旅立ち十色

人があの世へ旅立つときの様子は様々だ。
ひどく痛い思いをする人もいるし、
何十年も長患いをして周りに迷惑をかけてしまう人もいる。

そんな多くの人の旅立ちを見てきたが、
祖父は、文字通り、命をことぶき(寿)にて終えた。
齢90、眠るがごとく逝ってしまった。
「寿命」を全うしたと誰もが祝福した。

実業家だったが、僧籍も持っていたらしく
晩年は、あちこちの集まりで仏の道を説いていた。
そんな生き方を仏様が見ていて、いい死に方をさせたのか。

朝、布団の中で死んでいたという菱沼さん
朝、風呂の中で眠るように死んでいたという小林さん
それほど痛い顔も見せず病院で亡くなった母
これらの死に方は人が羨む方の部類に入るのだろう。

周りには、老後のことなど全く考えない人も多い。
考えなくても無事に一生を終えることもある。
私のように、あれこれ考え過ぎる人もいる。

勿論、私のように生きた方がまあまあの老後を迎えられる筈だ。
でも、私がどんなに頑張っても、死に方までは選べない。
せいぜいいい死に方を願いながら徳を積むしかない。

「南無妙法蓮華経」

(完)

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