私は、店を構える不動産屋ではないが、
取り引数はそんな業者に劣らないほど多い。
それでも、決済当日は今でも緊張する。
投資家だから、取引の9割以上が買主となる。
恐れるのは、支払い後の瑕疵の発覚。
決済日に、銀行の応接室に集まるのは、
売主、買主、双方の仲介業者、司法書士。
ここで一番大切なのが売主の本人確認。
司法書士が権利証、印鑑証明書、委任状など、
必要書類が完全なことを確認しても、
目の前の売主が本人でなかったり、
売買が本人の意思でなかったりしたら、
私は所有権を取得することは出来ない。
無権代理人との取引は無効となるから。
例えば、認知症になりかけの夫の不動産を、
別れたい妻が騙して処分する場合とか、
成年後見人を必要とする売主の不動産を、
親族が言葉巧みに売り飛ばす時などは、
買主の私は十分に注意しなければならない。
銀行の応接室では、金を渡す前に、
免許証とかパスポートを確認する。
しかし、念には念を入れた確認作業もある。
例えば、現地とは違う写真を見せて、
「ここの角の境界杭はこれですよね」
などと本人しか分からない質問をわざとする。
更に、本人確認以上に大切なのは現地確認。
他人の土地を売飛ばす地面師がいるので、
都会での見知らぬ業者との取引は特に怖い。
これは実際にあった事例だ。
本当は整形地ではない売り地を、
隣地の土地に杭を打ち込み当該地と一体にし、
整形地のようにして見せられたことがある。
測量図も謄本面積と一致するように偽造され、
すんでのところで騙されるところだった。
現地確認で、杭の色の違いに気付かなかったら、
百パーセント騙されていた。
「下見百回」とはよく言ったものである。
取引で大切な三つ目の基本は、原本確認。
コピーなどは絶対に信用しないように。
特に謄本、測量図、委任状などは
簡単に偽造可能だから注意した方がいい。
It is very important to verify customaer identity
when buying and selling real estate.