価値観の共有

喜寿を迎えた今、
外国を旅したいという願望はゼロだ。

20回は行った南国の島々はもう退屈だ。
10回は行ったアメリカにも興味がない。
5回は行ったヨーロッパにも飽きた。

日本を出たことがなかった20代には
未知の国、未知の景色に憧れた。
でも、今はパッキングからうんざりだ。
兎に角、外国にワクワクしない。

外国旅行に飽きていた50代、
日本の美しさ、日本の良さに目覚めた。
蓼科から白樺湖、美ヶ原辺りが好きになった。
軽井沢から草津白根山、志賀高原辺りの
美しさに陶酔した。会員制ホテル「エクシブ」
にも入って、何日も連泊して遊んだ。でも、
もうこれにも飽きてきた。

そして65歳を過ぎた頃からは、
日常を非日常にすることに興奮を覚えた。
例えば、週末は、孫とビーチサイド
サイクリングやビーチバトミントン。
その後、家の大きめのお風呂で汗を流す。
そんな一日はハワイのホテルで過ごすより
素敵な一日に思えるようになった。

昼食は、車で20分の葉山の素敵な森の
レストランへ。そこで、家族水入らずの
BBQをしながら午後のひと時を過ごす。
澄んだ空気、頬をなでる風、どこまでも
美しい新緑。三浦半島って最高。

夜の食事は座れば出てくるマイ・
レストラン。私の好きな料理を知り尽くし
ているシェフが手を変え品を変え作って
くれる。おまけに、マクロビオテック
だからグルテンフリーの健康食。

海、新緑の山、十指に余る美味しい
レストラン、家族、友人、これら全てが
揃っているのに、なんでわざわざ何もない
外国に行くのか。今は、わざわざ旅に出る
気など全然起きない。チケットを貰っても
行きたくない。

そして、何よりも幸せなことは、家族が同じ
価値観を持っていること。価値観は年齢と
共に変化する。だから、私の価値観は私
だけのものでいいと思っていた。勿論、
自分の子供に押し付ける気もなかった。
なのに、子や孫が同じ価値観を持ってくれ
ている。

孔子の「親居ませば、遠くに遊ばず!」を
教えないのに実践してくれている。私は、
なんと幸せなお爺ちゃんなんだろう!

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