横須賀の業者から電話が入った。
「久里浜にいい物件が出ました」
「では、明日10時に伺います」
投資用アパートの一棟売りだ。
我々がどんな風に数字を追っているか、
参考になりそうな順番で書き出して見た。
①駅から4分、土地面積が55坪
※坪50万の場所なので土地だけなら2750万
※これは買付け価格3600万円の76%
買い付け価格に対する土地価格の割合が
80%以上なら地震対策として理想的
※2750万×0.7=1925万
0.7は銀行が融資額を決める際の数字。
駅から5分以内なので、掛け目は0.8でも可。
これが土地に対する銀行の融資可能額
②軽量鉄骨築10年
建物延べ面積:170平方メートル
※170×15(建物評価係数)=2550万
2550×0.6(築年数係数)=1530万
銀行担保価値は1530万円
これにその銀行の担保掛目0.8を掛ける。
1530万×0.8=1224万
建物に対する銀行の融資可能額
※係数については8月20日の豆知識参照
③一戸面積41平方メートルの4部屋
隣との境にユーティリティを配し、
お互いの生活音を聞きにくくした人気の間取り
また、一戸の家賃月額72000円は相場より安め。
よって、広さ、間取り、家賃設定、全て問題なし。
④現況満室、駐車場2台 1台6千円
月間総売り上げ30万円
年間総売り上げ360万円
他の業者曰く、「空室率は10%以下の場所」
⑤相手の公開価格4000万円は表面利回り9%
こちらの希望価格3600万円は表面利回り10%
私は10%未満では手を出さない。
⑥10%の場合の物件以外の購入時費用
1:仲介手数料114万円
2:所有権移転費用約20万円
3:司法書士報酬約10万円
4:不動産取得税約25万円
5:契約印紙代15000円
購入する場合の総合計約3800万円
⑦借入れ返済計画
1:自己資金800万円
2:銀行借入れ3千万円
※2,5%の20年返済なら月約16万
※土地に対して1925万、建物に対して1224万
合わせて3149万までは融資の交渉可能範囲
⑧月額キャッシュフロー試算⇒約10万円
●収入
家賃月30万、減価償却費は月額約9万
●支出
固定資産税月1.5万、管理費月1.2万、
当初利息月5万
●先ず所得税を求める
年間家賃−年間利息−管理費−固定資産税−減価償却
360万−当初60万−14万 − 18万 − 108万
これで課税所得が160万、よって2割の所得税は約32万
●課税所得−所得税−返済元金+減価償却
160万−32万−121万+108万
これでキャッシュフローが年115万、月で約10万円
※キャッシュフローの計算は8月26日豆知識参照
検討結果:
検討する上での決定的ポイントは3つ。
A:土地値が買値の80%近くあるので
大地震での損失が少ない。
B:キャッシュフローが約10万あるので
空室が一つあってもやっていける。
C: 間取りがよく、建物の状態がかなり良好
よって結論は「買い!」
豆知識:キャップレートとキャッシュフローの違い
キャップレートとは、投資不動産のレント収入から維持管理費を引いた
純操業収入(税前、ローンなどの支払前)を売買価格で割ったもの。
地域による相場を比較するために使い、土地そのものの評価。
だから、買う人の財務状況とは一切関係ない。
それに対して、キャッシュフローは
買う人個人の財務状況や借入れ条件を加味するので
土地そのものの評価ではない。
同じ土地でも、買う人によって数字が異なる。