的確性(2)

中古アパート販売を得意とする不動産屋に遊ばれてしまった後輩の話。
彼は投資家と言ってもまだ駆け出しで、見事に乗せられてしまった。
「駐車場は担保価値がない。アパートなら担保価値が高いから二の矢が早い」
そんな出任せを言って、アパート物件を三つも案内したという嘘つき不動産屋。

彼は、この不動産屋の言葉を真に受けて私に言う、
「高木社長の言っていることとかなり違っていましたよ」
私は誰にでも言っていた、「駐車場ほど担保力があるものはない」と。
それにしても何故この道40年の私の言うことに疑念を抱くのか。

一事が万事、彼はすっかりアホな不動産屋の言った言葉を信じている。
世の中には、こうして騙されて地獄へと落ちていく人間のなんと多いことか。
彼は的確に人を見抜けない失敗者の典型だ。

私はいつも言っている。
「人生、多くの人の話を聞くより一人の的確なことを言う賢者の話を聞け」と。
知ったかぶりの無知な人間の話しをいくつ聞いたって時間の無駄で、
その結果は、不運な人生への転落だ。

マンションの管理組合でもそんな出来事が実に多い。
日ごろ建物の管理運営なんて何も関係ないサラリーマンの住民が、
管理組合役員になった途端に、謙虚さもなく知ったような意見を言う。
30年間、建物管理の世界で生きてきた私には信じられない間違いを平気で。
始めは「そうじゃないだろ」と反論したが、今はもう相手にもしたくない。

集会室テラスのデッキも腐っているが、そのまま放置されている。
そのうち、遊んでいる子供が怪我をするだろう。
確か、始めの7年間は管理員が手入れをしていた筈だが・・・
誰も見て見ぬ振りをしているのか、気がついていないのか。
あれこれ朽ちていくのを防ぐために全てを外注すれば、
管理費が年に数百万円は余計にかかるようになる。

それを小まめに手入れしていた管理員や私たちのやる気を殺ぐから、
管理組合の増やさなくてもいい筈の外注費がどんどん増えていく。
私だって管理員だって、やる気をなくせば余計なことはしないのは当然だ。
こんなことが積み重なって、上げなくても済む管理費が高騰していく。

もちろん、業者から紹介手数料を取る管理会社にとって。
やる気のない管理員ほど紹介料の増える都合のいい管理員なのだ。
そんな仕組みだって勉強不足の組合役員には理解できていない。

政治家も管理員も、それほどお人好しではない。
業績を的確に評価されなければやる気をなくす。
それでも、明日も日は昇る。

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的確性(2) への2件のフィードバック

  1. ekatuki のコメント:

    騙す人、騙されて虎の子出す人で日本の経済が成り立っていると思うと、
    日本が賢者だらけになった時、海外の日本への不動産投資が無くなるんでしょうか?
    最近私でさえ中国企業が日本の不動産を買いまくっていることを耳にするようになりました。

  2. 高木一次 のコメント:

    次のブログに書こうと思っているのですが、
    中国人投資家のお陰で、日本の一部の土地はかなり値上がりしています。
    最悪の官僚と政治家の跋扈する日本を買い叩いている中国人は素晴らしいです。

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