仮面夫婦

「老い支度、してますか」と聞けば,
ほとんどの人が「まだ早すぎるよ」と言う。
その言葉通り、能天気に何も考えていない人もいるが、
無意識に老いの支度をしている人もまた多い。
健康サロンを経営したことで、多くのお年寄りにお会いした。
そこの多くの方々の老後に接して老い支度の様々なやり方と
その結果を面白おかしくまとめてみようという想いが湧いた。
男の老後、特に普通のお勤めをした人の老後はかなり定型化していて、
女性の老後と比べたら、全然面白くない。
定年後に退職金を使って株投資に走る男も多い。
今回、その中の多くの方々が大暴落に巻き込まれ、すってんてんになった。
将棋や囲碁、カラオケなどの趣味に耽る人も多い。
「こんな老後でいいのか」という疑念はひたすら隠し通して、
「いい人生だ」と嘯きながら、
娘夫婦や息子夫婦に気遣いしながらも孫の面倒を見て、
「かわいい、かわいい」と誰かれとなく自慢して、幸せぶる。
どのタイプの人にも共通することは、
「それが望んでいた人生ではない」ということ。
安全でお金のかからない生活は可能だが、
それでは毎日わくわくはしていられない。
こんな男たちの奥さんは、
大概、旅行は旦那とは行きたがらない。
外では、「別れられないから一緒にいるだけ」と、
サロンでお茶を飲みながら、女同士で盛り上がっている。
多くの退職した男は子供にも妻にも見限られている。
そんなことを知らぬは当の本人ばかり。
夢も持たず、趣味に耽っているそんな男の多くは痴呆へとまっしぐらだ。
「趣味に生きている」なんてただの口実で、
他に何にも出来ないからあんなことをしていると妻たちは見抜いていて、
外で旦那の悪口三昧なのだ。
それもこれも「老いの支度」をしてこなかったから。
わくわくした老後のために、魅力的な人でいるために、
老いの仕度は早ければ早い方がいいに決まっている。

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