命をとるか、男をとるか

久しぶりに隣町、野比で飲んだ。
地域振興の仲間が5人、ぶらりと集まった。
移住促進の話題が1時間以上続いた頃、
話をリードしていたAさんがトイレに立った。

すると、突然話題が変わった。
「命をとるか、男をとるか」という
地域振興とは無関係のテーマに。

5人の平均年齢は68歳で、私が最年長
の78歳。そろそろ男を卒業する年代の
4人の男たちの悲哀に満ちた会話が始まった。

さっきトイレに立ったAさんは70歳。
まだまだ男でいたいとサプリを漁って
いるのだという。今飲んでいるのは
アメリカ製のSというサプリで、毎朝
1錠で、40代の元気が保てているという。
背も高く、ロマンスグレーの素敵な
見てくれだから、男にこだわりたい
気持ちがよく分かる。

ただ、このサプリ、良い事ばかりでは
ないらしく、頻尿の原因の前立腺肥大
を一気に悪化させる効能もあるのだと
嘆く。このサプリ、男性ホルモンの
分泌を促進するので、男としての活力は
生まれるのだが、結果、前立腺肥大を
誘発させてしまうらしい。そう言って、
またトイレに立つAさんの背中には
何か悲しい老醜の雰囲気が漂う。

前立腺が肥大すると、いずれは前立腺癌
になるらしく、Sの大量摂取は命がけなの
だと、真顔でCさんが語りまくる。

するとハイボールをがぶ飲みしていたBさん
が横やりを入れる。「頻尿を抑えて、更に
男を元気にするサプリがあるんだよ」と。
急に、「オー」と、全員がBさんの方を向く。

あの有名な「ノコギリヤシなんだけどね
・・・・」ノコギリヤシのサプリにも
色々あるらしく、Bさんが飲んでいるのは、
ノコギリヤシにマカなどが配合して
あるらしく、頻尿を抑えるにも効くが、
若さの回復にもいいらしい。
普段は口に出さないが、みんな結構その
方面の研究をしているようだ。

兎に角、こちらを立てればあちらが立たず、
あちらを立てればこちらが立たずという
ことで、話が尽きない。こうして、
灰になるまで、もがき苦しむのが男の人生だ
ということで、お開きになったのが、11時だった。

そう言えば、こんな話を英語で書いたのは
今年1月の寒い日だった。まさか、半年後に
飲み屋で同じようなことを話すことになる
とは予想すら出来なかった。

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