神のお迎え

後期高齢者の仲間入り寸前の今日この頃、
死への旅路に苦しむ人たちに遭遇する
機会が急激に増えた。

同窓会への招待状を出した大昔の先生の一人が
「送迎つきなら出席」とはがきに書いてきた。
そこで様子を訊いてみようと電話をすると、
耳が遠くて会話にならない。

仕方ないから親戚の方に連絡を取ったら、
「とてもそんな所へ行ける状態ではない」と。
招待状を出して、本人が来たいというのに
電話で「ダメ」とも言えないので、
仕方なく菓子折りを持って訪ねてみた。

すると、奥さんは認知症で施設に入っていて、
90歳の本人は寝床の中でテレビを見ていた。
「よく来てくれた」と手を取って涙する。

その手が何故か震えていて、
起き上がろうとしてもすぐには起き上がれない。
親戚の方が言う通り、
これでは同窓会どころではない。
「後日また元気になったら会いしましょう」
と言って、その日は早々に引き揚げた。

こんな状態で一人暮らしとは、かなり
危険ではないかと思ったが、余計なお節介
なのでそのことには触れなかった。

介護地獄は付き添う者からみた世界だが、
世の中には、「死にたい」と言いながら
死ねないでのたうちまわり、周りに迷惑を
まき散らしている人の何と多いことか。

そんな風にはなりたくないから、
「癌になったら治療しない」と考えている私は、
この10年、健康診断も拒んでいる。
この年齢で癌を治癒するなんて言語道断。
後期高齢者の癌は神様のお迎えなのでは。
「そろそろ死になさい」という。

カテゴリー: 未分類 パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です