マンションの本体、つまりコンクリートの耐用年数が
理論的には100年を超えたからといっても、
そこに使われた水道管や排水管は百年もたない。
ある日突然、漏水で大騒ぎするマンションは実に多い。
一見健康そうな人がある日突然
血管の詰まりが原因で死亡するのとよく似ている。
給排水管は40~50年くらいで交換するのが現在の技術の限界だ。
私が最近理事を務めるようになった150戸のマンションでは、
なんと30年で水道管を交換してしまった。
たった1軒のお宅で水漏れがあったという理由で。
補修でなく全部を交換した本当の理由は、管理会社の誘惑。
管理会社の利益の2本柱は管理費と工事費。
近年、管理組合からの管理費の値下げ圧力が厳しくなっている。
そこで管理会社は工事からの利益を画策するようになった。
彼らは管理組合の金のあるなしをよーく知っている。
金に余裕のあるマンションには必要も無い工事も仕掛ける。
「今のうちにやりましょう。資産価値も上がりますよ」
熱心な理事長や理事たちに限ってこの誘惑に乗りやすい。
そうして管理組合の大切な剰余金は雲散霧消する。
十分な検討も行われずに。
一般的には、給排水管の工事には二つの工法がある。
管を新品に取り替えてしまうのが更新工事。
管内部にライニングをするのが更生工事。
更新の方がいいのは当然だが・・・・
今回のマンションのように早すぎるのも問題である。
大規模修繕やマンション再開発を迎えているときの
マンション管理運営にはかなり専門的な知識が要求される。
だから、輪番制の理事さんだけで対処するなんてどだい無理な話だ。
輪番制理事と専門的知識を持った理事を入れた
複合的な管理システムを考えるべき時もある。