心の傷との向き合い方

仲間が3人集まり面白いテーマでの談笑が
始まった。自分の人生の中で負った最も深い
傷を一人一つ書き出して、その傷とどう向き
合ったかを話し合おうというのだ。

A君は、家族5人が相続争いで憎しみあった
思い出を語り始めた。詳細はここに書けない
が、兎に角、相続問題を残して死んでいく
ことは絶対にすべきでないということを
学んだ彼は、還暦の年に遺言状を書き始めた
と言う。

そして、彼の出した結論は、相続問題で
憎しみあった兄弟とは絶交するのが一番
よい方法だったといい切った。無理に縁
を持ち続けると、いつまでもその憎しみ
がよみがえるからだと・・・

B君の傷は、信じ切っていた妻の不倫だった。
30代に子供を置いて出ていったという。子育
てを含め生きていくのに精いっぱいでその傷
と向き合う暇もないほど忙しかったと淡々と
語るその顔は、そんな傷とは縁遠いほど
穏やかな表情だった。つまり、傷と向き合う
時間を作らないのが一番良い解決方法だった
ようだ。

子を育て生きなければいけないという必然
の前では、本来なら殺意も生まれるほどの
辛い出来事も消し去られてしまうという話
には、学ぶことが多かった。

両君の話から分かることは、心に傷を負った
ときの最善の対処法は、その傷を忘れる方法
を考え出すことだということだ。そして、
忘れられないほどの出来事を忘れるためには、
その出来事以上の生きる動機を見つけ、
その傷と何時までも向き合うことだけは
避けなければならない。彼は言う、難しい
ことだが、明るく生きていくためにはそう
するしかないと。

最後は私の番だった。私の場合は、
「上に立つ者の孤独感」が40年間も傷のように
私の体を蝕んでいる。 社員数が百人の時も、
30人の時も、常に経営の苦しみから逃れられない。

そして、決断後の結果に対する評価も一人で
受けなければならない。経営者の孤独とい
うのは、政治家の孤独に似ているようにも思う。

ただ、政治家は経済的には決して恵まれない
から、それはそれは可哀そうだと思う。だから、
私は政治家を尊敬し、軽々しくは非難したくない
のだ。経営者は、孤独の見返りとしての大きな
収入がある。その違いは、余りにも大きい。

孤独感とどう向き合うか。それが経営者の
成否の鍵だ。昔なら、女性に癒されることが
多かったのだろうが、今の時代はそれを許さない。
だから、どういった趣味を持つかが重要になってくる。

私の趣味は、「町興し」。これも世間の評価を
期待してはいけない。評価なんかされなくても
いいのだ、それこそが社会貢献なのだから。

素敵な街が出来て、次の時代を担う子供たちが
幸せになってくれればそれでいいのだ。

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