街でも有数の資産家Mが亡くなった。
このMには子供がいなかった。
5年前にやり手のおばあさんが死んで、
独身で当時60歳の息子のMが跡を継いだ。
彼は、街のど真ん中にあったぼろ家を
すぐに建替えた、それは正に豪邸だった。
ところが、家が建って1年後に、彼も他界した。
去年の夏の暑い日の出来事で、
脳梗塞による孤独死だった。
縁があって、死後の彼の部屋に行った。
所狭しと本やDVDが積まれていた。
読書好きとは聞いていたが、これほどとは。
中にはエロ本も何冊かあった。
余りにも突然の死だから、
片付ける暇もなかったのだろう。
やはり、普通の男の面も持ち合わせていたのか。
そんな素振りは微塵にも見せていなかったが・・・
この資産家が残した資産の時価総額は8億。
相続人は彼の姉だけだと思っていたが、
実際には他に5人も現れた。
資産家とは純資産が3億円以上の人。
超資産家とは純資産が5億円以上の人。
5億以上になると、銀行が離さない。
デパートの外商が入りびたる。
保険屋が菓子折りをもって日参する。
この投資型のスーパー資産家たちは、
遊んでいても年3千万円は資産が増える。
だから、Mちゃんが古希まで生きれば、
資産は軽く10億を超えただろう。
今、このK家の10億円に届こうかという資産に
多くの不動産投資家たちが群がっている。
めったに出ない一等地のまとまった土地を、
何としても手に入れるために。
A super-capitalist died.
He had no heir.
Something is lacking.