夢と勝算

「駅前にカフェを作って欲しい」
と大勢の人から頼まれたのが2年前。
カフェは地方創生の象徴とまで言われたこと
もあり、また、私自身もそう思っていたので、
「作りましょう」と約束した。

コロナで大変な今年の4月、カフェの工事に
取り掛かり、6月にオープンした。あれから
4ヵ月、あれほどカフェを懇願していた人たち
はほとんどカフェに来ることはなかった。

事業家として、あらゆるケースを想定していた
ので、カフェは黒字で推移しているが、もし
私が素人で、「別店舗付きカフェ」という
今回のアイデアを持っていなかったら、カフェ
はとっくに閉店していただろう。実業家として、
事業というのは夢やロマンだけではやって
いけないことを熟知していて良かった。

三浦半島創生を語り合う友人との談笑。
「あの土地があれば、レストランを開いて
鎌倉の海に負けないビーチを作れる」
「あそこにグランピング基地を作れば
きっと大勢の人が来て街が活性化する」

こんな話で盛り上がっている時に、やおら
「では、収支の計算をしてみましょうか」と
持ち掛けると、必ず場が白けることが
ほとんどだ。

何故なら、話は話、夢は夢で、決して収支の
計算などしたことはない人ばかりだから。
駅前カフェの事例と同じで、事業は採算が取れ
なければ長続きしないという意識が薄い人が
多すぎるのは困ったことだ。

私が40年間、10を超すビルを建て続け、満室
経営を続けてこれたのは、厳しい計算を基礎
にして事業展開してきたからなのだ。

でも、起業をしたことのない普通の人には、
そんな計算をしろというのがどだい無理が
あるのだろうか。

夢を語る時には、勝算という計算をしてから
にして欲しいが、それを言ったらなかなか
仲間は集まらない。地方創生の夢の実現は
本当に難しい。

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