ご近所の婆さんたち

偶然にも、健康サロンの向こう三軒両隣りのご近所さんは、
旦那に先立たれた所謂やもめさんばかり。
その中の一人が昨年亡くなった。
亡くなる4年前から重度の痴呆になっていた。
子供がいなかったので、親戚の人が施設に入れた。
家は荒れ放題だったが、亡くなって3ヶ月後に親戚の人が処分し、
その後、建売が2軒建ち、すぐに若い家族が入居した。
日本中で起きている典型的な現象だ。
家を売ったお金は本人の意思とは関係なく、
親戚の誰かのものになったのだろう。
老いの仕度は全くされていなかった人のよくある終末風景。
「後は野となれ山となれ」の考えならこれでいいのだが、
痴呆までは計算になかっただろうから、どこか寂しい結末だ。
痴呆になる前に土地を処分し、道筋だけでも自分でつけておけば・・・
恐らく、この人も「自分のことは別にして」という生き方だったのだろう。
痴呆、突然死、事故死、脳梗塞など、
あらゆる事態を想定してその時に備えている私には、
こんな行き当たりばったりの生き方はとても納得できない。
もう一人のお隣さんは頑固なお婆さん。
私も含め、近所の誰ともお付き合いがない。
80になるその隣の友人は彼女をよく言ったことがない。
足腰はしっかりしているが過去の記憶はかなり不鮮明で、
意味不明なことを言う、もちろん私にも。
余りに馬鹿なことを言うから、私も数回怒鳴りつけたことが・・・
こんな調子だからその人の子供たちも寄り付かないとの噂。
ある朝、突然の孤独死なんてことになっていなければいいが・・・
真向かいの方は、10年前に二世帯住宅に建て替えて孫たちとの幸せそうな毎日。
70を過ぎてから、体のあちこちが痛むとは言っているが、
こればかりは誰もが通る道だから致し方ない。
ご近所の五人の中では、唯一老いの仕度が出来ている感じのする人で、
サロンに来ても愚痴一つ言わない明るいお婆さんだった。

カテゴリー: 老い支度 パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です