優しさの向こうに

自分では常識だと思っていることに異を唱えられると、
一瞬唖然として、すぐに反論できないことがある。
若いときだったら、すぐに態勢を立て直せただろうが・・・
マンションの理事会でも、
談論風発、意外な意見がポンポンと飛び出してくる。
そんなとき、予備知識が豊富だと唐突な意見に素早く反応できる。
最近、受益者負担についての予備知識を学ぶいい機会を得た。
マンション管理士という歴としたプロとネット上での意見交換。
彼は優しい性格のようで、どちらかと言えば「何でも無料派」
彼のホームページを読んだ後、私からメールを送った。
誠実にもすぐに質問に対する返事がきて、曰く、
? 今まで社会に貢献してきた老人はその見返りとして無料
? これから社会に貢献する子供たちを大切にするために無料
? 多くの公共施設が上記の考え方を基本にしているのも無料の根拠
この考え方は、公共施設ならいざ知らず、
マンションに於いては根本的に間違っている、
プロに対して申し訳ないが、マンション運営にこの考え方は適さない。
管理組合の存在理由を根底から履き違えているとしか思えない。
管理組合の目的は「マンション財産の公平な維持管理」
親睦でも、福祉でも、教育でもなく、見返りでもない。
それは関連する法律にも判例にもきちんと示されている。
更に、マンションに入居したときからの人間関係に、
高齢者だとか若者だとか、中年だとかいう結びつきはない。
一般社会なら、今まで貢献してきた高齢者を敬うのにも一理ある。
しかし、マンション住民は、彼らに何のお世話にもなっていない。
入居時に高齢者が多額の入居金を払ったというのなら話は別だが・・・
従って、浅学非才も博学多才も老若男女皆平等で、持つ票もみな1票。
管理費は全ての人に公平に且つ正しく使われなければならない。
始めから年寄りに優しい設備が整っていることを理由に
そのマンションの購入を決断する人はいるかも知れない。
それはそれでマンション販売会社の販売戦略で、
それを買うか買わないかはお客の自由。
しかし、購入後のそんな設備の取付けに組合が金を払うのは違反。
現実には、目を離すとそんなことをやりかねない優しい理事が多い。
だから、最初の10年間、頑張って理事会に出席し、
そんな勘違いに真っ向から異を唱え、受益者負担の原則を導いてきた。
「優しさ」中毒の人が多い昨今、
国家も地方もそれが元で歳入不足になり行き詰ることが多い。
それはまた、マンションにも起こりがちなことだから、
私のような厳しい事を言う「憎まれ役」が必要なのだ。
行き過ぎた優しさの象徴が地下鉄の無料パス。
昼間、乗っている人の三分の一近くが無料パスの人たちで、
そんな高齢者が優先席のサービスまで受けている。
利用者には3割負担が当然だと思っているのだが・・・
その結果、歳入不足に陥って増税を検討する羽目になる。
挙句の果てに、韓国や中国などとの国家間の競争に敗れ、
若者には働き口がなく、よって少子化に加速がつき、
国も地方も年々弱体化し、国民総不幸な時代がやってきた。
今の10代が20年後にひどい増税で苦しむのは火を見るより明らか。
日本が貧しく弱い国の一つになるであろうその原因は国民にある。
管理費の値上げが当たり前と思っているマンション住民の「無関心」は、
増税を安易に受け入れている国民の「優しさ」に相通じるものがある。

湘南国際村センター裏の「霊峰富士」:仕事の関係で国際村には縁が深い。この国際村センターホテルは部屋からの富士山が綺麗なことでつとに有名。宿泊しなくてもこの建物の裏の公園からも驚くほど美しい富士山の眺望を楽しむことが出来る。

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