手付詐欺

「一つの不動産を大勢の人に売ったら」
そんな夢のようなことは可能だろうか。
残念だが、実際にはそんな事件はいくらでもある。

庶民には不動産売買は非日常取引であり、
どこに落とし穴があるなんて知る由もないからだ。

例えば、
私がこのブログを書いているこのPマンションを買ったとき、
5千万円のA-305には8つのバラがついていた。
つまり、8人が申込みを入れていたのだ。

もしこのとき、販売する会社が7人の人から10%の手付金を取り、
最後の人からだけ全額をもらい、その人名義の登記をしたとすれば、
総額8500万円の売上げになる。
もし10戸分をこんな方法で売って、
販売後にドロンすれば8.5億円の売上げを持ち逃げできる。

私は35年前にちょうど10戸のマンションを建てたことがある。
駅から2分で、あっという間に売れた物件だ。
その時の経験で言えば、上記の詐欺は簡単にやれたと思う。

もちろん、「やれた」ということで、「やった」訳ではない。
ただ、私のような無名の会社でも皆が信用してくれた。
買いに来たお客様は疑いもせずに手付金を払ってくれたし、
マンションが建ち上がるまで何の疑いも持たず待ってくれた。

そのとき、
「これなら何人からでも手付けは貰えるな」と思ったものだ。
実際には一人だけから貰い、その人に登記をしたが。

その意味では、
不動産の世界ほど怖い世界はないと今でも思っている。
だから、不動産世界に限らず、
この世を生きるときには、
善良で運のいい人に囲まれて生きるのが一番だ。

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