信頼関係破壊の法理

貸しビル業をやっていると、
家賃の滞納は最重要問題の一つである。
最初に交わす賃貸借契約書には契約解除の
条件として家賃の滞納期間が書かれている
ことが多い。

例え,書かれていなくても判例を参考に
すると、一回や二回の滞納で追い出さ
れるようなことはない。でも、滞納期間が
6か月を越してくると、これはもう借主は
貸主との信頼を破壊したと判断され、
追い出されることになる。これが、
「信頼関係破壊の法理」である。

会社を経営していると、部下に対して
色々なことを言う。それが紙に書いて
ある場合もあれば、録音されている
場合もあるだろう。しかし、ほとんどの
場合は口頭だ。

例えば、「業績をあげたら来年は部長に
してやるからな」と飲み屋で話したと
する,そして、一年が経ち、業績が
ほんの少ししか上がらなかったとする。
それでもし、彼を部長にしなかったら、
これは信頼関係を破壊したことになる
のだろうか。このようなことに遭遇する
たびに、「辛いなー」と思う。

会社でのこうした人間関係も含め、
信頼関係が破壊しないで30年以上
良好な関係を続けるのは大変なことだ。
どんなに素晴らしい人間同士でも、
長い間には誤解や価値観の相違
が生じるだろうし、嫉妬や僻みも
生まれて、信頼関係が崩れてしまう
のがこの世の常なのだから。

私のように、夢を抱き、その夢を語ると、
その中のいくつかは実現させたとしても、
多くの夢は空振りに終わることが多い。
そんな時は、一生懸命に築いてきた大切な
信頼関係を傷つけるのではないかと怖く
なることがある。

つまり、語った夢が実現しなかったときに、
「あの人は嘘つきだ」と言われかねないの
が心配なのだ。かといって、夢を実現する
最高の方法は、夢を仲間に語ることであり、
そうして自分を奮い立たせてきたのだから、
もし黙っていろと言われたら、今の自分は
ないとはっきりと断言できる。

信頼関係破壊の法理に触れずに50年以上
の交友関係を築いてきた仲間が10人以上
いるが、破壊してしまった人間関係もまた
かなりいるのだろう。でも、この10人が
いれば我が人生としては大満足だ。

だから、これからも今まで通り、夢を
語って生きていくつもりだ。だって、
このくらいのことでは信頼関係破壊の
法理には触れないだろうし、政治家の公約
不履行に比べたら、ずっとましなことだ。
やっぱり、私は私らしく、死ぬまで夢を
語って生き抜こう。

※政治家の公約にも、信頼関係破壊の法理が
絡んでいるのだが、公約を果たせなかった
ことを気にしていたら、政治家などやって
いられない。公約には信頼関係破壊の法理
を当てはめないのが今の社会通念だろう。

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