今までに取り壊された建物の平均年数を基にした
国交省発表の建物耐用年数は木造で約30年、
鉄筋コンクリートが中心のマンションで約40年。
しかし、この20年くらいの間に建てられたマンションは
メンテナンスさえまともなら耐用年数は60年以上である。
管理組合活動が適切に行われる最近では100年という予測もある。
知り合いの築50年のRC造マンションのコンクリートをコア抜き試験したら、
コンクリートそのものには何の問題もない結果がでたという。
だから、部分的に劣化している箇所にはフレッシュコンクリートを注入して、
表面に1.5センチ程度のポリマーセメントモルタルを塗布する処置をした。
その結果、この建物の耐用年数を理論値で100年にまで伸ばせたという。
新築当初のコンクリートは「アルカリ性」である。
それが1年に0.5センチメートルずつ中性化する。
コンクリート造の鉄筋のかぶり厚は通常3センチだから
単純計算で、60年で中性化が鉄筋にまで到達する。
コンクリートの中性化は水の浸透性を促進し、
その結果、その浸透した水が鉄を錆びさせるというのが建物の劣化だ。
しかし、中性化そのものはコンクリート強度に劣化を起こさないから、
水の浸入を防ぐために前述のような二つの処置をすれば、
耐用年数を120年にまで伸ばすことが出来るという。
こうしてマンションの耐用年数が百年を超えるような時代になると、
問題になるのはそこに設置さされた設備の旧式化だ。
例えば、40年前は5階建てにエレベーターがないのは一般的だったが、
現在ではそんなマンションは皆無に等しい。
また、水周りの設備の進歩はかなり著しい。
40年前のキッチンや風呂は今では見向きもされない。
だから、マンションの再開発を考えるときには、
改修に重きを置くのか、建て直すのか、
この二つの論議から始めなければならない。
再開発に成功したブリリア多磨ニュータウン
この美しいデザインを見ると
再開発ならではの素晴らしさがある。
また、街全体の利便性の劇的な変化には目を見張る。