、売買契約を結んでから、銀行に話を持ち込むのは遅すぎ。
タイミングとしては、売買契約を結べそうだという段階だろう。

売買契約の話が出たら、相手に必ずこう伝える。
「銀行の方は100%大丈夫だとは思いますが、
一応ローン解除特約条項をつけてください」と。
それから、銀行に上記の書類を提出し
「だいだいいつ頃稟議は下りますか?」と確認しよう。

後はそれを先方に伝え、契約日を決定する。

関連豆知識:ローン解除特約条項
不動産の売買契約には 「停止条件付契約」と「解除条件付契約」がある。
不動産業者でもこの二つを理解している人は少ないようだ。

■ 停止条件付契約(契約効力一時停止の条件がついている)

一定の事実 (条件) の発生 (成就) により
契約の効力が生じる契約のことを停止条件付契約という。
建築条件付きの土地売買契約や、
借地権付き土地の売買契約で売買にあたり
地主の承諾を要する場合などがこれ。

建築条件付き土地であれば当該土地上への
建物建築に関する請負契約が締結されること、
借地権付き土地であれば地主の承諾を得ることが条件となり、
その条件が成就したときに土地売買契約も
“売買契約締結の日に遡って” 効力が発生する。ここがポイント。

売買契約を締結してもそれに係る条件が成就するまでは、
売買契約の効力が発生していないのだから、
この時点で媒介業者から媒介手数料を請求されたとしても、
請求行為自体が違法となり何ら支払う必要はない。

■ 解除条件付契約(契約効力消滅の条件がついている)

一定の事実の発生により契約の効力を消滅させる契約を
解除条件付契約という。例え、ローン条項付の契約など。

この場合、住宅ローン融資の不成立が確定したときに契約の効力が失われる。
ただし、不成立により無条件で契約解除になる場合と、
買主が契約解除するかどうかを選択できる場合
(解除権留保型) とがあり、そのいずれかは
売買契約書の条項で定めるところによる。

前者の停止条件付契約と異なり “売買契約締結時点で効力が発生” しているので、
媒介業者による媒介手数料の請求は適法。
解除条件によって契約が解除されたときには、
それ以前に支払った手数料があれば全額返金される。

なお、売買契約の締結時に媒介手数料の “全額” を受け取ることは好ましくない、
との行政指導もあり、契約時半金・決済時半金とするか、
もしくは決済時に手数料全額を請求する業者が多くなっている。

これらの条件付契約は、上記例に限らず原則として
当事者間で自由に取り決めることが可能だが、
その条件が不法行為に該当するもの、
社会通念上で不可能な事実を条件とするもの、
当事者の意思のみで決定するものなどは無効である。

また条件の内容によっては、停止条件に該当するのか
解除条件に該当するのかが容易に判断できないものも数多くある。
このとき媒介業者には契約書の条項で、
そのどちらに該当するのかを明確にしなければならない。

写真説明:不動産知識と建築知識とは切っても切れない関係だから
     時間があれば、ホームセンターで新建材の価格や耐久性
     を研究している。
     

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法人化と上場について

私が最初に融資でお世話になったのが
今はなきあの「日本不動産銀行」、
後の「日本債券信用銀行」、
そして現在は「あおぞら銀行」
この銀行が本間忠世頭取(元日銀理事)の
自殺など多くの謎に包まれながら、
これほどのた打ち回るとは
全く予想だにしなかった。
その意味では、非常に珍しい経験をした。
CF.リゾート王、イ・アイ・イグループ元代表高橋治則の
舞台となった銀行が日本債券信用銀行。
銀行史の中でこれほど衝撃的な事件は他にない。

このときの担当者は後に日銀に出向し、
この世界で大出世している。
条件はその彼の采配で、頭金ゼロの全額融資だ。
返済方法は30年の元利均等を選んだ。
事業に前向きだったので元本均等は避けた。
但し、金利は8%で、当時としても若干割高だった。

横須賀の田舎者が東京のど真ん中の銀行とお付き合いをしたのは
こんな新聞記事がきっかけだった。
「毎月30万円を3年以上積み立てれば十分な与信を致します」

与信とは要するに「あなたを信用して、お金を貸しますよ」ということだ。
この記事を読んで、私はすぐに窓口に行き、その通りの口座を作った。
そして3年後からの快進撃が始まった。

毎年不動産を購入したので、4年連続で税務調査を受けた。
不当な扱いだと思ったが、今ではいい経験だったと感謝している。
お陰で、人一倍強いコンプライアンス意識を持つようになったのだ。

ちょうどその頃、横須賀で急成長したのが
安浦町から出た家電量販店のワットマン。
始めは私が先行し、「青年実業家」と囃し立てられた。
しかし、すぐに抜かれ、ワットマンが上場にまで漕ぎつけた。

しかし、このワットマンが後に経営的に苦しむ姿を見て
彼とは全く反対の生き方を選ぶことにした。
そう、一匹狼人生の方がよさそうだと、会社を売ってしまったのだ。
どうやら、今の結果を見ると、その選択は正しかったようだ。

上場とは銀行以外から幅広く資金調達する道を選ぶことだが、
それだけに、上場は社長に重い責任を課し、人生を暗くすると考えた。
そこで、銀行の金だけで事業を進めようと決心したのだった。
賃貸業も規模が大きくなれば上場も選択肢に入るが
私はお勧めしない。

