耐久値と評価値(5)

空室で悩む賃貸業者が多い中で、満室経営を続けている。
もちろん、人並み以上に努力している結果なのだが・・・
それにしても、先月入居した若い夫婦の要望はきつかった。

洗面化粧台を「朝シャン」のできるものにして欲しいと。
私のPマンションにもついていない高級品を指定してきた。
ちょっと躊躇したが、応じることにして、すぐに改良工事をした。
築30年を過ぎても、竣工時より評価値を上げたかったから。

その点で、マンションの「長期修繕計画」ということばは実に不適切だ。
マンションは竣工後、時代に合わせて改良していくべきものなのだ、
だから、「長期改良計画」という呼び名の方がずっと前向きだ。

建物には修理・修繕と改良という二つの取り組み方がある。
修繕はその名の通りの修繕だから、工事後も竣工時以上にはならない。
例えば、玄関の自動ドアが開かなくなった時にはその修理をする。
もしこの時、最新型の住民認識自動ドアシステムに交換すれば、
正にこれが改良で、竣工時よりずっと評価値が高くなる。

5年に一度、錆びてきた屋根を塗装するのは修繕。
この時に、錆びない屋根材に交換してしまうのが改良。
全てにおいて、このような攻めの考え方をするのが長期改良計画だ。

修繕と改良を上手に組み合わせて行うのが改修だという人がいる。
あまり言葉の定義にこだわりたくないが、もしその考え方をするなら、
長期改修計画と言ってもいいだろう。

いずれにしても長期修繕計画という一般的な考え方には夢がない。
政治も管理組合も素人が中心の組織だから、全てにおいて稚拙さが目につく。
だから、今後何十年も長期修繕計画などという不適切な言葉が
使われていく気がしてならない、それが無性に悲しい。


美しい佃島が大地震にも耐えることをただただ願うばかりだ。

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