知識レベル

新たに土地を購入し、商業ビルを建てるいつもの土地活用。
打ち合わせで集まる仲間の建築に関する知識レベルは高い。
かんかん諤諤の議論に時間の経つのを忘れるのが楽しい。

我々の土地活用では建築前にテナントは決めてある。
建ててから借主を探すような危険を冒す余裕はない。
利回りとキャッシュフローのバランスから建築予算も決まる。

敢えて建築費を抑えるなんてつまらない仕事はしない。
出来るだけ豪華なデザインと高価な材料を使うようにする。
もちろん、それが後々の満室経営に繋がるから。
「損して得を取る」は正に商業ビルのことなのではないか。

例えば、鎌倉のデザイナーズマンション。
先日、5年間使ってくれた女性が転居した。
システムキッチンの掃除でやってきた職人さんが開口一番、
「こんな高価なものを使っている賃貸マンションは初めてだ」
私にとっては最高に嬉しい反応で、
その日は彼らに美味しい昼食をご馳走した。

事ほど左様に、建築で大切なことはお互いの知識レベル。
価値があるもの、必要なものが分かる人との語らいが楽しい。
私がマンションの理事会を脱退したのもそのレベルと意欲の違い。

ファサードはマンションの命とも言える重要ポイント。
ここにプラスチックの鉢を置くようなセンスの人、
この付近の雨だれの黒いヨゴレの跡が気にならない鈍い人、
そのヨゴレを防ぐ方法について人の話しを聞かない人、
そんな人たちとの10年間はストレス地獄だった。
知識レベルの低い人に限って強情で謙虚でないことが多い。

「保土ヶ谷にどう行ったらいいか」という話のとき、
すぐさま最短で最良のアクセスを教えてあげた。
すると隣の友人が言う、
「横浜に出て、そこから戻ればいい」
内心「こいつは何を言うんだ」と腹が立ったが、
もう一言も付け加えることはしなかった。
どうせ言ったって一銭の得にもならないから。

こんな風に間違っていることがすぐに分かることならまだいい。
建築の問題は答えの成否を判別するのに数年かかることが多い。
だから、余計に知識レベルの低い人たちとは交わりたくない。
また、その意味で、自分も一生勉強し続けなければならない。
「レベルが低い」なんて言われないようにするために。


箱根「翡翠」での朝食を済ませ、桜を見たいという話に。
富士五湖の富士桜ならまだ間に合うだろうと西湖まで。
運よく、今年最後の桜見物ができた。

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