融資交渉の現場

不動産屋さんのイメージって何となく暗い。
銀行の街の不動産屋さんへの評価もかなり厳しい。
何故なのかよく分からない。
景気の浮き沈みが激しいからなのだろうか。

先週の株式市場では、
不動産関連21社がストップ安に見舞われ、
東証1部のシーズクリエイトは5日連日ストップ安で、
とうとう整理ポスト入りしてしまった。
去年の正月などは浮かれまくっていたのに・・・

「こんないい土地なら不動産屋さんが買えばいいのに」と思っても
「いやー、銀行が金を出さないんですよ」という不動産業者も増えてきた。
「本当ですか?じゃー私が買いますよ」と、それを私が買ったこともある。
その土地は私が持っている土地の中でも一番の稼ぎ頭だ。

じゃー、不動産屋さんにも厳しいという銀行と
素人がどうやって上手に交渉すればいいのだろうか。
でも、その交渉を始める前から人間だけは磨いておいて欲しい。
銀行からに限らず、お金を借りるのに一番大切なのは信用だから。

例えば、人と会う約束をしていたらその時間の5分前に現地にいるとか、
お客さんが部屋に入ってきたら、必ず席を立って挨拶をするとか、
積み立て定期を始めたら、最後まできちんと入金するとか、
事務員がお茶を出してくれたら、丁寧にお礼をいうなどなど・・・

さて、人間が出来上がったら、次は提出する資料を用意する。
① 事業計画書(その土地からの年間収益とそれに伴う返済計画を中心にまとめた作文)
※ ここにキャッシュフローなどを詳しく書くとさらに良い印象を与える。
この作文が完璧なら、先ず融資は間違いない。
② 物件概要書(住所、面積以外にもその物件の長所などを列挙すると更に良い)
③ 登記簿謄本、公図、固定資産税評価証明書、路線価図(銀行側が用意することもある)
④ 過去3年間の収入証明(源泉徴収票とか確定申告書とか納税証明書など)
⑤ 物件取得までの費用一覧表
※ 売買金額、予定手付金、仲介手数料、登記費用(抵当権設定費用も含む)
固定資産税・都市計画税の日割り分、司法書士報酬などを書き、
その支払いスケジュールまでをまとめる。
⑥ 写真と周辺取引事例などの調査報告書

銀行にどの段階で話を持ち込むかは非常に難しい。
物件が買えるかどうかも分からないのに銀行交渉を始めても可笑しい。
かと言って、売買契約を結んでから、銀行に話を持ち込むのは遅すぎ。
タイミングとしては、売買契約を結べそうだという段階だろう。

売買契約の話が出たら、相手に必ずこう伝える。
「銀行の方は100%大丈夫だとは思いますが、
一応ローン解除特約条項をつけてください」と。
それから、銀行に上記の書類を提出し
「だいだいいつ頃稟議は下りますか?」と確認しよう。

後はそれを先方に伝え、契約日を決定する。

関連豆知識:ローン解除特約条項
不動産の売買契約には 「停止条件付契約」と「解除条件付契約」がある。
不動産業者でもこの二つを理解している人は少ないようだ。

■ 停止条件付契約(契約効力一時停止の条件がついている)

一定の事実 (条件) の発生 (成就) により
契約の効力が生じる契約のことを停止条件付契約という。
建築条件付きの土地売買契約や、
借地権付き土地の売買契約で売買にあたり
地主の承諾を要する場合などがこれ。

建築条件付き土地であれば当該土地上への
建物建築に関する請負契約が締結されること、
借地権付き土地であれば地主の承諾を得ることが条件となり、
その条件が成就したときに土地売買契約も
“売買契約締結の日に遡って” 効力が発生する。ここがポイント。

売買契約を締結してもそれに係る条件が成就するまでは、
売買契約の効力が発生していないのだから、
この時点で媒介業者から媒介手数料を請求されたとしても、
請求行為自体が違法となり何ら支払う必要はない。

■ 解除条件付契約(契約効力消滅の条件がついている)

一定の事実の発生により契約の効力を消滅させる契約を
解除条件付契約という。例え、ローン条項付の契約など。

この場合、住宅ローン融資の不成立が確定したときに契約の効力が失われる。
ただし、不成立により無条件で契約解除になる場合と、
買主が契約解除するかどうかを選択できる場合
(解除権留保型) とがあり、そのいずれかは
売買契約書の条項で定めるところによる。

前者の停止条件付契約と異なり “売買契約締結時点で効力が発生” しているので、
媒介業者による媒介手数料の請求は適法。
解除条件によって契約が解除されたときには、
それ以前に支払った手数料があれば全額返金される。

なお、売買契約の締結時に媒介手数料の “全額” を受け取ることは好ましくない、
との行政指導もあり、契約時半金・決済時半金とするか、
もしくは決済時に手数料全額を請求する業者が多くなっている。

これらの条件付契約は、上記例に限らず原則として
当事者間で自由に取り決めることが可能だが、
その条件が不法行為に該当するもの、
社会通念上で不可能な事実を条件とするもの、
当事者の意思のみで決定するものなどは無効である。

また条件の内容によっては、停止条件に該当するのか
解除条件に該当するのかが容易に判断できないものも数多くある。
このとき媒介業者には契約書の条項で、
そのどちらに該当するのかを明確にしなければならない。

写真説明:不動産知識と建築知識とは切っても切れない関係だから
     時間があれば、ホームセンターで新建材の価格や耐久性
     を研究している。
     

カテゴリー: 不動産・ビジネス パーマリンク

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