社長業

私が会社を売った後にその会社の社長になった人は
買った会社から、つまり親会社から送り込まれた人だった。
育ちの良さそうな人で、一流大学を出ていた。

この会社はその社長が個人保証をして借金をする必要がなかった。
それどころか、数年間は利益剰余金が千万単位で増え続けた。
多くの社員が社費で夜の街に出かけて行った。
本当にいい買い物をさせてあげたが、どういう訳か今はもうない。

それに引き換え、最近K社の社長になったS君は可哀想だ。
社長に抜擢されたのはいいが
なったとたんに会社の借金の個人保証人にされた。
「運転資金の借入れだからしょうがない」と明るい顔をしている。
「この人、保証人の怖さを知らないな」と心配になった。
名刺が社長になれば「偉くてすごい」と思ってはいないだろうが・・・

会社経営に限らず、不動産取引や投資で己の不勉強に気付かないで
肩で風を切って突き進んでいる人の何と多いことか。
その成れの果てが倒産劇やその先の借金地獄なのだろう。
自営業者で死ぬまで安定して生きる人は本当に少ない。

※鴨川の桜

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