井の中の蛙

「ベトナムに10日間行ってきました」
そう話す真っ黒に日焼けした顔が逞しい。
「現地の人に溶け込んで、本当にいい旅だった」
ここまでは、素直に耳を傾けた。
「人の心がきれいで、時間がゆっくり流れていて、世界一だね」
こう聞いた途端に腹が立ってきた。
初めての外国旅行で知った国を世界一とはなんだ。
たまたま何かの縁で行った国を「世界一」という感覚に呆れる。
カナダやオーストラリアに行った若い娘たちが、
「きれいな国で、自然が多くてあっちに越したい」と言うのを何度も聞いた。
そんな娘に限って母国・日本やヨーロッパのことをほとんど知らない。
だいたい、「自然が多い」ということは「退屈な国」ということ。
逆に、カナダやオーストラリアから日本に刺激を求めに来る若者も多い。
どちらも、「隣の芝生は青い」ということを思い起こすべきだ。
おまけに、この娘たちはカナダとかオーストラリアにしか行ったことがない。
自分が知ったたった一つの国に「一番」という言葉を使う神経に腹が立つ。
でも、悲しいことにこんな輩が日本中にうじゃうじゃいる。
自分が「たった一つの外国しか知らない」という謙虚さがない。
せめて3大陸くらいの国を知ってから、最高だの一番だのと言って欲しい。
井の中の蛙に世界を語られると無性にイライラする。
更に、彼女たちは北海道にも沖縄にも九州にも行っことがない。
こんな母国の日本すら知らない輩に、
「日本より」なんて言葉を使われたら、もう口も利きたくない。
故・本田総一郎さんは、引退後5年をかけて、世界20カ国を旅してから、
「やっぱり日本が一番いい国だ」と言って、晩年を日本で過ごした。
「己は未だ浅学」という意識や謙虚さを持って、国を語りたいものだ。

葉山の隠れ家「花みこ」:葉山と横須賀の境にある里山レストラン「花みこ」 
隠れ家レストランに相応しく、車がやっと通れる細い山道の先にある。
食事の部屋は女将さんの自宅の縁側伝いにある2間の和室。
昼ランチと夜ディナーの料理があって、自家野菜中心のお任せメニュー。
誰でも知っている「若か菜」の近くだが、この店を知る人はかなり稀。

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