パークスクエア上大岡の築15年大規模修繕工事も、
明日、無事に竣工式を迎えることになった。
1億円を超える大規模修繕工事は、
我が70年の人生でも初めての経験だ。
本当に多くのことを学んだと感無量である。
今回の現場監督は
1級建築士として大手ゼネコンで定年まで働き、
10年前に今回大規模修繕を請けたN株式会社に転職。
そこで1級建築施工管理技士として10年も働いてきた、
建築畑一筋の男。
建物メンテナンスで40年苦労してきた私にとって、
この現場監督との半年間は実に楽しくも貴重な時間であった。
建物を美しく保つための数々のアイデアは本当に参考になった。
本来直線部分にしか使えないと思っていた出来合いの水切りを、
ちょっとした工夫で曲線部分にまで応用する頭の柔らかさ。
そして、それをシーリング部分に食い込ませる発想の凄さ。
15年経過したコロニアル屋根の塗装の工程は、
私が今までに経験したことのない三度塗りという丁寧さ。
その仕上がりは本当に見事で、惚れ惚れした。
今回の木部塗装の技術は
7年前に横須賀のYという会社のやった不誠実な塗装と比べ、
その技術力と丁寧さにおいて格段の相違を見せた。
木目を殺さず、美しい光沢を見せる木製の手すりは
見た目だけでなくその感触さえも違っている。
「ここに人が座れなくなるようなアートな装飾品を置きたい」
こんな漠然とした注文には、5枚もの図面を書いて対応してくれた。
出来上がった作品は、想像を遥かに超えるものだった。
15年前から波を打っていた欠陥工事の屋上ルーフィングは、
設計管理の住友不動産の強い意向も汲み入れ、
欠陥部補修は無償で完璧な姿に生まれ変わった。
15年間、言い続けてきた甲斐が報われた一瞬だった。
監督さんには本当に申し訳ない苦労をかけてしまった。
足場で痛んでしまった植栽も、
十分すぎるくらいの復旧手入れをしてくれたので
今では工事前以上の美しさになった。
半年間の工事過程では、
監督さんと口角泡を飛ばして話し合ったが、
今では無二の戦友として語り合える仲である。