没落

代々続いている地主さまほど羨ましい存在はない。
貧乏な家に育った私などは地主さまに出会うと、
ついつい卑屈になって下を向いてしまう。

ただ、こんな地主さまでも死ぬときは死ぬ。
そして相続が起き、さまざまな問題が発生する。
この問題の相談にのる組織が銀行と弁護士。

ところが、銀行も弁護士も利益追求の組織だから、
相続した子供たちが無知だと、
ハイエナのように利益を貪りつくす。
「無知だから相談しているのに」なんていうのが本当の無知。
それこそ世の中を知らな過ぎるというものだ。

一番多いのが相続対策と称した手口の数々。
非相続人が生きているうちから行われる一般的な方法は、
土地を担保に大金を貸し付けてのビル建設。
マンションの場合が多いが商業ビルの場合もある。

知人の資産家は親が亡くなる5年前に
10億の融資を受けて商業ビルを建てた。
それから7年、親が死んで2年経った今年の夏、
この資産家の土地が次々と売りにに出されていることを知った。

調べると、商業ビルに思うようにテナントが入らず、10億の返済がとどこおり、
仕方なく資産を売って借入金を圧縮したというのだ。
弁護士から銀行を紹介されて万全の手を打ったはずだが、
彼らは結果には責任を負ってくれない。
最後の砦の自宅お屋敷が売りに出される日もそう遠くはなさそうだ。

最近、もう一人の友人の資産家の息子が、
5億の融資を受けて老人ホーム用のビルを建てている。
返済期間20年の私もよく知る銀行からの融資だが、
もしこの老人ホームが倒産したり退去してしまったら、
あっというまに、親が残した土地を全て手放すように銀行から催促される。
3年後からの賃料の値下げ交渉だって日常化しているのだが、
経験のないこのお坊ちゃまはそんな将来を見通してはいない。
老人ホーム用のビルなんて他に転用がきかないから、即没落だ。

人も羨む地主様がこうしてどんどん消えていく。
実に恐い話だ。

ベランダもここまで広いと3年後が楽しみだ。

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