70過ぎ、80過ぎの友人とは出来るだけ会う。
楽しいだけでなく、学ぶことが多いからだ。
私の人生の水先案内人として大切な人たちだ。
仕事が早く終わったので、80歳の老夫婦を訪ねた。
この夫婦とは50年以上のお付き合いだ。
私が20代にはマージャン仲間
30代には会ってはいけない店でばったり会ったりした。
こうしてお互いに秘密を共有し、より親密な仲になった。
そして今、彼の歩行はおぼつかない。
二言目には、「早く死にたいよ」と。
訪ねれば、いつも奥さんに叱られている。
同居を始めた娘夫婦にも頭が上がらないようだ。
所謂二世帯住宅、理想の生活設計だった筈なのに。
共有するリビングは娘夫婦と孫に独占され
この老夫婦は6畳の和室に追いやられている。
「俺たちの家なのに・・・」
どこで歯車が狂ったのか?
生きがいだった庭仕事は腰が痛くてもう出来ないという。
「腰痛を想定しなかったなんて、老化に対する考えが甘いんだよ」
そう言ったら、「うるせーよ」と叱られた。
年寄りにお説教なんてする私が馬鹿だった。
核家族社会では
血管が浮き出て、小人のように小さくなっていく
腰が曲がり、今食べたものまで忘れていく
こんな悲しい老化の現実に触れる機会が少ない。
本当は、誰もが通る道なのだから
そうなっても、ニコニコと微笑む毎日を過ごしたい。
それには、それ相当の覚悟と準備が要るのだ。
だから今、
「死ぬまで生き生き」を実践している年寄りは少ない。
そんな中で、90で他界した祖父の人生は理想的だった。
(祖父は死ぬ前の10年間、ひどく貧しかったのに・・・)
今度は私が理想の人生を次の若い世代に見せなければ。