関内に店を開いて50年の老舗「天富」
開店時、店主は27歳、奥さんは19歳だった。
私がこの店に通うようになって40年が経ち、
お互いに後期高齢者になってしまった。
この日は、正月の挨拶に来た教え子を同伴。
開店した頃と今の街の様子はどう違うかを
尋ねると、「客層が全く違う」と即答する。
失われた20年の以前は、ほとんどが接待で
数万円を飲み食いし、領収書を請求する客が
主流だったと昔を懐かしむ。
だから、そんな客だけを大切にしていた
天七のような店は全部が姿を消したという。
天富は、勿論接待にも使われたが、家族連れや
近隣のお金持ちに可愛がられたので
今でも繁盛店として、昔と変わらぬ勢いがある。
いつも言う通り、客商売には店主の人柄が
大切なことを物語っている。
この辺の地価はどうなんですかと、
いつもの不動産屋的な質問をすると、
この20年は横ばいで、坪300万くらい
じゃないですかと言う。
専門家的に言えば、その倍はしているのだが、
それをわざわざ言うのは控えた。兎に角、
「美登利」など多くの料亭が消え、
マンションが乱立してきたこの関内は、
地価だけはバブルの絶頂にある。
「関内はMMにやられる」と捏造新聞が
はやしたてていた15年前にこの辺りに土地を
購入した人は5倍以上になって笑いが
止まらないだろう。
投資家として街の変貌を先読みするには、
新聞など読まないで街に出かけた方がいい。
例え、75歳過ぎの後期高齢者になっても。