相変わらず黒字倒産が続いている。
今月早々、付き合いのある
横須賀の大手建設関連会社がやられた。
黒字で倒産したのだが、
その訳が分からないという人が多い。
だから、私が塾を売った真意が
分かってもらえないのも無理はない。
1千万円の元手に4千万円の借入れを加え、
合計5千万円で1千万の利益を出したとする。
ROE(資本利益率)は何と100%になる。
1千万円で1千万円を生み出すのだからすごい。
これが今流行の借入金を利用したレバリッジという手法だ。
ところが、ひとたび利益が減ると
この4千万の返済が重荷になり、黒字なのに倒産する。
例えば、資本金1千万、借入れ4千万で塾を始めたとする。
5千万円で年間1千万の税引き前純利益を出せば誰もが褒める。
しかし、5千万円はそのほとんどが設備費で消える。
設備は減価償却対象で立派な資産だが、資産価値はゼロだ。
取り付けられた空調機器や黒板、コピー機、パソコンなんて
売れたって二束三文、引き取り代を取られるのが関の山。
普通の会社の帳簿上の資産なんてこんな空しいものばかり。
4千万を2.5%で借りて5年返済すると
年間返済額は約850万円、
その内、経費参入の利息は年間100万。
設備費の減価償却が年間450万あったとしても、
返済分のうち300万円が税引き前利益に含まれてしまう。
利益だが現金がない、これが所謂幽霊所得だ。
当然これに32%くらいの法人所得税を払わねばならない。
(800万超の利益だと42%に税率が上がる)
ちょっと生徒が減って税引き前利益が3百万円になると
立派な黒字だが税金を払う金がどこにもない。
そう、約百万円のショートで黒字倒産だ。
これを役員会でいくら力説しても
分からない人がほとんどなのが現実。
皆が「黒字だから給料を上げろ」と私を睨む。
だから、社長は孤独だ。
写真説明:孤独を癒すには海が一番だ。
横浜へ戻るのに、わざわざ逗子を通っていく。
素晴らしい夕日に孤独を忘れる。