幸福実現法(37:報い)

大家受難の時代
「なんで不動産屋に菓子折りなんて持っていくの」
「いつも店子を紹介してくれたりしてお世話になっているから」
「世話しているのは大家のあんたじゃないの?」
「でも、いろんな情報もくれるし・・・」
「菓子折りは不動産屋が持ってくるべきだ」というのが彼の言い分。
そう言って私を笑った地主の彼、今は古希を迎えた冴えない爺さん。
30年の歳月は容赦なく二人の間に大きな差をつけた。
「驕る地主は久しからず」とはよく言ったものだ。
時々、ハウスメーカーさんから講演会の案内がくる。
だいたいがアパート経営の現状に関するものが多い。
そこで日本のあちこちで起きている身も凍るような話を聞いて、
30年前のこんなどうでもいい会話を急に思い出したのだった。
今、大阪や北海道では家賃の急激且つ大幅な下落が始まっている。
人口減少で貸家やアパートが余りだし、過当競争が始まったのだ。
そこで大家は借主を紹介してくれた業者にボーナスを出すようになった。
菓子折りなんて安物ではなく、家賃の一か月分のお礼を出すのだという。
そう、通常の不動産屋分に加えて更に営業マンに渡たす分を払うのだ。
だから、不動産屋の営業マンはボーナスの出るアパートしか紹介しない。
当然、漫然と過ごしている大家の建物にはくもの巣が張るようになる。
手を拱いている大家には借主の見つからない苦しい日が何ヶ月も続く。
栄枯盛衰はこの世の常とはいえ、本当に時代の変遷が激しい。
今や大家の受難時代、少子化の影響は彼らにとって余りにも大きい。
でも、30年後のこんな今を見越しての私の行動ではなかった。
私は自分の仕事を支えてくれる人は皆大切にしている、今でも。
という訳で、不動産屋さんにも感謝の気持ちで菓子折りを持って行った。
老後と言うのは若い頃のあらゆる行いの報いを受けるとき。
大酒のみや女狂いは言うに及ばず、ちょっと傲慢でもこうなのだ。
短いようで長い人生、かなり真剣に生きないととんでもないことになる。

海苔巻きかつで有名な北久里浜「とん吉」のオヤジと北海道は倶知安の話に花が咲いた。

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