沙也加の心

車を半日外に置いておくと、うっすらと
花粉などの白い埃が積もっていることに
気づく。ということは、外に半日干した
洗濯物にも同じことが起きていると思うと、
体に悪い天日干しはもうそろそろやめた
方がいい。

だから、そんな理由でコインランドリー
を使う人が激増しているのには十分納得
ができる。勿論、その他の動機でやって
くる人もたくさんいる。

一番多いのは大家族の人。
雨の日、家の中に洗濯物を干したくない
からということでコインランドリーを
利用する。羽毛布団や毛布を洗いに
来る人も多い。

コインランドリーがこんなにたくさん
なかった時代は、汚れた毛布や布団を
洗わないで何年も使っていた。今思えば、
随分と不潔だったと思う。でも、今は、
寝具を季節の変わり目ごとに洗うように
なった。コインランドリーのお陰その
ものだ。

朝忙しくて、洗濯をしないで出かけ、
夕方帰宅してからやってくるお客様も多い。
こんな人は天気には関係ない。そんな人と
話し込むことがよくある。

30代で独身の美人OL。 
今日のテーマは沙也加の自殺。
テレビでその筋の人が語るお悔やみの
言葉がつまらないと言う。死の真相を
語る人が一人もいない。判で押した
ような追悼の美辞麗句が並んで、
イライラするとまで言う。

一人で生きる三十路の女は「不安が
いっぱいなんです」という。病気になれば
一気に生活そのものが破綻するからと・・
だからといって、面白くもない男との結婚
へと逃げたくはないらしい。

沙也加も男に浮気されたり、喉が痛く、
声が出なくなる恐怖にもさいなまされて
いたんですと、やけに詳しいことを話し
出す。両親が有名人で、それに負けまい
と頑張って生きてきて、そこへ別れと
喉の異変が起きたら、誰だって死にたく
なると彼女が言う。

高齢者の自殺も多いが、三十路や四十路の
女性のリストカットもかなり多いらしい。
昭和の20年代と比べたら、誰もが本当に
豊かになったが、それに感謝するのではなく、
辛いとすぐに死を考えるのはどうかと思う。

沙也加の心が分かれば分かるほど、死に
ついて考える時間が多くなった。
「人間万事塞翁が馬」なんて
分かったようなことを言う奴は嫌いだ。
死にたいときには、死にたいと話せる
友人がいたら、沙也加も死なないで
済んだだろうに・・・・

人生の中でうっすらと積もった埃を
振り落とすためにも、死を語り合える友
を一人は持っておきたい。死は目を背ける
ものではなく、用意周到に迎い入れる
べきものだと思っている。

One point lesson for myself

I almost made the contract
at the end of last month,
but in the end I couldn’t.
先月末にその契約が決まりそうだったけど、
結局は出来なかった。

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