不倫の代償

平均的な人なら誰でも50を過ぎれば老いを意識する筈だ。
老い支度をする、しないは別としても・・・
子供を手放して離婚した人とか、縁がなくて結婚しなかった人とか、
運悪くやもめになってしまった人などは、
特に早めに老い支度をした方がいい。
そんな人たちの老い支度は50でも遅すぎる。
だから、60を過ぎてから老い支度では周りから見ていても見苦しいことが多い。
兄弟などの親戚を頼るにしても、自立して老人施設に入るにしても、
その経済的なプランはそう簡単なものではない。
用意周到と言われるような計画なら、
最低でも10年から15年をかけるプランが必要だ。
そんなとき、あっちにふらふらこっちにふらふらしていると、
あっという間に時が流れてしまい、物悲しい老後を迎えることになる。
私が横浜に所有する賃貸用マンションに25年前、
別居という理由の美人妻が入居した。
早い話が、不倫相手の男が用意した愛の巣だ。
あれからあっという間に四半世紀が流れ、50代半ばの彼女が先日、引越しをした。
その手続きに現れた25年ぶりの彼女は、
生活に疲れ、昔の美貌はどこにも残っていなかった。
聞けば、不倫相手で彼女の生活を支えていたスポンサーが、
脳溢血であっという間にこの世を去ってしまったという。
当然のことだが、正妻でなかった彼女には何の遺産もない。

貯えもない上に、毎月の仕送りも止まっての転居という訳である。
もし彼女が40歳くらいから老い支度を意識していたら、
転居先も言えず、隠れて暮らすような老後を迎えることにはならなかったろう。
不倫は文化という石田淳一のことばに軽々しく踊っている人の話はよく耳にするが、
人生を甘く見たツケは余りにも大きいように思える。
サロンでの熟年おばさんたちの会話を聞いていても、
離婚して一人暮らしを望む女性が急に増えた気がする。
しかし、老いの一人暮らしは思ったより大変で、
法律改正で、年金の半分を受け取れるようになったとは言え、
それだけでは、とても夢のような一人暮らしは望めない。
特に70を過ぎれば体にはガタが来るし、
そんな状態での一人暮らしは、寂しさも一入なのだ。
また、そうなってからのもがき、あがきはとても見苦しく、
身近にそんな人を見ていても、見ている方も辛くなる。

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