高給につられて、何回か仲人のアルバイトをした。 式場に着くと、頼まれた結婚式の壇上に仲人用の席が二つ。 およそ3時間で終わる式1回の私への報酬が10万円。
妻役は座っているだけだから3万円くらいだったのだろうか。 一日2回の式に出て、20万円を稼いだ日もあった。 美味しい食事付で一日20万円は実においしい仕事だった。
もちろん、採用試験があった。 5分間の仲人用のスピーチをいかに上手にやるかを競った。 15人の応募者の中から私が選ばれた。 20年間生徒の前で喋ってきた経験が物を言った。
統一地方選が近づいて、地方議員の辻立ちが多い。 寒い日に、横浜駅前である議員の下手な辻立ちを耳にした。 応援している党の議員だったので、そばに行って声をかけた。
「誰もあなたの話に足を止めないのは何故だと思う?」 「・・・」 「通り過ぎる30秒の間に耳に残る話をしていないからだよ」 「御免なさい、未熟なもので」 「寄付までして応援しているのにがっかりだ」
彼に訊いた、アメリカ28代大統領ウィルソンの逸話を知っているかと。 「2時間の講演なら今すぐできる。1時間なら、準備に2時間かかる。 15分のスピーチなら、準備に半日が必要だ」 「知りませんでした」 「あなたは何にも用意しないで、知っている数字だけ並べている。 物知りなのは分かったが、誰も聞いていないから帰った方がいい」 そして、帰り際に、スピーチのコツを教えてあげた。 「話をつまらなくする秘訣は、すべてを語ってしまうことだ」
昔、亡き兄から教えられた辻立ちのこつは、 ○必ず原稿かメモを用意する。 ○20秒で一つの主張を完結する。 ○余計な前置きを入れない。 ○引用は出来ればひとつにする。 ○悪口や批判は少ない方がいい。 ○夢を語る、短く、具体的に。 ○通行人に「ありがとう」と言わない。話の腰が折れるから。
プレゼントとは逆なんですね。
まずは足を止めるんですね。
ブログも次回も見てくれるよう引っ張ったりしますが、
1度で完結するのに強烈なネタが毎回出てくる先生って一体・・・・。
いつもアンテナの感度を良くしているからだと思う。
俺の人生が後輩の役に立てば、
それだけで生きていてよかったと思えるし・・・
生きる理由がないと死にたくなる性格なんだね。
所詮、弱い男なんだよ。