庵文化(2)

作家の赤瀬川源平さんが「老人力」という言葉を使っている。
はじめて耳にしたとき、「いい言葉だ」と心に焼きついた。

老人の対極は若者だ。
この二つの違いを考えると
「老人力」が良く分かってくる。

うまく老人になりきれなかった人に自殺が多い。
要するに、老人力を体得出来なかった結果なのだ。
若かった時代を取り戻そうとしたりして
無理にもがくから苦しみが倍加する。
年相応ならそれでいいではないか。
逆の見方をすれば、若者は若いがゆえに自殺をすると言える。

インドや中国では
急激に文明社会に突入した都市部の自殺率が非常に高い。
高度文明社会は「若者文化」に溢れている。
その筋肉質の若者社会に急に突入することで
多くの人が適応出来ずに、己の身を捨てるのだ。
例えば、バイクを買うために金を借りてローン地獄にはまる。
楽をさせようと子供に高学歴を望み
その親の期待に応えられない子供たちが自殺する。

あまり文明の発達していない社会では
機能性がないが故に時はゆったりと流れ
お金を離れて、ゆるぎない幸福を得られる。

日本なら、飛鳥、白鳳、天平の時代がその頃か。
このころの仏像、絵画には後の時代と比べると大きな違いがある。
興福寺仏頭、吉祥天女の顔には柔らかさがある。
しかし、後代になればなるほど彫り物の顔に険が出てくる。

こうして考えると
老人力が身につく還暦の頃はいい年代だと思えてくる。
大した金も要らない、学歴社会でもない、競争もない
嫌なことはどんどん忘れてしまえばいい。
そのために、多少のぼけも必要だ。

もちろん、競争する必要がないから誹謗中傷もない。
そんな夢のような年代を確かなものにする家
それが私の言う「自然に融合した庵」なのだ。
そしてそれが集まれば庵の村になる。
こうして庵文化が出来ていく。

※コルビュジェの建築5原則を取り入れた建物
(ピロティ・自由な平面・自由な立面・水平連続窓・屋上庭園) 

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