爪で拾って箕で零す 

日本のマンション数は約500万戸で、その居住者数が1100万人。
超大雑把に言えば、10人に一人がマンション住まいで、
住宅は10戸に1戸がマンションということになる。
ただ、都心は、マンションの比率が桁違いに高いのは言うまでもない。
これらマンションの1戸が平均百万円の積立をしているならば、
その総額は500万戸×100万円で5兆円という凄い額になる。
話半分でも2〜3兆円にはなる筈だから、バカに出来ない金額だ。
そんな大金の運用先が気になるが、当てになる統計が見つからない。
理事会でも積立金の運用はよく話題になるが、
あっちだ、こっちだとリスクヘッジに積立金を分散しているのを見ると、
「何をちまちまやっているんだろう」と首をひねってしまう。
運用先の議題によく出る言葉は「ペイオフ」
個人的にはペイオフ対象になるほどの大金を持ったことがないから、
当時は、「1千万円の元利保証」という程度の知識しかなかった。
でも、理事の皆さんは色々とよく知っていて、
北海道拓殖銀行の概算払い率は80%だったなどということまでお勉強した。
つまり、あの倒産では、3千万円の預金があって且つ相殺するローンがない人は、
1千万円+(3千万‐1千万)×0.8で2600万円が戻ってきたというのだ。
ならば益々純資産の多いメガバンクに預けておけば安全ではないかと、
自分の考えが正しかったことに確信を持ったものだった。
また、「マンションすまい・る債」についてもお勉強させられた。
これは住宅金融支援機構が取り扱う利付き10年債のことで、
この債券を毎年1回(1口50万円)、10年間の範囲で積み立てることで、
無制限で国債と同じペイオフ対策にもなる超大型の金融商品らしい。
結論は、「マンションすまい・る債」に半分、メガバンクに半分。
これ以上マンション積立金の運用先議論はする必要はなさそうだ。
でも、どちらにしたって、その利息は微々たるものだ。
だから、大切なことは、大規模修繕や日々の管理で大金を失わないこと。
こちらの失敗は失う額が数千万円単位だから爪で拾う利息とは訳がちがう。
ともすれば、細かい議題は扱いやすいから、
そんなことを話し合っていると仕事をしている気分になるが、
そちらにばかり理事さんたちの目がいきがちなのが心配でたまらない。
マンション管理組合で活動する理事さんたちには、
「爪で拾って箕で零す」ことのないように留意してもらいたい。

西麻布の「分とく山」:ここの料理長が野崎さんで、本店の「フグの徳山」でお会いしたのが最初だった。当時「分とく山」はもっと小さい店だったが、その後今の大きな店に移った。これはまるで神楽坂「石川」の発展とそっくりで一つの成長法則のようだ。野崎さんの料理の大原則は出汁。著書「料理の方程式」でもだしの大切さを力説しているが、店でもよくそのお話をされる。

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