賃料算出

大阪の中心地に賃貸用のマンションを一部屋持っている友人が遊びに来た。
2年間も売れないので賃貸に出したのだが、借り手が決まらないと言う。
賃貸条件は、70平方メートルで築20年、月賃料8.3万、管理費1.7万。
保証金20万、礼金20万、2年間売りに出していたときの価格が1400万円。
東京と大阪の違いに唖然とする。
この条件で東京3A地区なら26万、横浜中心部なら15万は堅い。
大阪の中心地は関東なら三等地にある私の横須賀物件と同価格なのか。
関東と比べると関西の経済はかなり厳しそうだ。
※3A地区とは青山、赤坂、麻布
「高木ならどうする?」と訊く。
関西のことは分からなかったので、一つの計算式を話した。
全国で使える例の実質利回りの逆算式だ。
日本では、一般的に家賃は実質利回り7%辺りに落ち着く傾向がある。
売れなかった1400万円は投資価格に適さないので、投資価格を1200万円とする。
1200万×0.07=84万(円)、月額だと7万円になる。
つまり、友人の物件は少なくとも1万円は高すぎる。
可哀想だったが、はっきりと言ってやった。
「適正家賃はズバリ7万、管理費と合わせると8.7万だな」
それを聞いた彼が口を尖らせる。
「天下の三井のリハウスはこれでも安いと言った」と反論する。
「それならそのままの賃料で募集を続ければいいじゃない」
でも、不動産業界で30年以上飯を食っている私だから、内心、
「そんな不動産屋の若造に何が分かるか」と不機嫌になる。
学生時代からこうして随分とぶつかり合った仲なのだ。
今更言ってもしょうがないが、
もし、30ヶ月前に、この家賃で貸し出せば、
儲けそこなった家賃の額は、30ヶ月×7万=210万。
つまりは1万円の210ヶ月分、死ぬまで8万円で貸せたのと同金額だ。
30年間、空室を出さないプロのオーナーの助言が分からないのか。
私ほど楽をしている不動産屋などめったにいないというのに・・・
「バカな若造と付き合っていると大損するぞ」
そんなきつい言葉を吐きたかったが、それだけはぐっと堪えた。
さて、頭脳明晰だった彼が大阪に帰ってどうするかが楽しみだ。

鎌倉市浄明寺の「報国寺」:定年後の趣味で鎌倉の写真を取り始めた友人に誘われてついて行った。寺の裏山の竹林が有名で、多くの外国人の抹茶サービスを楽しむ姿が。なかなか味わいのあるお寺で紅葉の頃にもう一度来ようと約束。

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