管理組合の総会決議のルールを知っている人は意外と少ない。
一般的には、総会前に1号から5号くらいまでの議案が決められ、
それについての委任状と議決権行使書が組合員に配られる。
委任状は多くの場合、議長への委任であることが多い。
「議長への」というところが後々大きな問題になるのだが、
書類提出の段階でこれに気づいている人はほとんといない。
本当は、議決権行使書に賛成とか反対を記入すべきなのだ。
委任状なんか簡単に書いてはいけないのは総会にも当てはまる。
例えば、組合員百人の総会の1号議案について考えてみよう。
仮に、出席が30人、委任状が30人、賛成議決権が15人、
反対議決権が15人、欠席(棄権)が10人とする。
討議の末、この議案への出席者の賛成が10人だったとすると、
出席賛成10+賛成議長への委任30+議決権賛成15=55
カウントの結果、過半数の賛成で1号議案は総会決議として成立する。
しかし、討議の末、修正動議扱いになったとすると話は別だ。
修正動議である以上、議案が修正されて議決されるので、
内容を知らない欠席10と議決権30は全て棄権としてカウントされる。
出席30人と委任状30人を合わせた60人は
定足数50人を超えているので決議は可能で、過半数は31人となる。
この修正動議に議長が賛成すると、例え出席者が全員反対しても、
賛成が31人となり、修正動議は可決されてしまう。
こうして、議長権限があまりにも過大になってしまう事態が発生する。
場合によっては、議長への安易な委任が非常に怖い結果へつながる。
逆を言えば、議案作成の理事会での企みはかなりの確率で成功する。
だから、総会前の理事会には十分注意を払う必要がある。
加えて、議長への委任などという安易な選択は絶対に避けるべきなのだ。
議案の意味がよく分からないときは、欠席(棄権)をした方がよっぽどいい。
委任状の怖さは、ビジネス社会だけでなくマンション総会にも当てはまる。
くれぐれもご注意あれ!
修正動議とは:
「理事1名選任の件」という議題について、Aを理事選任するという原案に対して、
Bを選任するという動議を修正動議といいます。
この修正議案は、「理事1名選任の件」という議題の範囲内ですから許されます。
もし、A とBを共に理事にしましょうという動議が出されても、
「理事1名選任の件」という原案に反するので、
これは修正動議としても通りませんので議決をすることは出来ません。