その人特有の言葉づかいがある。
私なら「もちろん」という言葉か。
使うまいと思っているのについ言ってしまう。
「要するに」という言葉をやたらと使う人も多い。
「それは企業秘密です」という言葉もそんな中の一つだ。
恐らく自分ではそのことがとても貴重な情報に思われ、
他人にはおいそれとは教えたくないという気持ちなのだろう。
しかし、本当はそれほど単純な話ではない。
面白いことに、その言葉の愛好者には成功者が少ないのだ。
20年前にそれに気付いて、今の彼らを見ての観察結果なのだが・・・
その企業秘密を大切に生きているうちに進歩が止まってしまったのか。
彼らは、そんな風にもったいぶる自分の気持ちを
相手がどう感じるかを考えたことがないのだろうか。
「物知りの俺が、お前なんかにただでは教えられない」
そんな気持ちの裏返しだと相手は感じていて、
その言葉を聞いた途端に、こう思う筈だ、
「そんなもったいぶるなら、聞きたくもない」と。
間違っても、「すごいことを知ってそうな立派な人だ」なんて
絶対に思ってはくれない。
要するに、この双方の心のギャップを推測できない器だから
この言葉を使う人には運が訪れないということだ。
「貴方になら、何でも知っていることは全部お話しますよ」
こう宣言した生き方の方が絶対に相手に受け入れられる。
そして、高く評価され、商売も上手くいくのに・・・
つまり、言葉がその人の運まで左右しているということに
気付いていたらもっとチャンスがあるのにと残念に思うのだ。
もちろん、本当の秘密事項まで話してしまえと言っているのではない。
「教えてください」という言葉を頻繁に使う人がいる。
そんな人は10年後に会うとすごい出世をしている。
顔の表情も一段と大人になっていて魅力的だ。
栄区の宮古鮨の楠社長はそんな人の一人だった。
今では栄区では知る人ぞ知る成功者だ。
カウンターに座って寿司を握ってもらう、
いつものように不動産の話題になると
決まって、「教えてくださいよ」と私の目を見た。
そう言われると、単純な私などは、気持ちよくなって
予算の倍のお金を使ってしまったものだった。
こうして、癖となっているような言葉には、
必ずその人の潜在意識が投影されている。
そして、そのことが相手に確実に伝わる。
自分の癖になっている言葉をチェックし。
その深層心理を自分で暴いてみたら面白い。
いつか時間があったら、
「幸せになるくせ言葉一覧」を作ってみたい。
この一覧表が出来たら、不動産ビジネスだけでなく、
全ての仕事で役に立つこと間違いなしだ。