雨漏り

貸しビル業者にとって「雨漏り」は
天敵であり、命を縮める一大事である。
なのに、その雨漏りに配慮して家を
建てる人はほとんどいない。
どうしても、平面図で間取りを考える
ことに夢中になる人がほとんどだ。
 
雨漏りの三大原因は、台風(暴風と豪雨)
と地震と無知である。雨漏りの中で、
頻度的に見た原因の一番は無知である。
例えば、一般住宅のベランダは
ほとんどの場合、シート防水が施されて
いるのだが、そこにビスを打ち込んで
温室を作ったり、物置を増築したりする
無知な人が多すぎる。

シート防水を貫通するビスは、
当然雨漏りジャージャーの原因になる。
ちょっと知識があれば分かることなのだが、
多くの人は床下の構造を知らないから
こんなことが日常茶飯事に起こる。
そして、雨漏りのせいでノイローゼになる。

ベランダにタイルを敷くのも本当は
いいことではない。何故なら、タイル分の
厚みが掃き出し窓のレール部分に雨水の
侵入を呼び込む原因になるからだ。

雨漏りって本当に怖いのだ。令和元年に
千葉県を襲った台風15号は台風上陸時の
強風が屋根瓦を吹き飛ばし、そこへ豪雨が
襲い、雨漏りの原因になった顕著な例だった。

あの時は、町中の家々がブルーシートで
覆われた様がテレビで放映され、
視聴者を驚かせた。あの時、
瓦や疑似瓦(カラーベストなど)が台風に
弱いことを誰もが学んだ筈だったが、
その後もカラーベストの家はどんどん
建てられている。多くの市民は他人事の
ようにテレビを見つめ、そこからは何も
学ばなかったようだ。

地震が雨漏りの原因になるのは、
地震によって建物にクラックが生じ、
そこから水が浸入するからである。特に、
壁にコーキングが施されているパネル
使用の鉄骨系のビルやヘーベルのような
連結壁の場合には、地震後に雨漏りが
始まることが特に多い。

いずれにしても、15年ごとの大規模修繕で
必ず実施されるシーリング工事や壁の
塗装工事は、15年~20年もすれば必ず
コーキング剤や塗布防水材が劣化することを
想定しての対策であることは言うまでもない。

災害の多い日本で、どんな家を建てたら
雨漏りで泣かなくて済むかは最重要課題だと
思うが、なかなかその答えを教えてくれる
人はいない。実に不思議である。

その答えを知るのにすごく分かりやすい
方法は、「避難所になっている建物」を
真似すればいいのではないかということだ。
避難所に多い体育館は、重鉄構造で屋根は
スレート引きかガリバリウム鋼板だろう。

避難所の特徴は、デザインが単純だと
いうことに尽きる。だから、安全を取るなら
夢を沢山詰めたしゃれたデザインの家を
建てることはあきらめた方がいい。

避難所ではないが病院なども災害には強い。
病院には鉄筋コンクリート造(RC造)が
多い気がする。昨日も防水屋さんと雑談
していたら、「自分はRC造の家を建てて
住みたい」と言っていた。木造やRCから
鉄骨造まで30棟以上の建物を建ててきた
私だが、「安全」と「雨漏りなし」の
視点からだけなら、シンプルデザインの
RC造が一番だと思っている。

その時のシート防水は塩ビ樹脂系シートを
使いたい。紫外線や熱やオゾンに強い
からだ。アスファルトシート防水で上に
保護モルタルを塗る昔からある工法も
まだかなり見かける。それでも、
20年から25年に一度は、つまり40歳で
建てたら生涯に2回は塗りなおしを
しなくてはならない。手間いらずの夢の
ような家はいまだに発明されていない。

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