常識

私のブログを読んだ友人が訊く、
「管理会社に任せているのになぜ管理組合が損をするの?」
素直でいい質問だが、これが大方の常識だから本当に怖い。
時間があったので、近くのカフェでお茶をしながら説明してあげた。
「もしマンションの工事をしたい塗装屋がいたら、どんな営業をするか、
一軒一軒マンションを訪問するか、それともそこの管理会社に行くのか」
「マンションを訪問してもそこの理事は1年で交代するし手間もかかるので、
恐らく管理している会社に紹介をお願いに行くでしょうね」
「その通りだね。そんな人が5人いたら、管理会社はどう動くかな?」
「大規模修繕の入札前に5人の業者を呼び、工事をする会社の順番を決め、
その番がきた会社の人に当該工事の入札最低価格を教えるでしょうね」
その通り、更に、管理会社は各マンションの持ち金(予算)を知っている。
当然、事前に大まかな工事価格を素人の理事たちにレクチャーする。
その後、何も知らないマンションの管理組合はこの5社から見積りを取る。
入札前に、今回が順番の業者は最低価格を書いた札を用意しておく。
最低価格には十分な儲けが乗せられ、管理会社へのお礼の分も含まれる。
もちろん、今回が順番でない業者は最低入札価格より高い札を用意している。
それが、「管理会社任せだと損をする仕組み」なのだと教えてあげた。
「よく分かった」と、友人が深々と頭を下げたのは言うまでもない。
これは管理会社が悪いのではなく、勉強不足の管理組合が悪いのだ。
今年だけで三つの建物の入札を行った私は、入札の裏を知り尽くしている。
だから、そんなことが行えない入札をやり、損のない工事費で発注する。
素直に学べば、誰だって損のないような入札は出来るのだが・・・・
ダメ押しに、何年か前の別のマンションでの恐ろしい実話を教えてあげた。
そのマンションはセキュリティシステムが充実していた。
そのセキュリティの工事発注のときも管理会社から3社の紹介があった。
その最低価格がとても高く感じたので、私の知り合いから見積もりを取った。
その見積もりは、2百万を少し超えた最低価格よりも更に百万近く安かった。
もちろん、性格の悪い理事がいなかったから、理事会は私の仲間に発注した。
残念なことに、この貴重な経験を積んだ理事たちも1年で交代した。
こんな経験を毎年の新人理事たちに教えることは不可能だから、
最終的には、今のマンション管理組合制度を改善しなければだめなのだが、
その時々の理事や理事長も面倒なことはやりたくないから改善はされない。
結局、ずるずると時が流れ、何千万円という無駄が積もっていく。
結果、「管理費の値上げ」という変な一般常識が住民に突きつけられる。
でも、管理費の値上げに反対する人はほとんどいない、皆不勉強だから。
それは日本の国家運営とそっくりで、国民も住民も皆羊のように従順だ。
この国に消費税の値上げは必要ないのに、その値上げが常識化されている。
国民は洗脳されているから、値上げ反対論者がバカのような世論まで生まれる。

六本木の「瀬理奈本店・モンシェルトントン」:苦労続きだった母が、晩年少しゆとりが出来、その最初に家族で行ったゴージャスなレストラン。こうして母のことを書くと、ジーンと何かがこみ上げてくる。場所柄もあって、味も値段も最高だった。写真が見つからなかったので瀬理奈のHPより宣伝用写真を拝借した。

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