関連豆知識:元利均等、元本均等
1億円を30年返済の借入れをして、
駐車場経営を始めた今までの例で説明しよう。
初年度の返済は利息が月額15万、
元本の返済が月額25万くらいとする。

① 元利均等←晴れ後曇り型(始めが楽)
元利均等とは、返済する元本と支払う利息の合計が
30年間、毎月ほぼ同額ということ。
ただ、当然のことだが、借入金が減る分利息が減るので、
後になればなるほど、元本返済が増えてくる。
私の場合、始めは利息と返済元本の比は15万対25万だった。
しかし、10年後には、10万対30万のようになっていった。
30年近く経てば、2万対38万にもなってくる計算だ。

これは生活がどんどん苦しくなることを意味する。
そう、銀行に返済するお金が出て行き、幽霊所得が増えていくのに、
利息という経費がどんどん減って、
キャッシュフローが激減するということだ。

② 元本均等←曇り後晴れ型(後が楽)
返済する元本が均等なので、
利息だけが変わってくる返済方法。
年々元本が減った分、支払い利息が減り、
後々、返済が楽になってくる。
おまけに、幽霊所得が30年間同額なので、
年をとったときはこちらの方が生活はずっと豊かだ。
つまり、元利均等よりはキャッシュフローが多く残っている。
最近では、この融資方法を受け付けない銀行もある。

写真説明:鎌倉の築15年のマンションドア
     ドアの交換には30万から50万円かかる。
     日ごろからさび止めをしておけば
     30年くらいは使えるのだが・・・

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現地調査


友人が仙台に土地を買うというので一緒に同行した。
20年以上大きく会社を経営している社長さんだが
謙虚な人で、不動産についてはよく私に意見を求める。
「成功する人は違うなー」といつも感心させられる。

土地勘の鋭い彼の社員と3人で現地を見る。
「駐車場用地として買いか」という判断を
たった一日でしなければならない。
私は例によって、手当たり次第に店に飛び込む。
出来るだけその店で売っているものを買い
そこの店主に質問を投げかける。

周辺の公共施設、事務所数、土地の歴史、売る人の噂、開発の噂
更には、昼の顔と夜の顔の違い、周辺住民の特色などなど・・・
一般的な周辺地価相場は近くの不動産屋の窓の貼り紙で調べた。

土地の歴史を知ると、土壌汚染や遺跡の有無などが分かる。
売る人の噂次第では、買った後のトラブルの有無がチェックできる。
開発の内容次第では転売で大もうけが期待できる。
周辺住民の特色によっては、後々の面倒の内容が予想できる。
周辺に社会保険事務所があれば、かなりの駐車台数になる。
近くに養鶏場や焼肉屋があれば宅地としては三流だということになる。

こうして3時間の調査を終え、駅の近くでお茶を飲む。
店主や店の客に収集した情報の最終確認をする。
そして、帰りの車中で出した答えは「ノー」

アパートの場合は更に時間がかかる。
駅までの距離、学校、コンビニ、スーパーの位置関係、
大雨後の冠水履歴、騒音、悪臭の外に
① 階段の手すりなど鉄部の状況
② 土台や外壁のクラックはどうか。
③ 屋上の防水はどうか。
④ タイルのはがれや浮きはないか。
⑤ 入居者の洗濯物からその人たちの特徴
⑥ 雑草やゴミから今までの管理状況
⑦ 自転車や車からアパートの品位
などを入念に調べる必要がある。

現地調査には登記簿謄本、公図、測量図
路線価図、建物図面などを持っていく。
出来れば、上記のチェック項目一覧表を作っておくと便利だ。

関連知識:構造クラック
クラックは、大きく分けて2種類。

• 収縮クラック→コンクリート表面の収縮によってクラックが入る
髪の毛くらいの太さのクラックで床下通気口の角に発生することが多く、
深度も浅いので早急に補修が必要というものではない。

• 構造クラック→構造強度不足からクラックが入る。
「構造クラック」は時間とともに大きく口を開けていく。
クラックの太さがおよそ0.3mm以上の場合が多い。
クラックから雨水などが入ると基礎内部の鉄筋を錆びさせたり、
内部が腐りやすくなる。こんな物件は避けた方が良い。
「うちのマンションの“ひび割れ”が大きくなってきたような気がする」
そんなときは針金を使ってクラックの深さをはかることをお勧めする。

「シャブコン」 について
コンクリートはセメント、砂利(骨材)、砂(骨材)、水を混ぜたもの。
このコンクリート強度のカギを握るのが「水」と「セメント」の比率だ。
水の比率が少なく固く練ったものほど丈夫なコンクリートになる。
逆に「水」が多いと脆いコンクリートができ上がり、これを「シャブコン」と呼ぶ。

「シャブコン」の恐怖
健全なコンクリートと外見上ほとんど見分けがつかない上に、
圧縮強度試験でもある程度の強度がでるため、
一度建ててしまうとシャブコンであるか否かを判定することは困難。
それなのに、水を余分に含んだシャブコンは耐久性が大幅に低下し、
クラックや崩落などの原因となってしまう。それ故に、建築した
会社の信頼性を調べることが大切になる。

写真説明:
ベランダ間に入った怖いクラック。表層クラックとは明らかに違う。

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