現地調査


友人が仙台に土地を買うというので一緒に同行した。
20年以上大きく会社を経営している社長さんだが
謙虚な人で、不動産についてはよく私に意見を求める。
「成功する人は違うなー」といつも感心させられる。

土地勘の鋭い彼の社員と3人で現地を見る。
「駐車場用地として買いか」という判断を
たった一日でしなければならない。
私は例によって、手当たり次第に店に飛び込む。
出来るだけその店で売っているものを買い
そこの店主に質問を投げかける。

周辺の公共施設、事務所数、土地の歴史、売る人の噂、開発の噂
更には、昼の顔と夜の顔の違い、周辺住民の特色などなど・・・
一般的な周辺地価相場は近くの不動産屋の窓の貼り紙で調べた。

土地の歴史を知ると、土壌汚染や遺跡の有無などが分かる。
売る人の噂次第では、買った後のトラブルの有無がチェックできる。
開発の内容次第では転売で大もうけが期待できる。
周辺住民の特色によっては、後々の面倒の内容が予想できる。
周辺に社会保険事務所があれば、かなりの駐車台数になる。
近くに養鶏場や焼肉屋があれば宅地としては三流だということになる。

こうして3時間の調査を終え、駅の近くでお茶を飲む。
店主や店の客に収集した情報の最終確認をする。
そして、帰りの車中で出した答えは「ノー」

アパートの場合は更に時間がかかる。
駅までの距離、学校、コンビニ、スーパーの位置関係、
大雨後の冠水履歴、騒音、悪臭の外に
① 階段の手すりなど鉄部の状況
② 土台や外壁のクラックはどうか。
③ 屋上の防水はどうか。
④ タイルのはがれや浮きはないか。
⑤ 入居者の洗濯物からその人たちの特徴
⑥ 雑草やゴミから今までの管理状況
⑦ 自転車や車からアパートの品位
などを入念に調べる必要がある。

現地調査には登記簿謄本、公図、測量図
路線価図、建物図面などを持っていく。
出来れば、上記のチェック項目一覧表を作っておくと便利だ。

関連知識:構造クラック
クラックは、大きく分けて2種類。

• 収縮クラック→コンクリート表面の収縮によってクラックが入る
髪の毛くらいの太さのクラックで床下通気口の角に発生することが多く、
深度も浅いので早急に補修が必要というものではない。

• 構造クラック→構造強度不足からクラックが入る。
「構造クラック」は時間とともに大きく口を開けていく。
クラックの太さがおよそ0.3mm以上の場合が多い。
クラックから雨水などが入ると基礎内部の鉄筋を錆びさせたり、
内部が腐りやすくなる。こんな物件は避けた方が良い。
「うちのマンションの“ひび割れ”が大きくなってきたような気がする」
そんなときは針金を使ってクラックの深さをはかることをお勧めする。

「シャブコン」 について
コンクリートはセメント、砂利(骨材)、砂(骨材)、水を混ぜたもの。
このコンクリート強度のカギを握るのが「水」と「セメント」の比率だ。
水の比率が少なく固く練ったものほど丈夫なコンクリートになる。
逆に「水」が多いと脆いコンクリートができ上がり、これを「シャブコン」と呼ぶ。

「シャブコン」の恐怖
健全なコンクリートと外見上ほとんど見分けがつかない上に、
圧縮強度試験でもある程度の強度がでるため、
一度建ててしまうとシャブコンであるか否かを判定することは困難。
それなのに、水を余分に含んだシャブコンは耐久性が大幅に低下し、
クラックや崩落などの原因となってしまう。それ故に、建築した
会社の信頼性を調べることが大切になる。

写真説明:
ベランダ間に入った怖いクラック。表層クラックとは明らかに違う。

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