高収入貧乏の谷

2千年以上前、孟子の母は、
子供によい教育環境を与えるために
墓地の近くの家を引き払い市場の近くに、
更にそこから学校の近くへ転居したという。

この有名な孟母三遷の話は
現代にも通用する素晴らしい教えなので、
我が人生にも活用したいと常々思っている。

「高収入貧乏の谷」という谷がある。
今流行語の「下流老人」とはこの谷に落ちた人々だ。
下流老人とは、元々は高収入だった人を指す。
高収入が故に、それなりの贅沢をしてしまい、
その生活習慣から逃れられなかった人が、
「高収入貧乏の谷」に落ちたときに下流老人になる。
贅沢を経験したことが悲劇のもとになっている。

人、特に零細実業家が「高収入貧乏の谷」に落ちるのは、
孟母三遷の教えの逆バージョンで動いた時が多い。
多くの場合、高収入になると豊かな人たちと付き合う。
そして、豊かな人の住む高級住宅街へ引っ越す。
ところが、そこでの付合いには莫大な金がかかる。
この転居こそが間違いの引き金になっている。

手に入れた豊かさが不動のものになるまで
そんな街へ引越しなどしてはいけない。
この恐ろしい魔の谷を渡りきるまでは、
金のかかる交友を避け、質素に生きるべきだ。

普通の人が富裕層の人になるには
「みすぼらしい生活=ケチ」に徹して、
ゆるぎない土台を築かなければならない。

このゆるぎない土台は業種や規模によって違う。
いつも危険と隣り合わせの零細実業家には、
かなりしっかりした土台が必要だ。
先日、開業医の教え子は10億だと言い切った。
本人が病気になると途端に無収入になるからだ。
しかし、一般的な零細企業なら1億ではないか。

零細不動産屋の場合だと純資産で3億以上だ。
絶対の安全圏なら純資産で5億は必要だ。
社会の変化で簡単に揉みくちゃにされる業種だから。

莫大な相続を受けていない普通の零細企業人が
いい顔だけして富裕層の人になれる訳がない。
もうひと踏ん張り、ケチの汚名を甘受しよう。

夜の街に出ていい顔するのはまだ10年早い。
高収入貧乏の谷に落ちないためにも。

Poor people who used to be rich
are called “Karyuroujin”.
I dislike a luxurious life
and wanna live a very simple life,
because I don’t want to become
“Karyuroujin”.

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