好感度ナンバーワン

「先生、最近セキュリティの仕事はどうですか」
久しぶりに会った教え子からのストレートな質問。
でも、気心の知れた同士だから何の不快感もない。
むしろ、「これが仲間だ」という感さえするから不思議だ。
「全然儲からないよ」と笑顔で応える。
日本で最初に「入られない防犯」を唱えて儲かった時代があったが、
いい事は長く続かず、今ではセ○ムなんていう大手が参入して、
ニッチな美味しいところを全部持っていかれた。
塾事業もそうだったが、本当に「我が世の春」は短い。
複数の事業を同時展開しているから防犯ビジネスがダメでも
私の生活には大きな影響はないが、内心は面白くない。
聞けば彼も40を越したという。
仕事も手広く展開し、聞けば聞くほど「凄い」という感じ。
店も見せてもらったが、取扱商品の特色に唖然とする。
私が見知らない商品が半分以上も並んでいる。
「これがズートスーツで、これがインディアンジュエリーです」
「えっ、それって誰が買うの?」
こんな調子で、宇宙船内で宇宙人と話しているようなのだ。
人が好きだから人脈は広く、それなりに物知りだと自負していた。
しかし、これがとんでもない錯覚だったことに気がついた。
「私にも理解不能な世界があるんだ、特にこの世界は分からん」と。
ただ、彼は25年前と変わらず、人懐っこいで目をしていて
「好感度ナンバーワン」という印象は相変わらずだった。
「こんな爺だけど、これからもよろしくね」

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