売夢商法

夢を売る商売ほど儲かるものはない。
なぜなら、人が夢を求める生き物だから。

例えば、AKB48商法。
アイドル願望の夢を持つ少女たちと
アイドルオタクの夢を持つ男たち。
はかない夢を持つ両方の人たちを結びつけ、
がっぽりと金を巻き上げる美味しい商法だ。
考え出した秋元康は本当に頭がいい。

30代、仕事が軌道に乗った頃の私の夢は
「誰よりも優雅でありたい」
そんな切ない心理をくすぐられ
湯沢の豪華ホテルの会員権を買ってしまった。
「年に20回、1泊3千円で泊まれる」
紅い絨毯の広いロビーの奥にプールがあった。
3百万円だったが、「豪華」に嘘はなかった。

ただ、胴元が何人にこの会員権を売ったかは謎。
もし1万人に売ったら売上げは300億円。
全ての経費を引いても百億は儲かっただろう。
胴元は、なんて頭のいい奴なんだろう。

確かに1泊3千円は安かった。
買った直後、毎冬に5泊はした気がする。
でも、5年後にはほとんど行かなくなった。
それでも、年会費はしっかりと取られた。
挙句の果て、手放した金額はたったの60万円。
だから、最終的には一泊30万円についた!!
最後に、随分と高い夢を買ったことに気付いた。
賢い胴元に比べ、己は何と愚かだったんだろう。。
そして、今、思うことは、
「自分がそんなホテルの胴元になるべきだった」

50代、老いを感じるようになった頃の夢は、
「疲れを知らない精力絶倫&不老不死」
そんな強欲な心理をくすぐられ
得体の知れない怪しげな薬を買った。

その手の薬の胴元は大手の製薬会社ではなく、
必ず、香港とかマカオの小さな会社だった。
値段は一月分が1万2千円で1年間買った。
まじめに飲んだが、しっかりと老化した。
一緒に買った友のSは、亡くなってしまった。

そして、今、思うのは、
「二度とそんな欲深い夢は追わない」
でも、悲しいかな、まだ吹っ切れてはいない。

Business to sell a dream is so profitable.
Therefore, if you want to become independent,
you’d better do business to sell a dream.

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