成年後見問題

昨年暮れ、何年も前に禁治産制度が廃止され、
個人主義時代の新たな後見人制度が施行されたことを知った。
それが何と今は、成年後見制度抜きには不動産活用が語れない時代だという。
未成年後見人と違い、成年後見人が近年とみに急増している。
その原因は、長寿による認知症患者の増加と急激な核家族化。
私の事務所のあるPマンションでもよく問題になる管理費の滞納。
その理由の多くが管理費の支払いすら出来ないほどの老齢化だという。
つまり、認知症とそのケアをする人のいない核家族化が多くの問題を引き起こしている。
とすれば、この場合の管理費の支払いを誰に催促するか?
更には、固定資産税や住民税はどうやって払うのか。
管理費の滞納では市や県による差し押さえまでは起こらないだろうが、
固定資産税や住民税を滞納すれば必ずマンションは差し押さえの対象になる。
この時点で、この人に代わって財産を処分し税を支払わせる後見人が必要になる。
そこで、弁護士や司法書士をその人の後見人として選任するのが家庭裁判所。
当然、選任された後見人は知り合いの不動産屋に売却依頼をするのが自然な流れ。
もし、そのときにその不動産屋がその後見人に太いパイプがあれば、
もしかしたら彼は相場より安く当該物件を購入し、いい思いが出来るかも知れない。
だから、今後急増するであろうこのような後見人関連物件を手に入れることは、
不動産活用を考えている人にとってはかなり有利なチャンスになり得る。
そう言えば、横須賀の友人の近所でも似たような事例があった。
当の本人は5年前から失語症を発症、徐々に知能が低下していった。
3年前に障害認定1級を受け、障害年金生活に入った。
彼の親が残した自宅やアパートの管理も不可能になったので、
関西に住む叔母が後見開始の審判を家庭裁判所に申し立てた。
(そのときは禁治産問題だと思って話を聞いていた)
不動産の処理も絡むことから司法書士が成年後見人に選任された。
特別養護老人ホームへの入所とその後の費用のために自宅やアパートが
司法書士⇒知り合いの不動産業者⇒建売業者という流れで売却された。
その後のことはともかく、この建売業者が応分の利益を得たことは想像に難くない。
成年後見人の急増はこのような流れで土地活用と深いかかわりを持っていく。
任意売却の急増と同様、見逃すことの出来ない新しい社会現象である。

鎌倉プリンスで朝食をとってから長谷寺を散歩した。今年は穏やかな日が多いので戸外を歩くのが楽しい。

カテゴリー: 不動産・ビジネス パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です