瑕疵ある物件

ガソリンスタンドの跡地に買い付け証明を出して一週間、
様々な資料に目を通し、最後の契約書のチェックとなった。
所有者である石油元売業者から届いた契約書案を見て目をむいた。
「売買完了後のいかなる瑕疵についても売主には責任がない」
あの有名な2ヶ月条項もなく、かなりの強気だ。
ガソリンスタンド跡地といえば、最初に脳裏に浮かぶのは「土壌汚染」
これだけのことを書くというのは「瑕疵があるんだな」と勘ぐってしまう。
それにスタンドの裏山の崖でトラブルがあったという話も現地で聞いた。
結局は怖くなったので、「今回は辞退します」と丁重にお断りした。
30年以上も不動産購入を続けているので様々な瑕疵を経験している。
ただ不思議にも、それが私にとって致命傷になったことはない。
すべて上手に解決できたのには運も大きく左右しているような気がする。
最も小さな瑕疵は洗面所の水漏れ。
戸建ての中古賃貸物件を購入して半月した頃、入居者からの通報。
「洗面所の下のS字管のところが水浸しです」
契約書には「引渡し後3ヶ月は売主の責任」とある。
修理代を請求してきたので、そのことを伝え請求書を受け取らなかった。
すぐに業者が謝りにきて、あっという間に解決。
もし契約書を熟読してなかったら危うく払うところだった。
目には見えないがかなりの大きな瑕疵は「近隣トラブル」
法律では「知っている限りは通知義務がある」となっている。
しかし、「知らなかった」と言われればそれまで。
数年前、長者町で購入した土地にビルを建てようとした。
建築契約も交わし、建築業者が近隣に工事開始の挨拶まわり。
ところが、隣のビルに変な人がいて、ごねだした。
「タオル一枚でこの日照問題を我慢しろというのか」と。
買ったときにはそんなものがあるなんて全く聞いていなかったのに・・・
兎にも角にも、この手の問題は警察との連携で解決するのが常道。
早速所轄の警察に連絡し、いつも通りに進めようとした。
ところが何と、予想に反して腑抜けの建設会社がおりてしまった。
これは幸先が悪いと感じ、裏で売却活動を開始。
たったの2週間で運よくそれなりの価格で売れた。
買ったのはご他聞にもれずプロの業者。
事実を伝えたが、プロは近隣の人など意に介さなかった。
すぐに転売してしまうのか? その辺は分からない。
瑕疵の中でも埋設物には手を焼く。
肥溜め、地盤安定用の枕木、遺跡・・・・
一番損害の大きいのは遺跡だろうか。
建築の前に数年も工事指し止めを食らうこともある。
平塚では、こんなものが出そうだからと契約をしなかったことがある。
瑕疵ある物件を避けるよい方法はあるのだろうか。
今までで、瑕疵ある物件を紹介してきたのは大手の業者が多かった。
大手だから安心という世界ではないようだ。
だから、究極本人が細心の注意を払わないとだめなのだ。
ということは、不動産は経験の浅い人には難しい仕事だということになる。
この業界には、必ず相談相手を見つけてから参入すべきだ。

よく行く箱根の蛸川温泉

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瑕疵ある物件 への1件のフィードバック

  1. ekatuki のコメント:

    長年の経験から来る勘ですね

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