それでも上を目指す

日本で儲け頭の部類に入る会社の開発部の人に訊いた。
「普通の土地活用業者と大地主との違いって何?」
「簡単です、普通預金残高が違います」
大地主の普通預金残高はその多くが9桁で、10桁の人だって珍しくないと。
そういえば、中区のあの方は40億だと言っていた。
訊かなければよかったと後悔した、私の普通預金残高と2〜3桁違う。
めったなことで人を羨ましいと思ったことはないが、
資金繰りの苦しさを考えると、その額は本当に羨ましい。
確かに、この30年間、銀行に融資依頼をして断られたことはない。
それが長年かけて築いてきた信用という宝で、誇りでもあった。
でも、銀行から「借りてくれ」と日参されるほどのこともない。
そこへいくと、大地主には「借りてくれ」と支店長が足しげく通うという。
もちろん、大きな土産話を持って・・・だから、彼らは更に豊かになっていく。
彼が続ける、
「でも、私は社長のような苦労人の方にいい話をお持ちします」
本当に嬉しいことを言う男だ。
「ありがとう、確かに今回のこの情報には感謝しているよ」と頭を下げる。
親から体以外に何も相続しなかった私のような人間の通帳では、
通帳残高があくびをしている暇がない。
残高が8桁にでもなれば、その金はすぐ次の事業に出動する。
いざとなれば、生命保険関係のお金にまで手をつけてしまう始末。
本当に情けない。
確定申告の季節、西区に住むよく知る大地主も申告を済ませた。
「また納税額が1億を越えちゃったよ、いやになっちゃう」という。
生涯に一度はこんなことを言ってみたい。
「上を見て生きなければ進歩はない」というが、
こんな人たちの話を聞くと、たまには悔しい思いをする。
それでも、やっぱり自分以上の人と付き合いながら事業を進めよう。
成長するには悔しさをバネにするのが一番いいことなのだから。

春のベランダ、花たちが疲れた心を癒してくれる。

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