不動産の出口戦略の話の中で
「換金用に持っている」と書いた。
この換金にはどんな意味があるかを
「詳しく説明してよ」と頼まれた。
実にいい質問で
この質問をすること自体が
この人の優秀さを示している。
6年前にA地購入で8千万、5年前にB地購入で7千万借り、
現在その返済残高が1億1000万円だったとする。
この二つの毎月の返済は
一般的な返し方なら80万円くらいだ。
さて、A地が買ったときより少し値上がりし、
A地だけ売って1億3000万円が入ったとする。
ちょうどA地とB地の返済残を返し、
売却益の税金も支払える額だ。
そこでA,B合体のキャッシュフローを求め、
売った後のキャッシュフローと比較してみよう。
そうすると、「換金用」の意味が明白になってくる。
A,B両方とも同じ条件と仮定して。
●駐車場年間収入=1600万
機械の減価償却は終了済み。
●年間支出=固定資産税100万、管理費240万、
元本返済540万、利息420万、消費税80万
上の数字を基にして所得税を出す。
年間収入−年間利息−管理費 −固定資産税−消費税
1600万−420万−240万−100万 −80万
これで課税所得が760万、よって2割の所得税は152万
●課税所得−所得税 −返済金
760万−152万−540万
これでキャッシュフローが年68万、月で約6万円。
何と、現金で手元に残るのはたったの6万円。
※キャッシュフローの計算は8月26日豆知識参照
さて一気に返済を起こしたので、これからは
B地のキャッシュフローだけを計算すればよい。
●収入=800万円
機械の減価償却は終了済み。
●支出=固定資産税50万、管理費120万、
元本返済なし、利息なし、消費税40万
上の数字を基にして所得税を出す。
年間収入−年間利息−管理費 −固定資産税−消費税
800万− 0万 −120万− 50万 −40万
これで課税所得が590万、よって2割の所得税は118万
●課税所得−所得税 −返済元金
590万−118万−0万
これでキャッシュフローは何と年額で472万。
現金収支から月額のキャッシュフローを比較すると
売る前が冷や汗の68万円、そして売った後は悠々の472万円。
毎月40万円もの自己創造年金が入り、もう借金は何もない。
たったの5〜6年で借金のない美しい土地が自分のもの。
これこそが不動産投資の醍醐味、妙味、うま味なのだ。
つまり、数年の間に土地が買値より少し値上がりしたときは
全体のキャッシュフローを改善するために
値上がりした土地を売却するという出口戦略もあることを念頭に
不動産投資が構築されていることを忘れてはならない。
私は、こんな出口処理を5〜6年に一度は考えている。
その決断の分かれ目は
資産形成に主眼を置くか、今の生活をよくするか。
つまり若いか、年寄りか、子供に資産を残すか
この三つが判断基準になっている。
写真説明:斑尾の紅葉