貸しビルを持つ50年来の友人から、
「外壁のタイルが剥がれてきて・・・」
築30年を超える彼の貸しビルの中規模修繕。
見積もりをとったら約300万だったと言う。
「高木さん、これって高いですか?」
内容を精査したが、問題はなさそう。
20歳の頃、彼にはよくマージャンで金を毟られた。
そんな聡明な彼も今年喜寿を迎える。
賃貸用の建物を持つ者にとって、
その維持管理は常に頭痛の種。
「メンテナンスの要らないビルがあったら」
これは貸しビル業者の夢のまた夢。
この夢を追いかけて凌ぎを削るハウスメーカー。
彼らの一番のお気に入りは窯業系サイディング。
「雨が降れば汚れが落ちる」と宣伝しているのも
ほとんどが窯業系サイディング。
サイディングとは板状の外壁材の呼称。
窯業系のほかに、金属系と塩ビ系がある。
窯業形が一番メンテがかからないという人もいるが、
板と板との接続部にトラブルは多い。
これはへーベルでもパルコンでも同じで、
ただ「シーリングを何年毎にやるか」という問題。
私が今建てているビルでは、
金属系サイディングを採用した。
昔から屋根によく使われていた
あの「ガリバリウム鋼板」である。
打撃に弱いので凹んだり傷つく欠点はあるが、
シーリングの苦労からは開放される。
だから、限りなく「メンテナンスフリー」
でも、その真実を見る前に私の命は終るだろう.