建築と人生

30代に建てたビルのメンテで忙しい。
建築経験の浅かった当時の私には、
建物の40年後を予測する力がなかった。

建物を建てるときは、
「どう老朽化し、50年後にどうなるか」
このことを知っていてはじめて、
今どう設計すべきかが分かるのだ。

人生だって、少なくとも、
10年後、20年後は予測しておきたい。
でも、ほとんどの人がそんなことは考えず、
今を享楽的または安穏と生きてしまう。
だから、格差が生まれても文句は言えない。
(この格差を悪く言う政治家は偽善者だ)

もし、若い頃の私に、
今の私のような人が師匠になっていたら、
そして、人生の流れを教わっていたら、
恐らく今の数倍の成長を遂げていただろう。

それはさておき、40年経って、
今一番苦労しているのが建物の外部。
特に外階段の老朽化には泣かされている。
33年前、格好つけてデザインした外階段は、
その溶接部がすぐに錆びてしまったり、
支柱の根元が爆裂したりで、
補修工事が絶えない。

その苦労を経験したから、
50過ぎて建てたビルの外部は、
すべて錆びない、汚れないに徹して建てた。
だから、枕を高くして寝ていられる。

経験の少ない人が家を建てる時には、
経験豊富な師匠についてもらうか、
素晴らしい設計士をつけるか、
熟知した建築屋さんにお願いするかが
転ばぬ先の杖として重要になってくる。

それは、人生設計の法則に酷似している。

I am now busy with the maintenance
of the buildings that I built in my 30s.
In those days I did not have
the enough experience of building houses.

As experience is required when building a good house,
much experience is also necessary to spend a good life

The key to success of your life is to
have a teacher with a lot of experience.

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