涙の力

若いのにふてぶてしいほどの強さを見せる
ことの多い小泉進次郎議員が、菅総理退陣
の進言をした報告場面で涙を見せた。勿論、
わざとではないと思うが、あれだけで彼の
人気が更に上昇したと言う記者もいた。

私も日頃から、弱さを見せることの大切さ
を痛感している。人生で多くの勝利を
収めた者を成功者と呼ぶ。当然、多くの
勝利を収めるには多くの闘いに遭遇して
勝ち抜かなければならない。それは即ち、
その人間が強靭な精神力を持っていない
と出来ないことだ。つまりは、涙なんか
見せるような「やわ」ではいけないのだ。

でも、そんな人間がたまに涙を見せると、
多くの人が同情し、「あいつは人間的だ」
と味方になってくれる。この原理を応用
しない手はないのだ。あの世界のトヨタ
を率いる豊田社長も涙を見せたことが
ある。社長になってすぐの2009年
頃のことだった。アメリカでトヨタ車が
事故を起こし、それが車の欠陥だと
イチャモンをつけられ、数千億円
という損害を被ったときだった。

アメリカでのトヨタの勢いを止める
ための虐めだったこの凄まじい攻撃に、
記者会見での豊田社長の目にはいつも
理不尽に耐える涙がにじんでいた。
「成功するって大変なことなんだな」
とその記者会見を見るたびに、私まで
涙していた。そして、成功者にはなり
たいが、ほどほどの成功者でないと
ヤバいなと思ってしまったことを
覚えている。

あの田中角栄がもう少し早く涙を
見せていたら、アメリカからの虐めに
あれほど苦しむことなく窮地から脱出
できたようにも思えた。思えば、
アメリカって、外から来た強いものを
寄ってたかって潰しにかかる非情な国
だと思う。だから、あの大谷翔平も
滅茶苦茶なボール判定に苦しめられて
いるが、そんな判定後に試しに泣いて
みたらどうだろうか。怒る顔を見せる
よりは効果がありそうだ。
 
歎異抄にも涙の大切さを説く記述がある。
「涙は涙にそそがれる涙に助けられる」と。
悲しみは涙となって私たちの体を突き
抜けていく。その涙は、愛憎や暴力や
差別を引き起こす人間の弱さの象徴なのだ。
だから、人の涙とともに涙する人がいて、
共感が生まれる。

涙を見せ、共感を呼び起こし、
人生に成功することもあるという
ことなのだ。涙を味方にすることも大切だ。

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